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知ってる?犬に多い「副腎皮質機能亢進症」

4/22(土) 16:10配信

@DIME

ワンコに比較的良く見られるものの中に、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)という病気があります。呼んで字のごとし、副腎皮質と呼ばれる臓器の機能が亢進してしまい、ホルモンが出過ぎてしまう病気なんですよ。

副腎が過剰に働き過ぎて、副腎皮質ホルモンとよばれる、糖質コルチコイドや、アンドロジェンといったホルモンがたくさん分泌されてしまう事で起こる様々な症状が伴う物を「クッシング症候群」と言います。

先日、飼い主さんの中に人のお医者さんがおられたので、副腎皮質機能亢進症について世間話?をしていたのですが、人には副腎皮質機能亢進症というのは、滅多に見られない病気だそうです。その飼い主さん(医師)いわく、「国家試験の時に勉強したくらいで、実際には診察した記憶はないですね。」ということでした。

人は診療科目が細分化されているので、遭遇しやすい診療科とそうでない診療科があるのかもしれませんが、ワンコの場合は比較的高頻度に遭遇する病気なので、意外に思いました。

同じ病気でも、人ではあまり多くない病気が、動物では比較的頻繁に認められる。そんな違いもあるんですね。

副腎という臓器はあまりなじみが少ないかもしれませんが、腎臓の近くに位置している、ピーナッツのような形をした3~4mm程度の小さな臓器です。腎臓が左右2つあるように、副腎も2つあります。そんなまさしく豆粒のような臓器が体に影響を与えるの!?と思うかもしれませんが、とても大きな影響を与えています。

副腎皮質と呼ばれる部分からはいろんなホルモンが分泌されており、動物の体の状況に合わせてその分泌量をコントロールしています。副腎皮質機能亢進症は、そのコントロールバランスが崩れてしまい、主に糖質コルチコイドが過剰に分泌されることを言います。よく見られる症状としては、多飲多尿をはじめとして、脱毛、パンティング(ハァハァと荒い呼吸をすることです)、腹囲膨満(おなかが膨らんでいる様子です)、皮膚が薄くなるなど色々な症状が認められます。

外見上に特徴的な変化がでてくる事が多いので、私たちは診察する時に、お腹がポテッと膨らんでいて、皮膚が薄かったり、毛の薄い患者動物を診ると「なんとなくクッシングっぽいな」と、予想できたりします。ただ、全ての症状が出てくるとは限らないので、多飲多尿だけの症状だったり、脱毛だけが症状だったりすることもあります。

副腎皮質機能亢進症が疑われる場合には、エコー検査によって副腎の大きさを測定したり、血液検査でALPという項目の上昇が認められることが多いのでそれを調べたりして診断の助けにしますが、確定診断を下すのはコルチゾールというホルモン測定をすることでおこないます。

治療について基本的にはお薬で症状をコントロールするという内科治療が一般的ですが、その他、放射線治療や外科治療という治療方法もあります。どの治療法を選択するかは病気のタイプや状況によって判断していきますが、ほとんどのケースで内科治療を選択しています。放射線治療にせよ外科治療にせよ特殊な器具・設備が必要になりますし、内科治療に比較すると治療リスクも高くなります。

副腎皮質機能亢進症って、多飲多尿になったり皮膚が薄くなったりするくらいで大した病気じゃないと思われる飼い主さんもおられるかもしれませんが、いえいえそんなことはなくて、私が診察したワンコの中には、排尿が15分と我慢できなくて、常に失禁しているような状態のワンコを診たことがあります。

飼い主さんは部屋中に新聞紙とシーツを敷いているけど全然足りなくて1日中トイレの片付けをしていると本当に困っておられました。また、多飲多尿はそれほどではないけれど皮膚が非常に薄く脆くなり、背中の皮膚が人の掌くらいの大きさでズル剥けになってしまったワンコも診察したことがあります。

逆に、よく食べ、よく飲み、元気に見えるので、飼い主さんはただ太っているだけなのかと思っていたら、健康診断の過程でこの病気が発見されるというケースもあります。

よく食べるし元気もあるけれど、そう言えばお水を飲む量が多くなった気がする・・・という場合は、一度かかりつけの先生に相談してみて下さいね。

文/古江加奈子(獣医師)

@DIME編集部

最終更新:4/22(土) 16:10
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