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マセラティとボットゥーラさんにマル

4/14(金) 22:01配信

GQ JAPAN

ジュネーブ自動車ショーで話題になったのが3つ星シェフのデモストレーション。クルマと社会の交差点にある「クルマ文化」にストップかゴーの判定を下す好評連載。今回のテーマはクルマとフードのおいしい関係について。

【動画&フォトギャラリー:マセラティのジュネーブショー】

■アドリア海から吹く風

さる3月にスイス・ジュネーブで開催された国際自動車ショー。今年も数かずのニューモデルが話題になったが、もうひとつ、ぼくには興味ぶかい“展示”があった。

クルマというより、メーカー自身のコンセプト展示というべきか。イタリアのマセラティが、世界的に高名なイタリア人シェフを自社で用意した展示ブースに連れてきたのである。そのひとはマッシモ・ボットゥーラ。マセラティが本社を置くモデナに店を構える「オステリア・フランチェスカーナ」のシェフだ。

同レストランはイタリア版ミシュランの3つ星を獲得し、さらに世界中の料理ジャーナリストの有志が選ぶ「The World’s 50 Best Restaurants」でも2016年度は、その1位に輝くなど評価は高い。

マセラティが披露したコンセプト展示は、ボットゥーラ料理長がみなの前で料理を作るというユニークな内容だった。ぼくのこれまでの経験からいって、自動車ショーでのこういうデモストレーションは過去に記憶がない。このとき作られた料理のひとつが「レヴァンテ」と名づけられたリゾット。マセラティのSUVの名前を使ったものだ。

おもしろいのは、たんに名前を引用したということではない。昨年夏、このクルマを世界中のジャーナリストにお披露目した、北イタリア・ガルダ湖のイメージで仕上げてあったのだ。

ガルダ湖は巨大な湖で、魚はとれるし、沿岸ではオレンジを栽培している。そこでボットゥーラ料理長はミラノ近辺で好まれる米と、フェンネルとオレンジ風味でマリネした魚を材料にした。

レヴァンテが「アドリア海から吹く風」という意味を持つことから、最後は柑橘の香りのミストで仕上げるのだという。なるほど、このリゾットがサーブされたとき、テーブルゲストの鼻先でシュッとひと吹きして完成というわけだ。

■わざわざクルマで行く

レヴァンテほど考え抜かれてはいなくても、クルマと料理は相性がいいはずだ。ひと昔前は東京各所にクルマで訪れたひとを迎えるハンバーガースタンドなど散見されたものである。

もちろんクルマと相性のいいレストランは、まだまだ日本各地にいくつもある。クルマでしか行けないレストランもふくめて、だ。

ミシュランのレストラン評価ガイド「ル・ギド・ルージュ」は、クルマでないといけないレストランを多く載せている。ぼくもこの赤いガイドを手に、レンタカーで出かけたことが何度もある。

日本だとよく知られているのは、北海道・ニセコから行く「マッカリーナ」か。ここのシェフは東京・八重洲の「フォーシーズンズ丸の内」のレストランを監修したのも、一部では有名な話だ。熱海の「壹番」の餃子が食べたくてクルマで出かける知人もいる。名古屋のトヨタに取材で行くとき、食いしん坊の広報から必ず言われるのは「クルマで移動しているなら(台湾料理の)味仙に絶対寄りなさい」である。

徳島で鳴門の海を見下ろす丘のうえにあった「古今青柳」もよかった。景色といい味といい、ドライブして出かける見返りがいろいろあった。箱根には「カフェコルソマルケ38」がある。クルマ好きなら、ピンとくるひとがいるかもしれないけれど、かつてアバルトがあったトリノの住所を店名にしている。オーナーはむかしのアバルト車の修理を得意とするひとで、店内はイタリアの香りが漂う。エスプレッソはかなり美味で食事も出来る。デートとか家族で行っても充分堪能できるのだ。

どれも“わざわざクルマでいく”というのがよいスパイスになっているようなところがある。でもわざわざ出向かせるぐらいだから、ちゃんとした美味を提供してくれる。

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最終更新:4/14(金) 22:01
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