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【試写室】「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」骨の髄まで愛せる異色作

4/23(日) 6:00配信

ザテレビジョン

「26年連続30回目」

別に大御所歌手の紅白出場回数でも、地方の高校野球強豪校の甲子園出場回数でもない。

【写真を見る】櫻子(観月)が山奥で白骨死体を見つけて大興奮!

「継続は力なり」とはよく言うが、力があるからこそ継続できるとも言える気がする。そんな気にさせられるのは、冒頭の26年連続30回目の主演ドラマが4月23日(日)夜9時からスタートする、観月ありさという女優のせいだ。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。今回はその観月が主演を務める連続ドラマ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」(フジテレビ系)を取り上げる。

本作は、2012年に小説投稿サイト「エブリスタ」で掲載された同名WEB小説が原作のミステリー。美人で名家の令嬢だが、三度の飯より“骨”を愛する骨格標本士・九条櫻子(観月)は、博物館からの依頼で、自宅のアトリエで動物の骨を組み立てる日々を送る。

高校時代は標本制作を学び、大学時代には、教授で監察医の叔父の下で法医学を修めた櫻子は、豊富な知識と類いまれなる観察眼で、難事件を解決に導いていく。

そんな櫻子が家政婦のばあや(鷲尾真知子)と暮らす邸宅を、博物館の技術補佐員・館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)が訪れる。櫻子は博物館から組み立てを依頼されていた骨を入れたトレイを手に戻ってくる。むき出しの骨に驚き、完全に逃げ腰になる正太郎に、櫻子は骨の発見場所を問いただし、「そこへ案内しろ」と言い出す。

博物館のスタッフ・志倉愛理(新川優愛)から場所を聞き、学芸員・磯崎齋(上川隆也)からは、珍しい草花の写真を撮ってくるように指示された正太郎は、櫻子の運転する車で骨の発見場所の山中へ。

到着するとすぐに、櫻子は山を歩き回り、落ち葉や土などを払いのけ何かを探し始める。やがて動きを止めた先にあったのは、なんと人間の白骨死体が。あまりの驚きに腰を抜かし、正太郎は後ずさりするが、櫻子は「素晴らしい」と恍惚(こうこつ)の表情を見せる。

正太郎の通報で、刑事の山路輝彦(高嶋政宏)、近藤卓也(細田善彦)と鑑識がやって来るが、遺体は完全に白骨化しているため、詳細は調べないと分からないと言う。ところが櫻子は、死亡推定時期、年齢、性別、利き手まで、スラスラと言い始め、刑事たちを驚かせる…。

基本的に取材でもなければ事前に新ドラマ情報を極力入れずに初回を見るタイプということもあり、最初はタイトルから古い一軒家に住む変人研究者・櫻子の家の畳の裏あたりに死体が埋まっているのかと思っていたが…そういうんじゃないのね。うん。(って、原作知っておけ)

まずは藤ヶ谷。強い女性に巻き込まれるのは、いつだってこういうイケメンだ、という平安時代からの格言通り、実に絶妙な巻き込まれイケメンっぷり。それも心の声がまた面白く、悔しいがいちいちかわいい。そのルックスでそんなかわいらしさを出されたら、われわれの勝ち目がないでしょうが!

ハナから勝ち目はないとして、そんな“巻きメン”の彼。ただただ巻き込まれてオドオドしているだけではなくちゃんと言いたいことは言うし、主張がとてもピュア。

これ以上褒めるのはあれなので、割愛するが、とにかく月曜夜遅めの時間にバラエティーで女性をとりこにしている彼の姿とはまた違った一面が見られる。見どころは「いくぞ少年!」「少年じゃありません! 26歳です!」のくだり。筆者もBUSAIKU!?な顔でゲラゲラ笑ってしまった。

自虐はほどほどにして、植物オタクの主任学芸員の役で出演するのはわれらが上川氏。草花を罵倒したり、かと思えば褒めたり、結構な変人の役だ。ひょうひょうとしていて謎の多い役柄だが、ライトな雰囲気が新しい。少しビジュアルもいつも以上に若く見える。

もともと実年齢よりだいぶ若く見える方だが、今回はより若々しい。藤ヶ谷との絡みで見せる、さりげない優しさが“内助の功”のようでとてもいいですぞ。

おっと、出過ぎたまねを。では、そろそろ“姫”の話題を。

26年連続で主演を務めるというのは、もちろん周囲の支えもあってこそだとは思うが、ひとえに彼女を見たいというファン、そしてドラマ制作者たち撮る側の心をつかんで離さない何かがあるのかも。

悪く言うつもりは毛頭ないが、観月はいつだって観月だ。女優で「高身長、言いたいことをはっきり言う、強そう」でキャスティング会議をすれば、恐らく彼女の名前が最初に出てくるのではないだろうか(失礼)。今回はそれに“変人”“スイーツ好き”というスパイスを加えて新鮮味を出している。

変人の部分は、もちろん骨を愛するということ。よく夜の社交場などで「ねえ記者さん、骨の髄まで愛して~!」と言われることがあるのだが、そういう意味ではなく、物理的に骨を愛しているそうな。既にSNSなどで話題にもなっているが、頭がい骨を持ち上げて見詰める姿はとても斬新。

不思議と気味悪いなという印象を与えないのは、観月演じる櫻子が骨を扱うとき快活で愛らしい顔をしているからかも。決して感情移入できるとは言いづらいが、彼女の行動・言動を理解しようかなという気にはさせられる。

その他、“博物館の華”愛理役の新川に、実は意外と優しいんじゃないか疑惑の山路刑事役・高嶋、“ばあや”こと家政婦役の鷲尾、初回のゲスト・原田佳奈、三倉茉奈の“新マナカナ”などなど、とても骨っぽく魅力的な人物たちがそろっている。初回からエンジン全開だ。

またしても長くなってしまったが、このドラマのじわじわくる面白さが骨身に染みてきて、書きたいことが止まらなくなってしまった。まいっか、だって「継続は力なり」だ。

違うか。

最終更新:4/23(日) 6:00
ザテレビジョン

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