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ネットメディアのギャラ事情、4年前と今の違いは?

4/22(土) 16:00配信

マネーポストWEB

 インターネットの広告費の伸びが止まらない。電通の調べによると、2016年は新聞が5431億円で雑誌が2223億円、ラジオが1285億円、テレビが1兆9657億円で、ネットは1兆3100億円。新聞・雑誌の紙メディアは前年割れでラジオ・テレビは微減。ネットは前年比113%と好調だ。広告費が伸びると、そのメディアに寄稿した場合のギャラも高くなると語るのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。今、紙メディアとネットメディアのギャラはどのようになっているのか。両メディアで多数の原稿を執筆中の同氏が解説する。

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「ネットだから安くてごめんなさいねぇ~」――これは2013年ぐらいまでよく言われていたことだ。これを書き手の側も受け入れることが多かった。だがこの言葉が最近はあまり説得力を持たないというか、それをライターに言うと「いや、それ、理由にならないんですけど」といった戸惑いの表情をされることが増えた。

 昨今の「キュレーションメディア騒動」で、ネットメディアのギャラの安さがクローズアップされた。1記事200円だったり2000円で質の低い記事を大量生産し、広告費を稼ぐモデルである。バイト感覚でのこうした“激安ライティング業務”が存在するのはそれは仕方ない。この件が明るみに出た時、紙メディア出身のライターは色めきたった。「そんな金額でやるヤツがいると、オレらのギャラも下がるじゃねぇか」と。

 だったら自分なりの価値を示し、ギャラ向上に努めろよ、と思うのだが、一方で自分なりの価値を示すことができれば、ネットメディアのギャラが上がってきているのも厳然たる事実である。

 確かに2013年あたりまで、「ネットは記事1本で3000~5000円」といった風潮があった。また、紙メディアでボツになった原稿を出す場所としてのネットがあり、その場合のギャラはゼロということもあった。編集部の言い分としては「この件について一応に出してあげたし、あなたの署名も入れるので勘弁してね」というものだ。せっかくの取材ネタをお蔵入りにするのももったいない、取材対象者に申し訳ないということで、ノーギャラでの執筆も受けることもあった。

 そんな時代を経て、私自身も今驚いているのだが、ネットメディアのギャラが上がってきているのを実感している。紙メディアの場合、これまで私が経験した署名原稿1本のギャラは、1万5000~25万円である。ちなみに10万円超の場合は、相当な文字量になるのだが、売文屋としては実に満足のいく金額である。私の場合、大学生時(1993年)のバイト経験が報酬感覚のベースになっているようなところがあり、引っ越し屋での時給941円という金額を上回っていればそれなりに「おいしい仕事」と考える短絡的人生を過ごしている。

 その意味で言うと、紙メディアのギャラは実に高いように思えるが、ネットメディアのギャラも上がりつつあるのだ。もちろん、私自身がネットに詳しいライターとして認知されるようになり、多少なりとも評価してくれる発注主が増えたということもあるが、昨今、私がウェブメディアでの執筆依頼をされた場合、1本1万円以下はほぼなくなってきた。ある時は、「1本7万5000円」をオファーされ、あまりにも恐れ多く5万円に下げてもらった経験さえある。

 私の場合、ネットメディアの原稿執筆だけでなく、取材を受けることもあるが、その時の取材謝礼は5000~1万円が普通である。まさに紙メディアレベルの金額になっている。そして、先日仰天したのが、1時間30分ほどの取材・撮影で5万円もくれるメディアが登場したことだ。

 2000年代中盤のネットメディア黎明期と比べ、個人的には隔世の感があるネットメディアのギャラ事情だが、高くなってきたということは、「ネットも広告メディアとして価値がある」と認められてきたということだろう。ただし、「あそこは払い過ぎている。『先行投資だから……』と編集者が自分を言い聞かせ無理をしている」といった声もあるようだ。

最終更新:4/22(土) 16:00
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