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CLで躍進するモナコ、強さの秘密は非凡な“普通さ”にあり? ドルトもハマった意外な落とし穴【西部の目】

4/21(金) 12:16配信

フットボールチャンネル

 今季はモナコが強い。フランス1部ではパリ・サンジェルマンを抑えて首位に立ち、CLではドルトムントを破って準決勝進出を果たした。その強さの秘密はどこにあるのか。ちょっと見ただけではわからない、意外なところに落とし穴があった。(文:西部謙司)

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“強いモナコ”は今季で見納め? 小国らしいのっぴきならない事情

 ASモナコがボルシア・ドルトムントを2試合合計6-3(1stレグ:3-2、2ndレグ:3-1)で撃破してUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト4進出を決めた。準決勝も勝ち抜けば、2004年以来のファイナルとなる。当時の監督はディディエ・デシャン、中心選手はリュドビク・ジュリ、ジェローム・ロテン、パトリス・エヴラなど。そのとき以来久々の“強いモナコ”だ。

 04年の後もそうだったが、今の“強いモナコ”も今季限りで見納めになるかもしれない。あのときと同じように、主力の何人かはシーズン終了後に移籍すると予想されるからだ。モナコはフランスリーグの名門だが、最も不人気なクラブで財政基盤が弱い。

 不人気というのは可哀想なので補足すると、ホームスタジアムのスタッド・ルイ・ドゥは収容約1万8000人と、CLに出場するようなクラブとしては例外的に小さい。地元ファンが少ないからだ。04年に取材に行ったときのデータだが、モナコの就労人口はわずか3%だった。モンテカルロで働いている人の大半は近隣のニースなどから通勤してくる。

 サッカーを応援するファンは実はモナコ公国民ではなく、隣国フランスの人々なのだ。ファンが少ないので現在の規模で十分まかなえてしまう。筆頭株主がロシア人のディミトリ・リボロフレフになった2011年から資金繰りが良くなったとはいえ、主力をすべて残留させるのは無理だろう。

極めて普通の布陣が対戦相手にとって“落とし穴”に

 今季のモナコはヨーロッパ最高クラスの得点力を誇る。ドルトムント戦の2試合でも6ゴールを叩き込んだ。だが、モナコが最高の攻撃力を持っているかというと少し違う気もする。確かにファルカオ、キリアン・ムバッペ、ベルナルド・シウバ、トマ・ルマルのアタックラインは強力だが、後方からのビルドアップ能力はCL出場クラブとしてはかなり低い。ビルドアップの覚束なさはレスターと大して変わらないぐらいだ。

 モナコの爆発的な得点力はカウンターアタックによってもたらされており、特にボランチのティエムエ・バカヨコ、ファビーニョのボール奪取能力に依るところが大きい。長身でリーチの長いこのコンビは、体を寄せればほぼボールを奪える。攻撃開始地点が高いのでカウンターの効率がいい。

 では守備力抜群かというと、それもそうでもない。ドルトムントのビルドアップを組織で巧みに制限するなど、よく練られてはいるが、特殊な守備戦術を用いているわけでもない。極めて普通の4-4-2である。そして、それこそが相手チームにとっての落とし穴なのではないだろうか。

 モナコの守備が普通なので普通に攻め込むと、ボランチの守備力が普通ではない。奪われて「あっ」と気づいたときには手遅れ。モナコのカウンターが発動する。ジブリル・シディベ、バンジャマン・メンディらSBのサポートも速い。4-4-2の攻撃でSBがサイドアタックに加わるのは普通だが、モナコのSBはかなり足が速く、攻撃から守備へ切り替える時点で遅れるとたいてい取り返しがつかないことになってしまうのだ。

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