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ギャンブル場にATMは不要!ギャンブル依存症対策閣僚会議で注目すべき点とは

HARBOR BUSINESS Online 4/13(木) 16:20配信

 先月の3月31日、首相官邸において「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が開かれた。

 12月26日の第1回会議に続く今回の会議では、ギャンブル等依存症対策に関する論点の整理が行われ、公営ギャンブル、パチンコ等の現状の対策状況と今後の課題について話し合われた。既報ではあるが、同日厚生労働省からは、ギャンブル依存症の疑いのある人が、成人の2.7%(推計値278万人)と、前回の調査から大幅に「下方修正」されており、政府は、今国会での「ギャンブル等依存症対策法案」の成立、秋に予定される臨時国会での「IR実施法案」の可決に向け一気に加速したい構えだ。

 本稿では、各省庁が考えるギャンブル等依存症対策の今後の課題について、注目すべき点についてみていきたい。

◆ほぼ無策だった公営ギャンブルにも一定の対策が講じられる

 「カジノ推進法案」に対する議論のなかで、ギャンブル等依存症の問題が議論となり、メディア等では、パチンコがその槍玉にあがったが、実のところ、競馬や競輪、競艇等の公営ギャンブルではほとんど依存症対策が講じられていなかったことも注目された。

 しかしギャンブル等依存症対策の必要性が急速に高まるなか、今回の関係閣僚会議では今後の課題として対策が講じられている。

 そもそも公営ギャンブルには依存症等の相談窓口もなく、窓口の明示や周知もなかった。また、未成年者の投票権購入に対する規制や確認が十分ではないのも問題だった。しかし今後は、公営ギャンブルの競技ごとに相談窓口を設置しその周知も図っていく。

◆事前登録制が導入されると、課税の問題も予想される

 公営ギャンブルの一番の問題は、インターネットによる投票権の購入が可能なことである。

 しかしアクセス制限や購入額制限の仕組みがなく問題視された。このインターネットによる投票権の販売は、いわゆる「ノミ屋」(公営競技などを利用して私設の投票所を開設している者や集団、多くは反社会的勢力と繋がっているとされている)の排除には一役を買ったものの、今後のギャンブル依存症対策においては「鬼門」でもある。

 当面は、購入時の注意喚起やアクセス制限、購入額制限(自己申告)等の対策を打つが、未成年者や依存症者の排除のために、マイナンバー等を利用した事前登録も議論されている。

 現時点では、マイナンバーの普及率等の問題で早期の実現は困難であると思われるが、もし個人が識別できる方法での事前登録制が導入されれば、税金等(配当金は臨時収入となる。ちなみに投票権購入費用は「経費」にはならない)の新たな問題も浮上しそうだ。

◆対策の本丸、パチンコへの規制はどうなるのか?

 パチンコ業界は、公営ギャンブルに比べ、依存問題について一定の取り組みは行っていた。

 リカバリーサポート・ネットワークとういう民間の電話相談窓口の支援や連携をはじめ、テレビCMの自粛やチラシ広告における注意喚起、機能的には不十分ではあるが、自己申告プログラムも導入済みだ。

 しかし日本全国に1万店もの巨大な店舗群を抱える業界であり、売上も他の公営ギャンブルとは比にならない。「ギャンブル依存症問題=パチンコの問題」と国会で問題視されるほどである。だからこそ、今回のギャンブル等依存症対策の課題においても具体的な対策が挙げられている。

 その中でも特に注目されるのは、遊技機の出玉規制の基準等の見直しである。

 昨年の、パチンコ釘の問題による、いわゆるMAX機全撤去は記憶に新しいところではあるが、撤去された機械に関わらず、パチンコ、スロット共に、昨年の1年間、その仕様は低射幸性の遊技機へと大きく様変わりしている。スロットユーザーであれば、新基準機の出玉の鈍さは既に体験しているはず。これはあくまで業界側の自主規制という体裁ではあるが、警察庁の指導があってのこと。

 そして今回の対策では、業界の自主規制の範囲ではなく、警察庁による遊技機の規則改正という形で、遊技機の出玉性能がより制限される。

 某ビジネス紙によれば、規則改正により、全国の遊技機が一斉に撤去されるという報道もあるほどだ。(仮にそうなったとしても、全撤去までにはかなりの経過措置期間が設けられる見込み)

 遊技機の射幸性がより低くなれば、今のように「等価交換営業」もしくは「等価交換に近い営業」自体が難しくなる可能性が高い。またコアユーザーのパチンコ離れも懸念され、営業面における打撃は想定外に大きいかも知れない。

◆ギャンブル場に銀行ATMはいらない!

 今回の会議で注目されたのは他に、公営ギャンブル場における銀行ATMのキャッシング機能の廃止である。

 ギャンブルに負け熱くなってしまった客が、ATMのキャッシング機能を利用し、銀行の個人向け融資や消費者金融から借金をする。これこそが、ギャンブル依存の非常に危険な「症状」である。

 会議で金融庁は、「現状では、銀行の個人向け融資を通じ、ギャンブル等依存症患者がギャンブル等の資金を借り入れる可能性がある。銀行の個人向けカードローンについて、現状では、ギャンブル等依存症対策としての取組は存在していないため、日本貸金業協会による貸付自粛に係る取組等も参考にしつつ、ギャンブル等依存症患者に対する貸付けの在り方を検討する」とした。

 銀行ATMは、公営ギャンブル場だけではなく、一部のパチンコ店の店内にも設置されている。

 私事で恐縮ではあるが、パチンコをしていた学生時代、負けるとそれを取り戻そうと熱くなる自分の性分を知ったうえで、パチンコ店に行くときは、銀行のカードや財布は家に置き、その日決めた「軍資金」だけをポケットに入れていったものだ。

 近隣のコンビニに行けば、同様のATMが設置されていることは重々承知の上で、それでもギャンブル場やパチンコ店からは、銀行ATMはすべて撤去すべきである。

 5月には「ギャンブル等依存症対策法案」が議員立法で成立する可能性があるとも言われている。政府には「カジノ在りき」の、急場凌ぎの対策ではない、実効性のある対策をしっかりと講じてほしい。

<文・安達 夕>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:4/13(木) 21:04

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