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「死とエロス」が一体となった女… 驚愕の展開と強烈なセリフが炸裂する濃密な“中島丈博ワールド”へようこそ!【後編】

4/21(金) 17:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 強烈なセリフの応酬や濃いキャラクター、そして独自の世界観で人気の脚本家・中島丈博さん。

 自身初となった連載小説『ITSUKI 死神と呼ばれた女』(文藝春秋)について、「死とエロスを行ったり来たりするようなシチュエーションで、挙句に頂点に達する物語」と語っていただいた【前編】に続き、【後編】ではさらに突っ込んだお話を伺いました。

 

小説を書くという作業は文章で演出してるのと同じ

 本作には洋の東西を問わず、様々な作品の引用やオマージュがちりばめられている。主人公・斎の友人である官能小説作家・宮畑弥生の作品として会話に登場する『黒い乳房の秘密』は、中島さんが脚本を書いた日活ロマンポルノ『覗かれた情事』(1972年公開。西村昭五郎:監督、白川和子:出演)の内容が使われているという。また瑞兆のモチーフである牡丹が描かれた絵「富貴図」も登場、「牡丹に四季咲きの薔薇が加わった富貴長春ならばもっとめでたいんだが」というセリフで、大ヒットした昼ドラ『牡丹と薔薇』を匂わせたりもしている。

 そして男2人と女1人の愛の物語であるジャンヌ・モロー主演、フランソワ・トリュフォー監督の映画『突然炎のごとく』(1962年公開)についてさらりと触れる部分があったり、本作のターニングポイントである凄まじい状況となる婚礼シーンでは、中島さんもファンというスペインの詩人・劇作家であるフェデリコ・ガルシア・ロルカの戯曲『血の婚礼』が引用されたりと、長年第一線で活躍されてきた中島さんならではの美意識が横溢している。

 また斎と潮が持つペアのペンダントが不思議に作用し、会えない2人を引き合わせる鏡を使った幻想的なシーンは、サルバドール・ダリと共同で製作した『アンダルシアの犬』で知られるルイス・ブニュエル監督の映画『黄金時代』(1930年公開 ダリも脚本で参加)に出てくるシーンへのオマージュだと語る。

「僕は若いときに『忘れられた人々』を観て以来、ブニュエルに取り込まれた。あの鏡を使ったシュールな描写は明らかにブニュエルに触発されています。鏡の中に別の世界を透視するということを徹底できたので、連載のときにややこしい手続きを踏んでいたクライマックスに至るシーンで、よりスピード感のある内容に書き直すことができた。リアリズムから逸脱して、これはいただきとばかり(笑い)、このブニュエルの魔力で押し通した」

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