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ミスターミニットに学ぶ、現場を活かすプロデュース力(中郡久雄 中小企業診断士)

4/14(金) 6:19配信

シェアーズカフェ・オンライン

ミスターミニットをご存じだろうか。

百貨店や駅構内に小さな店舗を構え、合カギの作成や靴の修理などを行っている会社である。日本全国に約300店舗あるので、知っている人も多いのではないだろうか。

過日、そのミスターミニットの代表取締役社長である迫俊亮さんの講演を聞く機会があった。著書である『やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力』の出版を記念し、『現場論「非凡な現場」をつくる論理と実践』などの著者であり、株式会社ローランド・ベルガー 日本法人会長.の遠藤功さんとの対談だった。

迫さんは3年前、29歳の若さで社長に就任した。その時点でのミスターミニッツは、10年間に渡って業績は右肩下がり。本社からのむちゃな指示に現場は疲弊し、新サービスは40年間成功ゼロ。そんな状況だったミスターミニットが3年間で大きく変わった秘訣は何だったのか。

「会社のすべてを現場中心につくりなおすこと、現場が力を発揮できるようにすること」
迫さんが3年間やり続けたことはこれだった。では、どうすればそれが可能になるのだろうか。遠藤さんとの対談を聞くなかで、いくつかヒントになることに気づけたように思う。

■人事は経営からの最大のメッセージ
迫さんが社長になって最初に行ったのは、現場出身の人を部長に抜擢することだった。それまで、現場出身の部長職はいなかったそうだ。これが、本社と現場の溝を生む大きな原因になっていると考えてのことである。
現場では「現場のことを知らない本社の人が勝手なことをやっている」と感じている一方、本社の管理部門は「現場は言うことを聞かない」と評価していた。こうした状況では、お互いの信頼関係など生まれようがない。お客様と常に接している現場だからこそのアイデアもつぶされてしまう。それどころか、アイデアを出してもう無駄、という風潮になっていた。

だからあえてこの抜擢人事をおこなったそうである。そしてこの人事が、会社の雰囲気を変えるきっかけになっていった。

「現場が仕事をしやすく、力を発揮しやすい仕組みを作る」
そう言う経営者は多い。おそらくさまざまな施策をされているのだとは思う。しかしその想いは、現場の人たちに伝わっているだろうか。自己満足に終わってしまってはいないだろうか。どんな施策を打ち、仕組み作りをしようとしても、それが浸透するまでには時間がかかる。本当の効果がでるまで、想いを理解してもらうことは難しいだろう。食見が動き出さないまま終わってしまうこともあるのではないだろうか。

人事は誰もが一目でわかることだ。いままできちんと処遇されていなかった現場のリーダーを抜擢する。これ以上に「現場を大切にする」とのメッセージが伝わる方法はないだろう。

むろん誰を抜擢するか、人選は重要である。経営陣や管理部門に受けは良くても現場で人望がない人を抜擢すれば、何も変わらないどころか逆効果ですらある。現場の人たちが「この人こそ」と思っている人を選び、抜擢しなくてはいけない。そのためには事前に現場に足を運び、十分なコミュニケーションを取っていくことも大切になってくる。

だが、きちんとした人生ができた場合、大きな効果を発揮することは間違いない。現場の士気を高めることになるからだ。

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