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森友関連質問を封じる「強行採決」の異常事態

東洋経済オンライン 4/13(木) 11:45配信

 前代未聞の「採決無効の申し入れ」となった。4月12日の衆議院厚生労働委員会での出来事だ。審議されていたのは介護保険関連法の改正。改正のポイントは、現役並みの所得がある高齢者が介護サービスを利用する際の自己負担比率を現行の2割から3割に引き上げることだ。

 この日の厚労委員会では審議のみで、採決は14日に行われることが内々に決まっていた。野党に割り当てられた質問時間は1時間半で、当初の1時間より30分間増やされた。というのも、2時間の質問時間を求めた民進党らに対し、自民党が譲った結果になったからだ。ここまでは両党ともに熟議を求める姿勢に変わりない。

■「法案以外の質問をするということは審議が十分」

 ところが民進党の柚木道義衆議院議員が、質問の冒頭で森友学園問題について言及したことで、問題は発生した。柚木氏はNHKの世論調査のデータを基に、国民の約8割が政府の説明に納得していないこと、安倍昭恵夫人や迫田英典前理財局長の証人喚問が必要とする回答が不要とする回答の約2倍に上っていることを指摘し、昭恵夫人と迫田氏が公の場で説明するように安倍晋三首相に求めたのだ。

 これに対して自民党は激しく反発。途中で審議をやめたうえ、午後には強行採決に踏み切った。

 その理由は柚木氏の発言が「発言は、すべて議題外に渉り又はその範囲を超えてはならない」と規定する衆議院規則第134条違反であるとともに、自民党が「法案以外の質問をするということは、審議が十分だということで、採決しても構わない」と判断したためだ。また11日午後に開かれた理事懇談会で、自民党は民進党に事前に「法案以外の質問はしないでくれ」と申し入れてもいた。

首相への忖度で強行採決?

 だが民進党はこの申し入れについて「質問者の質問権の問題がある。良識の範囲内でやる」として留保。森友学園問題についての柚木氏の発言も約10分程度に抑えられており、衆議院規則違反についても強行採決で封じられなければならないようなものとはいえない。

 強行採決に納得がいかない柚木氏ら野党の理事らは、早速同日午後4時、丹羽秀樹厚労委員会委員長に「採決無効」を申し入れている。

 「委員長は強行採決を承知していなかったようだ。われわれの申し出を『重く受け止めたい』と言っていた」。申し入れの後のブリーフィングで記者団に語る柚木氏の言葉からは、このたびの強行採決の異例ぶりが浮かび上がる。

 「どれだけ急転直下に決めたものかが推測される。まさに安倍晋三首相への忖度(そんたく)で籠池泰典氏を証人喚問に引きずりだし、国政調査権や偽証罪を持ち出して森友学園問題を潰そうとした構図と同じだ」。柚木氏はこう訴えた。

■14日に補充質疑を行うことで合意

 「国会は総理の犬となり果てたのか」。井坂信彦理事も激しい言葉で自民党を批判した。最終的に自民党と民進党は電話協議を行い、14日に補充質疑を行うことで合意。だが、問題は消えるどころか増えてしまった。

 というのも安倍首相は柚木氏の質問に対し、「会計検査院がしっかり調査し結論を出すのを待ちたい」と述べたからだ。実は会計検査院が調査するには大きな障害がある。森友学園への国有地売却をめぐる資料が、財務省や国土交通省から提出されていないのだ。

 これが適正なことなのかどうなのか。民進党は4月10日の衆議院決算行政監視委員会第1分科会で、三宅弘公文書管理委員会委員長代理を参考人として招致しようとした。三宅氏は3月25日に放映された報道番組で、森友学園が購入しようとした国有地問題について以下のようにコメントしている。

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最終更新:4/13(木) 11:45

東洋経済オンライン