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幻のジャングル犬の親子を撮影、おそらく初、アマゾン

ナショナル ジオグラフィック日本版 4/18(火) 7:31配信

「ううううっわああ」と言うのがやっと

 2日間、私たちはカメラ網のうち1本のラインに沿って歩き、険しい道に悪態をつきつつ、カメラのメモリーカードと電池を交換していった。そして最後の1台が置かれた地点に近い日陰で休んでいた。このとき目にしたのが、冒頭のコミミイヌの写真だ。

 次の1枚を表示させると、イヌが森に消えていくところだった。残念しきり。だが次の写真ではイヌが戻り、カメラから遠ざかる方向に歩いていた。撮影時刻を見ると、一連の写真は1時間以内に撮られている。このイヌはなんのために戻ってきたのだろう?

 次の画像に、全ての答えがあった。

「これ、子イヌ?」 私は半信半疑で尋ねた。写真を拡大して目をこらすと、柔らかそうな毛が生えた子イヌをメスイヌがそっと口にくわえていたからだ。このとき、イヌが歩いていたのは私たちが座っている場所の方向だった。

「ううううっわああ」と言うのが、コウセイロ氏にはやっとだった。

 この日確認されたパラパラ漫画さながらの写真は、母イヌが行ったり来たりして、合計5匹いるらしい子イヌをある場所から別の場所へ慎重に運ぶ様子を収めていた。コウセイロ氏は首を振った。こんな画像はそれまで見たことがなかったのだ。

 いや、誰も見たことがないに違いない。ジャングルにいる野生のコミミイヌとその子どもたちの様子が記録されたのは、これが初めての可能性が極めて高い。

「本当に素晴らしい」。米デューク大学のレナータ・レイテ=ピットマン氏も目を見張った。同氏は近くにある現地調査拠点でコミミイヌを研究しているが、アマゾンカムには関わっていない。コミミイヌは目撃例が非常に少ないため、個体数も分かっていないにもかかわらず、生息地の縮小と獲物の減少により、国際自然保護連合(IUCN)は近危急種(near-threatened)に指定している。

 レイテ=ピットマン氏は、コウセイロ氏らのチームがこのイヌの巣穴を突き止め、カメラを設置することを期待している。子イヌが母イヌから離れ、自力でジャングルの中を生きていく前の様子を知るためだ。おそらく5月中には子イヌたちが自立するだろう。

「この種を研究できるまたとない機会です。母イヌが子イヌの世話をしたり、子イヌが拡散したりする様子を調べられる機会は他にありません」と、レイテ=ピットマン氏は言う。同氏はナショナル ジオグラフィック協会とウェイト財団から資金援助を受けている。

「生存の可能性はどのくらいか、子イヌのうち何匹が生き残るのか。コミミイヌに関しては、いずれも答えが出ていないのです」

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最終更新:4/18(火) 9:52

ナショナル ジオグラフィック日本版

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