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L大石、“脱力“も球威失わぬ理由。苦悩の豪腕右腕が掴んだ“メカニック“

4/17(月) 11:30配信

ベースボールチャンネル

 鳴り物入りで埼玉西武ライオンズに入団した大石達也投手。昨季まで勝ちゲームで投げることが多かったが、今季はビハインドしくは点差が開いたときの8、9回に登板している。指揮官お墨付きの「リズムの良さ」は、チームを浮上させるカギとなりそうだ。

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「自分のため」が逆転劇に

 6球団が競合し、2010年ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団して以来、大石達也が昨季までのキャリア6年間で手にしたのはわずか2勝だった。

 それが今季は5試合登板時点で失点ゼロ、早くも2勝を飾っている。

「完全に、『ラッキー!』という感じです」

 そう言って屈託のない笑みを見せたのは、4月14日の千葉ロッテマリーンズ戦でチームが逆転勝利を飾り、今季2勝目が転がり込んだ直後だ。大石は1対2でリードされた8回に登板し、4番の井口資仁、井上晴哉、細谷圭という一発のある右打者を三者凡退に抑えた。最終回の攻撃では先頭打者の浅村栄斗がセンター前安打で出塁すると、2死1塁からエルネスト・メヒアの逆転2ランが飛び出している。

 試合後、辻発彦監督は大石をこう讃えた。

「リズムがいいからね。パン、パン、パンと3人で抑えた。いい球を投げていたし、こういう(ビハインドの)シチュエーションで力を発揮しています。その流れで(浅村、メヒアが)打つことになった」

 勝利が転がり込んだのはラッキーかもしれないが、ここまで無失点に抑えているのは偶然ではない。斎藤佑樹世代随一の豪腕投手として注目されてきた大石は現在、“脱力系”右腕として結果を残している。

 以前はクローザーやセットアッパーを任された時期もあるが、今季は「基本はビハインドの場面。もしくは点差が開いたときの8、9回」という認識だ。

 しかし、決して簡単な役回りではない。4月12日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では4対3と1点リードの4回無死1、2塁で、先発・多和田真三郎の後を受けてマウンドに上がった。打席に迎えるのは“恐怖の2番”カルロス・ペゲーロ。大石はこの左打者をセカンドへの併殺で抑えると、続くゼラス・ウィーラーは空振り三振に斬ってとる。5回も無失点に抑え、今季初勝利を手にした。

 14日のロッテ戦は1点を追いかける最終回を前に、三者凡退に抑えて最後の攻撃に流れを呼び込みたい状況だった。力が入りやすい条件のなかで3人で抑え、直後の逆転劇につなげている。

 ただし大石には、“攻撃につなげる”という意識は微塵もなかった。

「自分のために、常に3人で抑えたいという意識です。正直、立場的にチームどうこうを考える余裕がないので。自分のために結果を残すために、ゼロで帰ってくることだけを考えて投げました」

 わずか3試合の登板に終わった2015年、「(プロ生活は今年で)最後かなと思った」。それが2016年も契約が続いたことで、「この1年が最後という思いでやっています」と話していた。鳴り物入りで入団した右腕は結果を残せないままシーズンを重ね、戦力外通告を意識せざるを得ない立場に追い込まれた。そうした危機意識が、2016年には36試合で防御率1.71という好成績に結びついた。

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