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伝わるかで治療に差 「痛み」の伝え方7つのポイント

NIKKEI STYLE 4/19(水) 7:47配信

 つらい痛みに耐えかねて病院へ駆け込み、思いのままに自分の症状を訴えるが、痛みがうまく伝わらない。こんな経験を持つ人は多いのではないか。正確に伝わらないと、診断や治療に時間がかかったり、適切に治療がされなかったりする。うまく医師に伝えるには、どうすればいいのだろうか。
 「お医者さんに痛みを正確に伝えるのがいかに大事か分かった」。長年、首と腰の痛みに苦しんできた奈良市在住の梅木和美さん(55)は、かわたペインクリニック(同市)での経験をこう話す。
 痛みは主観的で他人からは分かりにくい。ひどい痛みで苦しい時は、平常心ではいられずにひたすら「痛い」と訴え続けがち。だが、これでは適切な治療は難しい。
 同クリニックの河田圭司院長は「梅木さん、今抱えている痛みについて、できるだけ具体的に教えてください」と求めた。梅木さんは「下を向いた時に、首の付け根から肩にかけ、キューンとつったように感じる」などと伝えた。
 河田院長は、梅木さんが過去に追突事故にあった経験があることと合わせて考え、むち打ち症の後遺症が出ていると診断。それまで使用していたのとは別の痛み止め薬を飲んだり、脊髄へ注射を打つなどの治療を施したりし、痛みは和らいだ。梅木さんは「正しく伝わり、適切な治療を受けられた」と満足げだ。
 製薬大手のファイザーは昨年9月、慢性痛患者(約五千人)と慢性痛治療の経験がある医師(約170人)を対象に、痛みと治療に関するアンケート調査をインターネットで実施。患者の7割が「痛みをどのように伝えたらいいか分からない」と回答した。
 河田院長は「痛くてつらい気持ちはわかるが、『とにかく痛い』などと痛みの感想を話されるだけでは治療に進めない」と話す。医師任せではなく、患者自身が痛みの内容を細かく伝えることが重要だと指摘する。痛みに関する情報が多いほど治療の選択肢が増え、正確に治療方針が決められ、効果も高まるからだ。
 痛みを上手に伝えるためには、押さえておきたいポイントがある。いつから起きたか、何かきっかけはなかったか、痛む部位や強さ、差し込むようだとか、殴られたようだなどの痛みの性質などだ。

 医師が患者の痛みの強さを知るために用いる手法として、「ニューメリカルレーティングスケール」というものがある。痛みが最も強い時を10として、現在はどの程度なのかを聞くものだ。患者は痛みが弱ければ1や2などと答え、強ければ9、10と答える。
 数値を大きく言う人や、逆に控えめに言う人もいるが、患者は気にしなくていい。医師は痛みに関する他の情報も加味して、強さを補足するので、実態と大きくずれることは少ない。治療を進めていくなかでは、初診時の程度からどのくらい変化したかで、治療効果を確認する。
 痛みの性質を把握するのも重要だ。鈍い、鋭い、重いなど実際の痛みに近い表現を使う。ピリピリ、ヒリヒリ、ジンジン、ズキズキなどのオノマトペ(擬態語)も有効だ。表現の違いで「原因が筋肉なのか神経なのかなどがわかる」(加藤実・日本大学医学部付属板橋病院痛みセンター長)という。
 痛みに関する治療が専門のペインクリニックでは、医師が状態を細かく聞き出していくなかで、患者も自分のことを客観的につかみやすい。しかし、痛みが専門の医師がいない一般の医院などでは、自身の痛みを客観的に説明するのが難しいこともある。
 日大板橋病院の加藤センター長は「病院に行く前に、痛みの情報をメモし、医師に伝える準備をしておくとよい」と勧める。痛みについて(1)時期(2)場所(3)強さ(4)性質(5)日常生活への影響――などを控えておき、診察時に伝える。
 医師は、痛みの情報を基にどうして痛くなるかという仕組みを説明。治療法の種類や内容を話し、どの順番で治療するかなど、ひとつずつ患者と相談しながら決めていくことになる。河田院長は「痛み治療は患者と医師の共同作業。両者の間でよいコミュニケーションがとれることが、痛みを和らげる近道だ」と話す。
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最終更新:4/19(水) 7:47

NIKKEI STYLE

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