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911至上主義からの脱却?ポルシェ ケイマン GT4 クラブスポーツはすごいぞ!

4/13(木) 21:01配信

GQ JAPAN

ポルシェ ケイマンのサーキット専用モデル「ケイマン GT4 クラブスポーツ」をドイツ・ドレスデンで試乗した。河村康彦がレポートする。

【ポルシェ ケイマン GT4 クラブスポーツの動画とフォトギャラリーはこちら】

■911の呪縛

クルマは好きだけど、レースに興味はない。ポルシェには乗ってみたいけど、サーキットで走りたいとまでは思わない。そう考えてる人たちは、きっと少なくはないはずだ。

だが、あまたある自動車ブランドのなかで、とくにポルシェに限っては、レースというイベントも、サーキットというロケーションも、どちらも“切っても切れない縁”にある。

ポルシェとともに歩み、そして育ってきたといっても過言ではない今日のモータースポーツ。その主役は歴史的に、リア・エンジンの後輪駆動車である最初のポルシェとしての356や、そこから発展した911が担ってきた。ひとつの転機は1996年に発表したミドシップ・オープン・スポーツカーのボクスターによってもたらされた。ボクスターはその後、順調に成長し、2005年にはよりピュアな走りを追求したクーペ・バージョンのミドシップ・スポーツ、ケイマンが登場するにいたる。このケイマンの到来をもってして、911の、ポルシェの“走り”のシンボルとしての位置に微妙な変化が生じた、と私は見ている。

「911こそが、ポルシェのトップスポーツカーであるというイメージを崩したくない」という、マーケティング上の配慮がポルシェにはあったのではないか、と私は考えているけれど、オープンボディ専用のボクスターならばともかく、それをベースにクーペ化したケイマンの走りのポテンシャルが、より大きくて重たい2+2ボディの後端にエンジンをマウントした911のそれを凌駕してしまうことは理の当然だ。

ところがポルシェは、このケイマンをモータースポーツ用車両として積極的に利用してこなかった。そこにはフラッグシップ・モデルとしての911への配慮があったのだと思う。しかし、シリーズ中、これまででもっともレーシーなルックスをアピールするケイマン GT4を見た瞬間、私は、こうした“配慮”、いま流行の言葉で言えば“忖度”の時代が終わったのだ、と悟ったのである。

サスペンションやブレーキ関係を中心に、多くのコンポーネンツを“サーキットに最も近い911”モデルであるGT3から譲り受け、自然吸気時代の911 カレラSからの贈り物である3.8リッター・エンジンを搭載するのが、ケイマンGT4である。くわえて、より高いエンジン冷却性能や、サーキット走行に照準を合わせた空力性能獲得ためのボディキット、そして、もちろんよりファットなタイヤ、いっそう低くセットアップしたシャシーなど、その装備は確かにGT4の名に恥じないものだ。

なかでも、2015年春発表のケイマン GT4をベースに開発したサーキット専用モデル、ケイマン GT4 クラブスポーツこそは、現在のポルシェのラインナップ中もっともピュアなスポーツ・モデルのひとつである。

■MTからDCTへと変更

世界各国から少数のゲストが招かれ、このポルシェ最新のミドシップ・レーシングモデルの試乗会が開催されたのは、旧東独領はドレスデン郊外に位置する「ユーロスピードウェイ・ラウジッツ」なるサーキット。

ヨーロッパでは珍しいオーバルコースのフィールド内に、今回は全長が3.4km強に至るハンドリング・コースもふくむトラック・レイアウトが用意され、幸いにも快晴に恵まれた天候の下でプログラムは進行した。

ポルシェが用意したモデルは3台。量販型のケイマンGT4、ケイマン GT4 クラブスポーツ、そしてケイマン GT4 クラブスポーツMRだ。クラブスポーツMRは異なるモータースポーツ・カテゴリーに対応すべく、さらに軽量化した機種で、マンタイレーシングがチューニングを行っている。

7400rpmという回転数で最高385psを発生するエンジンは、2台ともに基本は量販型と同じ。ただしトランスミッションは6段MTのみの量販型に対して、こちらは“サーキット走行に最適化”したという専用開発の6段DCT(デュアルクラッチ式)を採用する。

■まずはノーマルのGT4でコースイン

クラブスポーツもクラブスポーツMRも、ジャングルジムの如きロールケージなど様々な安全装備を装着したうえで、なおかつ大幅に軽量化したボディに、溝なしスリックタイヤを履いた本格的なレーシング・モデルだった。万が一にもクラッシュなど許されない貴重な試乗車ゆえ、まずはプロのレーシング・ドライバーが駆る先導車に続いての、量販型GT4での完熟走行からプログラムはスタートした。

ちなみに、このまま公道へと乗り出せるノーマルのGT4でも、本格的なサーキット走行を難なくこなせるポテンシャルの持ち主であることは、すでに確認済みだ。ちなみに、こうした忙しいシーンでは、ヒール&トーの操作を肩代わりしてくれるダウンシフト時のブレッピング機能が、単なるアクセサリーなどではなく、徹底的に機能的な“実用装備”であることを、改めて教えられることになった。

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最終更新:4/14(金) 14:47
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