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米国vs北朝鮮、本当に軍事衝突ならこうなる

東洋経済オンライン 4/19(水) 6:00配信

 米朝関係が緊迫している。これまでトランプ米政権は内向きと考えられていたが、急激に関与政策に舵を切った。化学兵器を使用したシリアに懲罰としてミサイル攻撃を実施、その後、北朝鮮に対して空母機動部隊を仕向けて圧力をかけようとしている。

 これは”棍棒(こんぼう)外交”である。強大な軍事力を目鼻の先に突きつけ、時には行使する。それにより北朝鮮に、核や弾道弾に関する政策の変更を迫るものだ。だが、米国はその棍棒を用いて、北朝鮮の核を砕くことができるのだろうか? 

 軍事的には十分可能だ。米国は通常戦力だけでも、北朝鮮の核開発、弾道弾整備を不可能とし、金正恩体制の打倒もできる。

■核開発が地下要塞でも妨害できる

 米国の軍事力は北朝鮮をどのようにも処理できる。無制限の攻撃を受ければ、北朝鮮には抵抗の手段はない。

 核開発妨害は容易である。仮に施設が地下要塞化しており、場所がわからなくとも構わない。関連する電力網や物流網、交通網、従業員の生活関連施設をわかるかぎり破壊すれば、開発継続はできなくなる。

 具体的な攻撃目標は次のとおり。電力網なら、地域の発電所や変電設備、高圧電線、施設側の受電設備も破壊する。さらに石油タンクや野積みの石炭といった、エネルギーストックを焼き払う。物流・交通網なら、鉄道橋や操車場、機関車本体を攻撃する。生活関連施設ならば、水道や都市交通の中核設備である。

 これらをマヒさせれば、核開発は頓挫しよう。電力・原料不足では操業できず、従業員の出勤率も大幅に低下するからだ。

 同様に弾道弾も無効化できる。「移動式発射機の破壊は難しい」といわれるが、その運用基盤や生産・整備工場、燃料生産・輸送・補給施設を破壊すればよい。時間はかかるものの、整備不良・燃料不足によって、発射可能なミサイルは徐々に減っていく。

食料倉庫や工場を崩壊させれば飢餓状態

 さらには体制打倒も可能だろう。飢餓状態を引き起こせばよい。餓死者が大量発生する可能性に追い込めば、いずれそれに我慢できなくなる。

 これには食料の生産・供給を崩壊させるだけで済む。肥料工場や用水施設、ほかの農業施設、食料倉庫や食品工場を使用不能にすること。前述したとおり、食料や肥料を運ぶ国内外の物流網を麻痺させ、その復旧を許さなければ、大飢饉となる。

 これらの攻撃は、米軍事力にとって決して難しいものではない。通常攻撃だけ、さらに空爆限定かつミサイル・無人機主体の攻撃でも、実現できる。初手で北朝鮮防空網を崩壊させれば、あとはどうとでもなるのだ。

 防空網への攻撃自体も困難ではない。シリアでも使用した米軍の巡航ミサイル「トマホーク」300発程度で、レーダーサイトや通信施設を攻撃すれば終わる。戦闘機やミサイルが残っても効果的な迎撃はできなくなる。

■トマホークをレーダー探知できない

 ちなみにトマホーク300発の数字は、同じく米軍が持つ「オハイオ」級の原子力潜水艦2隻分にすぎない。18隻中4隻が核ミサイルを下ろし、その代わりにトマホーク154発を搭載している。イージスシステムを搭載したイージス艦とは異なり、その居場所はわからず、北朝鮮からすれば、突然発射されることとなる。完全な奇襲攻撃だ。

 このトマホークの攻撃を北朝鮮は防げない。超低空飛行を常用しており、その最低高度は30メートル以下。早期警戒機を持たない北朝鮮はレーダー探知をできまい。肉眼で発見しても、視野から1~2秒で去るため、対処できない。電線や材木切り出しのケーブルに、引っ掛かりでもしないかぎり、撃墜はないのである。

 仮にGPS(全地球測位システム)への妨害ができたとしても、現用型のトマホークには通用しない。昔からある地形高度判定誘導に加え、ミサイル搭載のカメラによる風景誘導も取り入れているためだ。それだけでピンポイント攻撃はできる。

 この防空網攻撃時に、電子戦(今は「情報戦」とも呼ぶ)を行えば、有人機攻撃も容易となる。そうすれば攻撃規模は大きくなって、北朝鮮の戦闘機や対空ミサイルも地上撃破できる。

 北朝鮮は電子攻撃には耐えられない。「レーダーやミサイルを無効化する技術」と考えられがちだが、それ以前にまず、無線通信網がダウンさせられ、戦闘の指揮や報告が混乱する。技術格差からすれば、レーダー画像のすり替えもありうる。イスラエルが2007年にシリア核施設への攻撃で行ったものだ。

 さらには有人機すら、危険な北朝鮮の上空に入らないで攻撃できる。米軍が「JSOW」「SDB」と呼ばれる滑空式誘導爆弾を用いた場合、100キロメートル以上先まで攻撃できる。これらはエンジンがない分、巡航ミサイルよりも安価で、軽いために同時多数の攻撃が実現可能なのだ。

 低速の無人機も自由に行動できるようになり、施設などの不動目標の捜索が進むだろう。発見後は、搭載した小型ミサイルやSDB、あるいは後方から発射される、巡航ミサイルや誘導爆弾による攻撃が行われる。

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最終更新:4/19(水) 8:05

東洋経済オンライン