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箱根が再開発で高級化、沸騰する「湯煙戦争」

東洋経済オンライン 4/17(月) 6:00配信

 4月20日、箱根に「箱根小涌園(こわきえん) 天悠(てんゆう)」が開業する。150室すべてに露天風呂が設けられ、1室2人で5万8000円~(1泊2食付き)という高級旅館だ。

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 総工費は115億円で、地下1階、地上9階建ての建物に、二つの大浴場、バーやレストラン、スパがある。高級旅館という触れ込みだが、客室の大半にベッドが備えてあるなど、実態は高級ホテルと相違ない。

 運営を行うのはワシントンホテルや「ホテル椿山荘東京」を展開する藤田観光だ。瀬川章社長は天悠の開業を機に、「2~3泊して滞在を楽しむように、日本の休み方を変えたい」と意気込む。

■高級化にあわせて生産性も追求

 施設やサービスで高級感を訴求するのに加えて、生産性の向上も狙う。それまでそれぞれ専任の担当者が行っていたフロントやレストランでの接客、清掃といった業務を、一貫して担う「クロスシフト」を実験的に導入する。

 藤田観光にとって、箱根は創業の地に当たる。老舗の「箱根ホテル小涌園」を筆頭に、日帰り温泉施設「ユネッサン」、鉄板焼きや懐石料理店などを合わせて7施設をこの地で運営し、売上高は年間60億円を超える。

 現在、再開発に力を注いでおり、2016年には夕食提供のない宿泊特化型旅館「美山楓林(みやまふうりん)」、そして今回の天悠を開業する。今後はより高単価な旅館「蓬莱園(ほうらいえん)」のオープンを予定するほか、小涌園の営業を2018年1月に終了し、新たな開発を検討している。

あの「箱根の顔」も改修へ

 箱根エリアで再開発に踏み切る大手は藤田観光だけではない。国際興業グループ傘下の富士屋ホテルチェーンは、1891年竣工の、“箱根の顔”といわれる旗艦「富士屋ホテル」を全面改修する。2018年4月に着手し、2020年春の再開業を目指す。会社側は「詳細は決まった時点で発表する」としている。

 大手ホテルコンサルティング会社・ホーワスHTLの高林浩司氏は、「実際に訪れると老朽化が目につく。需要が堅調な中で、周辺に新設が相次ぎ供給も増える。(競合に対抗するため)全面改装に踏み切ったのではないか」と分析する。

 芦ノ湖周辺ではオリックスグループが初の新築旅館として2017年8月、「箱根・芦ノ湖 はなをり」を開業する。パレスホテルグループは箱根のホテルを2018年1月に閉館、建て替えを検討している。

 国内最大手プリンスホテルグループは総額7.3億円を投じて、ホテルや旅館など3施設を改装する。目玉となるのは1938年に建設された宿泊施設「芦ノ湖畔蛸川温泉 龍宮殿」のリニューアル。今夏、日帰り温泉施設としてオープンする予定だ。

■都市部の大型投資は一巡

 芦ノ湖と富士山を同時に眺められる露天風呂を設け、「日帰り客を通年で10万人取り込んでいく」と、プリンスホテルで湘南・箱根・伊豆エリアのマーケティングを統括する布川史明氏は意気込む。

 藤田観光やプリンスホテルは、訪日観光客の増加を追い風に、需要が見込める都市部では、旗艦ホテルの新規開業や改装を実施済みだ。不動産や建設費は高騰しており、今後、新たに開業するには莫大な費用がかかる。

 前出の高林氏は、「都市部での大型投資が一巡した今、各社は集客が見込めるリゾートの再開発に取り組んでいる」と指摘する。

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最終更新:4/17(月) 9:19

東洋経済オンライン