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トランプ大統領の「減税」は実現するのか

4/23(日) 17:00配信

オトナンサー

 4月24日、2週間の春休みを終えて米議会が再開しますが、議会の前には課題が山積しています。

【3分でわかる動画】トランプ政権「減税」の狙いとは

 まずは、28日に期限が切れる2017年度予算に対応することです。現在の継続予算の期限が切れると、翌29日から年度が終了する9月30日まで予算がつかない状態となってしまい、政府機関が一部閉鎖される事態も想定されます。

 議会は春休み前、年度終了までの新たな予算を準備しつつありました。ただ、トランプ政権は国防費の増額や非国防費の削減を求めており、新たな予算がスムーズに成立するかは不透明です。議会が短期の継続予算をつなげて交渉を続ける可能性もありそうです。

2018年度予算は減税などが焦点に

 2017年度予算が決着すると、10月1日に始まる2018年度予算の審議が控えています。そこでは、トランプノミクスの柱である減税やインフラ投資が焦点となるでしょう。ただ、トランプ大統領の指導力の欠如や求心力の低下が浮き彫りとなったことで、それらの先行きにも暗雲が垂れ込めていると言わざるをえません。

 トランプ政権は3月16日に予算案を公表しました。それは、従来の予算教書にはほど遠い内容で、歳出の一部についての概要に過ぎませんでした。トランプ政権は減税やインフラ投資を含む包括的な予算案を5月に発表し、議会審議の後に8月ごろの成立を目指していましたが、それはすでに非現実的な目標となっています。

 トランプ政権から正式な減税案が出ているわけではないため、詳細は不明です。ただ、トランプ候補が選挙戦で公約していた減税案は、所得税や法人税の税率引き下げ、資産税の廃止などを組み合わせたものです。そして、いくつかのシンクタンクによれば、それらは10年間で約6兆ドルの税収減につながるといいます。対外競争力を高めるために、輸入に課税して輸出を非課税とする「国境調整税」も俎上にのるかもしれません。

乏しい財源の問題をどうするのか

 さて、減税案にかかわる最大の問題は財源に乏しいことです。トランプ政権は経済成長の高まりによる自然増収をアテにしているかもしれませんが、前出のシンクタンクの一つによると、減税コストの3分の1程度しかカバーできないようです。歳出の削減は国防費の増額に向けられるため、財源にはなりえません。

 さらに、トランプ大統領は、最大の歳出項目である社会保障には手をつけないと公言しています。その上、1兆ドルとされるインフラ投資が加わるため、帳尻が合うはずもありません。

 ここに来て、トランプ大統領は一度棚上げにしたオバマケア(医療保険制度改革)改廃法案の成立を優先する意向を示しています。オバマケア改廃によって一段の歳出削減が見込めるからです。ただ、一度は共和党内の保守強硬派や穏健派の一部からも批判が噴出したオバマケアの改廃を進めることができるのか、こちらも見通し良好とは言いがたいものがあります。

 仮に減税やインフラ投資によって財政赤字拡大が見込まれるのであれば、共和党内の保守強硬派はそれらにも強く反発しそうです。また、減税が企業や富裕層を優遇するとみなされれば、民主党から支持を取りつけるのも難しいでしょう。

 減税がトランプ大統領自身の利益に資するものかどうかをチェックするため、民主党は大統領の納税記録の公開を要求しており、それなしでは審議に応じない構えを見せていますが、トランプ大統領は公開拒否の姿勢を貫いています。

政策実現には“歩み寄り”必要?

 こうした状況下、ムニューシン財務長官は、年内の減税成立は「可能」としていますが、市場では懐疑的な見方が強まっています。

 歴代大統領は、就任直後は自身の公約やイデオロギーを強引に実現しようとして数多くの失敗をしました。そして、その苦い経験を生かして、野党に歩み寄ることで政策を実現してきたのです。

 果たして、トランプ大統領にそうした学習効果は働くのか――。就任から100日間の「ハネムーン期間」が終わろうとしている今、トランプ大統領に少しでもその兆候が現れるのか興味深いところです。

株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘

最終更新:4/23(日) 17:00
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