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イノベーションを起こすリーダーシップ~「ななつ星」を成功させたJR九州のトップに聞く~JR九州 唐池氏×早稲田大学 入山氏<日本の人事部「HRC2016-秋-」>

4/13(木) 7:30配信

日本の人事部

2013年の秋に誕生したJR九州の「ななつ星in九州」は、申し込みが殺到し地元にも愛される「クルーズトレイン」として好調に走り続け、JR九州は株式上場も果たした。本セッションでは、当時社長としてこの大プロジェクトを率いたJR九州会長の唐池恒二氏を迎え、早稲田大学の准教授・入山章栄氏が成功を導くリーダーシップをひも解いていった。

唐池氏によるプレゼンテーション:エネルギーは伝わり、変化する

唐池氏によるプレゼンテーションから、セッションはスタート。唐池氏は、全国から寝台列車が消えていく中、JR九州の鉄道事業の柱として注目されている「ななつ星in九州」が、どのようなコンセプトで誕生したのかについて語りはじめた。

「『ななつ星』には7両の客車と14の部屋があります。九州は7県。全て7の倍数です。そこから生まれた『ななつ星』という言葉は北斗七星の和名でもあります。名付け親は私です。私は“気”を信じていて、『ななつ星』の中には“気”を投入しました。“気”とは、広辞苑によると『天地間を満たし、宇宙を満たす基本と考えられるもの、万物が生ずる根源、生命の原動力となる勢い』などのことです」

この車両に関わったのべ3000人ほどの職人に対して、「世界一の列車を作ろう」と唐池氏は唱えたという。すると、職人たちは非常に喜び、九州の地域の人たちの期待が膨らみ、応援が始まり、それは実際に走り始めても続いた。

「旅費の高い列車ですから、九州の人からどのように見られるのか心配でした。『東京のお金持ちの道楽で我々とは違う』と思われないかと。ところが、走行が始まると停車駅には何千人もの人が見物、応援に来てくれました。『よくぞ、このようなすばらしい列車を走らせてくれた。九州の誇りだ』と声を掛けてくださったり、若いお父さんが子どもの頭をなでながら『いつか、僕たちも乗ろうね』と子どもに話しかける姿を見た時、本当に感動しました」

なぜ、地域から支持を受けることができたのか。唐池氏は、その理由に「ななつ星」に一貫して込めた「気」「思い」「手間」を挙げる。

「ハードの車両には、職人さんたちが自分の持っている技の全てを投入してくれました。ソフトのサービスにも非常に手間がかかっています。例えば、初日に車中で提供する昼食は寿司ですが、福岡で有名な寿司店の大将が毎回車両に乗り込み、握りたてを乗客に一貫ずつ提供しています」

中国思想に基づく「気」という言葉は、英語に訳すと「エナジー」になると唐池氏は言う。人間を動かしているのはエナジー、エネルギーであり、それが「ななつ星」の車両に、サービスに、料理に、込められているのだ。

「『エネルギーは変化する』と中学の理科の時間に習いました。運動エネルギーは熱エネルギーや光エネルギーに変わる。このことを、私は『ななつ星』で目の当たりにしました。手間をかけ、気を込めた『ななつ星』のエネルギーは、それを見る人や乗客の感動というエネルギーに変化するのです。例えば、筑後川の鉄橋の下からななつ星を見る人も涙してくれるんです。九州を一周した最後のお別れパーティーでは、乗客はクルーと抱き合ったり握手をしたりしながら号泣します。気、エネルギーは変化することを改めて学びました」

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最終更新:4/13(木) 7:30
日本の人事部

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