ここから本文です

それでもテリーが愛された理由。非道と言われようとも…チェルシーファンが注ぐ盲目の愛

4/21(金) 10:01配信

フットボールチャンネル

チェルシーのジョン・テリーは、今季限りでクラブを退団するとを発表した。過去に問題発言や不倫騒動などで世間を騒がせたこともあるテリーは、一般レベルでは人間性を疑われても仕方がないかもしれない。だが、それでもチェルシーファンは、クラブの黄金期を築き上げた偉大なる主将を愛し続けているのだ。(取材・文:山中忍【ロンドン】)

C.ロナは133試合で5位 チャンピオンズリーグ歴代出場ランキング 1位は…

チェルシーが主将テリーの退団を発表。過去には問題発言もあったが…

 2005年CL準々決勝のバイエルン戦第1レグ、スタンフォード・ブリッジのピッチに入場する両軍のうちチェルシーの主将だけがエスコートキッズを連れていた。両軍採用を前提とするUEFA規定上は、あってはならないシーン。ジョン・テリーは、バイエルン側がキッズを連れて来なかったことに落胆する自軍側キッズを思いやり、敢えて規定に背いて少年の手を引いたのだった。

 テリーとは、“チェルシー・ファミリー”のためであれば、その仲間が小学生でも力を尽くそうとする男。ファンが慕わないはずがない。4月17日に発表された今季限りでの退団は、ついに訪れてしまった哀しい別れの時だ。

 ことイングランドのサッカー界は、クラブへの党派心ありきの世界。愛は盲目とも言うべき世界だ。テリーを見る外部の目線はファンも承知している。

 911テロ直後のアメリカ人旅行客に対する無礼行為事件、かつてチームメイトだったウェイン・ブリッジの元ガールフレンドとの不倫騒動、アントン・ファーディナンド(当時QPR)に対する人種差別発言問題など、一般レベルでは「背徳」「不貞」「非道」といった言葉で彼の人間性を疑われても仕方がない。それでもファンにとっては、有名な横断幕で謳われる『キャプテン、リーダー、レジェンド』に他ならない。

国内外で14もの主要タイトルを獲得。「多国籍軍」と呼ばれるチームの支柱に

 そもそもテリーは、強烈な仲間意識を覚えずにはいられない14歳からのチェルシー生え抜き。しかもイングランド人。1軍定着前の1999/2000シーズンの頃から、テリーの途中出場時にホームの観衆が送る歓声と声援は、並の外国人戦力に対するそれを凌いでいた。

 期待に応える実力は、19歳で迎えた翌シーズンの1軍戦力化が物語る。国産CBらしい力強い守りと体を張る勇気。98年のデビュー前年まではMFだったテリーには、イングランド人DFとしては珍しい左右両刀の足下の技術もある。

 加えて、マルセル・デサイーやフランク・ルブフというW杯優勝経験者とのコンビでも物怖じしない心臓の持ち主でもあった。最盛期にはメディアで「人造人間」と呼ばれ、クラブ歴代3位の通算713試合出場(本稿執筆時点)を記録している裏には、「将来的に車椅子でも構わない」との覚悟で体に無理を強いた献身もある。

 その間に国内外で獲得した主要タイトルの数は14。そのうち13冠は主将として勝ち取った栄冠だ。04年に始まったチェルシー黄金期は、同年に監督となったジョゼ・モウリーニョが築いたと理解されているが、実質的には同年から正式にキャプテンマークを付けて統率力を発揮し続けた「テリーの時代」だとも言える。

 ファンにすれば、巷で「多国籍軍」と呼ばれるチームの支柱が「ミスター・チェルシー」だったことが、クラブ史上初のプレミアリーグ2連覇を含む戴冠の喜びと感慨を増した。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)