ここから本文です

スタートアップ大国イスラエルが仕掛ける世界制覇系ビジネスの秘密

4/20(木) 9:10配信

ライフハッカー[日本版]

国民1人あたりのベンチャー投資額が世界一の「スタートアップ大国」として知られるイスラエル。人口800万人のこの小国には、100億円を超える金額で買収される企業も生まれています。

どんなイスラエル企業が注目を集めているのでしょうか? そして、なぜイスラエルからこんなにもスタートアップが生まれるのでしょうか? 10年以上前からイスラエルに注目し、現地で日本企業向けのコンサルティングを展開する株式会社イスラテックの代表、加藤清司さんにイスラエルの今を伺いました。


加藤清司(かとう・せいじ) |株式会社イスラテック 代表取締役

1980年11月19日浜松生まれ。浜松北高、静岡理工科大学卒、2006年、「ある技術」に注目し、そのルーツを調べ、イスラエルにたどりつき、イスラエルへと旅立ち2ヵ月過ごす。帰国後、「イスラエルのハイテク」をテーマに情報発信を開始すると、企業や行政からイスラエルに関する調査の仕事依頼がくるようになり、株式会社イスラテックの創業に至る。開始時から一貫して、一次情報を得ることを重視し、独自のイスラエルスタートアップのデータベースを構築している。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スターアップ大国イスラエルの秘密(洋泉社)』を出版。

日本の大企業はすでにイスラエルにて手を伸ばしている

── 加藤さんが立ち上げた会社、イスラテックはどんな事業をしていますか?

加藤さん:基本的にやっていることは、日本企業に向けてイスラエルのスタートアップ企業の情報を調べることを一番の柱にしています。例えば、研究開発力を高めたいとか、イノベーションを起こしたいとか、投資していきたいといった日本企業のニーズに基づいた調査です。もちろん、調査の中に、イスラエル企業の目利きもあれば、コンサルティングもあれば、その先のコーディネート、現地に一緒に付いていって企業に会わせたりとか、連絡を取ったりとか、会社によっては交渉の代行、現地の拠点をつくるところを手伝ったり、戦略を立てたり、競合分析もしたりとか、けっこう幅広くやります。


── あまり日本でイスラエルの情報って出ていないですよね。加藤さんの本『スタートアップ大国イスラエルの秘密』がAmazonの部門別ランキング1位になりましたが、まだまだ知られてない。

加藤さん:そうですね。まだあまり知られてないんですが、日本の大手自動車メーカーのトップも3カ月に1回イスラエルに通っているそうです。それくらいコミットしているのが現状です。

── ここ数年で言うと、加藤さんはイスラエルのどんな技術・企業に注目されていますか?

加藤さん:自動運転の分野でMobileye(モービルアイ)という企業があります。自動運転技術の根幹は、カメラを使って物事をしっかり捉えて判断する技術です。日本の大手自動車メーカーがその技術を開発したとき、複眼のカメラ、つまりカメラが2つないと実現できない技術だったわけです。つまり、人間の目と一緒で立体にして距離を測ろうとすると、1つの目だとすごく難しいんですね。でも、このMobileyeという会社は、1つのカメラで同じことができる、という理論をしっかり構築していたんです(同社は、2017年3月にIntel(インテル)に150億ドルで買収されました)。

日本の自動車メーカーはそれが信じられなかったようです。自社でどうしてもできなかったので。だから、できるならやってみろ、ということで研究費を出したそうですよ。そしたら本当に作ってしまった、というわけです。


── すごい技術力ですね。

加藤さん:そうなんです。まず、カメラが1個でいいなら、かかるコストが半分なんですね。そうすると、自動車メーカーはコスト競争で確実に有利に立てるわけです。実際、Mobileyeはこの分野の市場で世界シェアの80%以上をとっています。


── 他に、同じように優れたイスラエル企業はありますか?

加藤さん:はい。Autotalks(オートトークス)という会社があります。この企業は、自動車同士の高速通信技術を開発している企業です。例えば、高速道路で近くを走っている車同士がブレーキの情報を通信して共有し合えたら車はもっと安全になりますよね。でも、事故りそうになったときにその通信が3秒もかかったら意味がありません。このような通信には速さと並列性が必要で、つまり、1台だけ高速で通信できても意味がなく、2台目も同じくらい速く、同時に通信できる必要があるわけです。

Autotalksの技術は、1000台くらいの車と同時に高速通信ができます。彼らのチップが1つあると、スマホとも自動車とも、道とも、いろんなところとの通信が高速にできると言われていて、画期的な技術ですね。


── 自動車以外の分野ではいかがですか?

加藤さん:OrCam(オルカム)が面白いです。メガネ型のウエアラブル機器で、眼鏡を通して見た文字情報を音声で読み上げてくれます。使い方としては、例えば新聞を読むときに、文字を指差すだけで音声で読み上げてくれます。他には、Google Analyticsの全ウェブ版と言われるSimilarWebなんかは身近に使え、競合サイトの訪問者数などを簡単に調べることができるウェブツールです。


── アグリテック(農業技術)はどうですか?

加藤さん:イスラエルは国土が小さくて砂漠が多いにもかかわらず、食料自給率100%オーバーで食料輸出国なんですね。オランダ、イタリアと並んで、いわゆる農業先進国と言われていて、その土台は高度な農業技術で支えられています。例えば、水技術だと、茎の栄養度を測って、それに応じた栄養を茎の根本に与えていく技術があります。点滴潅水技術と言われるもので、植物の茎の根元だけに水を垂らすシステムなんです。これは、Netafim(ネタフィム)というイスラエルの会社が開発しました。

あと、先ほど自動車分野のお話にも少し関係してくるのですが、画像解析などの技術も農業に活かされています。例えば、ビニールハウスでトマトを栽培するとして、トマトの画像を解析して、「このトマトは栄養度が足りないからもう少し栄養を増やしたほうがいい」とアドバイスしてくれるシステムもあります。さらに最近だと、上空にドローンを飛ばして、畑の土壌の栄養度を測り、ここはほかの土壌に比べて栄養度が足りないからここはもうちょっと肥料をまいてください、といったフィードバックがもらえる技術も出てきました。


── すごいテクノロジーですね。日本の農業が遅れてるように感じます。

加藤さん:農業技術については、私が知っているだけでもこれくらいあるので、実際にはもっと多いと思います。

1/4ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフハッカー[日本版]

株式会社メディアジーン

毎日更新中

ガジェットなどを駆使し、スマートに楽しむ仕事術「Lifehack」。「ライフハッカー[日本版]」では、その言葉を広義に捉え、生活全般に役立つライフハック情報を日々お届けします。