ここから本文です

木嶋佳苗「遺言手記」全文(1) 〈筆を執ることにしたのは、母親への思いをはっきりと記しておきたかったから〉

デイリー新潮 4/19(水) 8:02配信

■余命を諦めた「木嶋佳苗」の東京拘置所から愛をこめて(1)

 季節の花を足元に果物は枕元で、香りに包まれ拘置所で夢を見る――。4月14日午後3時、木嶋佳苗被告(42)の上告が棄却され、死刑が確定することになった。獄中結婚・離婚・再婚を経るなど起伏ある日々をなお送り、刑の早期執行を請願するという彼女の告白ウィズ・ラブ。

 ***

 最高裁判決を前夜に控えた現在の心境をひとこと申し述べるなら、裁判所が真実を認める期待は皆無だから一毫の望みも持っていないということになります。

 今回、筆を執ることにしたのは、母親への思いをはっきりと記しておきたかったからです。

 4年前から私は、「拘置所日記」をブログで始め、その前年から後に小説としてまとめる自叙伝も書いていました。つまり、裁判員裁判の一審判決言い渡し直後から出版社との付き合いを始めたわけですが、母は、執筆をやめ出版社と縁を断たなければ一切の支援を打ち切る、弟妹や甥姪たちとの交流も禁じると宣告し、それは確かに実行されました。拘置所内での生活が外部の支援なしに立ち行かないのは後述する通りです。

 こういう「悪意の遺棄」、要するにほったらかしが虐待に当ることや、表現の自由に関する説明を弁護士から受けても聞く耳を持たず、支援者からの差入れ品を含む預託物は私の同意なく母が廃棄しました。その蛮行以来、私は彼女について考えることをやめていたのです。実際にサポートをしなくなった母によって否定されたも同然だった私の生命が判決で再び否定されると思う時、「ある決意」が頭をよぎるようになりました。ともあれ詳しくは最終章で触れることにします。

 2009年9月に詐欺罪で逮捕された私は2年半をさいたま拘置支所で過ごし、13年7月から“小菅ヒルズ”こと東京拘置所の2階で生活しています。長期勾留のため拘禁反応の症状が出ているという報道もありましたが、そのような事実はなく健康に暮らしております。

 それこそ数十に及ぶメディアから手記の依頼を受け、よりにもよってかねてより嫌いだと公言してきた週刊新潮にこれを寄せることにとうとう気が触れたかという突っ込みがあるでしょうし、私自身の躊躇いがあったことも否定しません。それはともかくどうせ書くのなら、この雑誌創刊以来のモットーたる「カネと女と事件」をテーマに綴るのがよろしいかということで、そのように進めます。むろん私の場合、女の部分は男になり、当局への呪詛の言葉が入ってくるわけですが。

1/2ページ

最終更新:5/10(水) 19:15

デイリー新潮

記事提供社からのご案内(外部サイト)

デイリー新潮

新潮社

「週刊新潮」毎週木曜日発売
「新潮45」毎月18日発売

「デイリー新潮」は「週刊新潮」と「新潮45」の記事を配信する総合ニュースサイトです。