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【試写室】「ドラマ・ミステリーズ―」俳優たちの“狂気”にあっぱれ

4/22(土) 5:00配信

ザテレビジョン

最近何かと横文字を使う人がどこの会社でも増えているように思う。アサインとかフィックスとか、ローンチとか、何か格好良くコンパクトに言っているつもりだけど、実際はそれを知らない人に説明する手間、相手が聞けずに調べる手間を考えれば、確実に時間の無駄なのでは?と考えてしまうので、個人的にはこの風潮は嫌いだ。

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まあ、そんなことを上司に面と向かって言ったら「うん。君はリストラだねえ」とバッサリ切られ、将来の予定をリスケしないといけないので、そんなことは言わないけども。

いきなり何が言いたいのかというと、各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は4月22日(土)夜9時に放送の“オムニバス”作品「ドラマ・ミステリーズ~カリスマ書店員が選んだ珠玉の一冊~」(フジテレビ系)を取り上げるからだ。まあ、前置きがちょっと強引だが…オムニバスとは、複数の独立したストーリーを並べて、大枠で一つの作品にしたもののこと。

そんな本作は、短編作品であるが故に映像化が成し得なかった傑作ミステリーを、実力派俳優×映画監督という組み合わせでドラマ化した新たな切り口の企画。

短編ミステリーと言っても、作品の質は玉石混交であり、当たり外れが大きいとされる。

そこで常に多くの本を読んで、人にそれを薦める仕事をしている目の肥えた全国の“カリスマ書店員”が、とっておきの短篇として胸に秘めていた作品をピックアップ。選出された珠玉の3篇が、大泉洋、向井理、土屋太鳳の3人の主演でオムニバスドラマとしてこのたび放送される。

向井は、今邑彩の「情けは人の…」で、バーテンダーのアルバイト・北川健史を演じる。バーの客として訪れた一人の男・赤堀(小澤征悦)が、母と自分を捨てた父の経営する会社に勤めていたことを知り、赤堀と共謀して復讐(ふくしゅう)を兼ねて社長の息子・昌彦(大西利空)を誘拐するのだが…。

大泉は、小池真理子の「妻の女友達」に出演。市役所の戸籍係・広中肇という、家と会社の往復をひたすら繰り返す刺激のない毎日を送る面白みがない“真面目な男”が、妻の大学時代の同期であり、友人の女流作家・美雪(高岡早紀)と再会したことで徐々に女流作家に対し「いなくなってくれれば」という思いを募らせ…。

土屋が出演するのは、北山猛邦の「恋煩い」。土屋演じるおまじないが大好きなアクセサリーショップ販売員・蔵元亜希が、交際相手のSNSを見たことから彼の浮気の疑念を抱く。その後、高校の同級生・茅野透子(岸井ゆきの)と卒業以来、3年ぶりに再会し、それを機に4年前のある事件の真相が明らかになり…という、3つのストーリー。

この異なる3つのストーリーの共通点は、いずれも“どんでん返し”のエンディングが存在する。確かに3つともすっかり、どんでん返された。

そもそも私自身ミステリー小説の類はあまり読まないタイプだが、ミステリードラマに関してはそんじょそこらのドラマ通よりも見ているつもりだったのだが、あまり見ないタイプのミステリーばかりで、とても新鮮な気持ちで見られた。

ヨイショはメリットがなければしない主義だが、さすがは「世にも奇妙な物語」や「ほんとにあった怖い話」など、質の高いオムニバスドラマ作りに定評のあるフジテレビと言わざるを得ない。

まず、見た順番に「情けは人の…」から。3篇の中でこれが一番どんでん返された。(気に入っている)

元々小澤のいい意味で目が笑ってない感じが好きで、彼が出ている作品は彼を追って見てしまうところがあるのだが、今作も向井を翻弄(ほんろう)する姿は、俳優・小澤征悦の真骨頂ともいうべきそれだ。たとえ、この作品が予想を裏切る結末だったとしても、彼のトリッキーな演技は期待を裏切らない。

それより何より、本作で一番ビックリしたのが大西利空という“実力派俳優”だ。恐らく今、誘拐された金持ちの子供を演じさせたら日本一と言ってもいいのではないだろうか。鈴木福や寺田心のように、天性のかわいらしさがある子供はあまたいるかもしれないが、彼はまた一味違う魅力がある。10年、20年と成長を見守りたいところだ。誰だよ。

もちろん向井の爽やかバーテンダー姿と初の誘拐犯姿もファン必見なのは言うまでもない。新たな彼の魅力が発見できそう。

そして「妻の女友達」。大泉のさえない区役所職員姿は、哀愁たっぷりで何だか切なくすらなってしまう。それも面白みのない“真面目父”って…共感しかない。子供はいないけど。

大泉といえば、最近ではリーダーシップを取る勇ましい姿や、TEAM NACSでのおちゃめな姿など、人たらしな印象も強いだけに、なかなか本作は新鮮に映った。だからこそ、狂気をはらんだ彼は心底怖いので、大泉の狂気の部分にもよ~く注目してほしい。

それに高岡早紀の“大スター感”も個人的には大好物だし、戸田菜穂の幸薄そうな演技もいい。これもしっかりどんでん返された。

それから3つ目は「恋煩い」。女子高校生時代から話は始まるのだが、土屋に岸井ゆきの、井之脇海は制服姿も大人になってからの姿も全く違和感なく存在していて、自然。

冒頭の音楽室のくだり。誰もが土屋に「ってあんた、行っちゃうんかーい!」とツッコむことだろう。心してツッコんでいただきたい。でも、おまじない好きな人は、共感を覚えるかも?

ただし、もちろんお笑い感がある作品なわけではなく、何なら個人的にはこれが一番怖かった気がする。ミステリーというよりホラーでしょ!とすら。

3つの作品に共通するのが「どんでん返し」ということだが、うまくどんでん返すために3作品共に狂気をはらんだキャラクターがいる。このギャップを楽しんでほしい。

残念ながらどれも短編ミステリーなので、核心に触れることは何一つ書けないが(当たり前だ)、素直にどんでん返されてほしい。人間素直が一番であり、最初から懐疑的な目で見たら、何も面白くないはず。

と言いつつ、正直“カリスマ書店員”が選んだからってそんなに驚くような作品なのかなと懐疑的な目で見ていたのだが…。

きっと、みんな見終わったときには皆さんも私と同様に「オー! アメージング!!」と叫んでしまうだろう。

最終更新:4/22(土) 9:01
ザテレビジョン

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