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【政策データ分析:第1回】花粉症に苦しむ人は2000万人? --- 西村 健

4/23(日) 17:48配信

アゴラ

花粉症はつらい・・・・らしい。

街にはマスクをする人、せき込む人、目は充血している人が幾分増えたように感じる。他方、CMでは花粉症対策の商品の宣伝が流れている。

眉間に寄せられた皺、咳やくしゃみの数だけ、苦しい思いがある。そして、多くの人の我慢は積み重なる一方で、我慢したからと言って治るわけでもない。諦め、忍耐、苦しさ、その精神的な負担は計り知れない。「働き方改革」「ワークライフバランス」のテーマにそもそもあがってこないこと自体何でなのだろうかと思ってしまう。

このような光景は10年前くらいから「日常」になったのだろうか。花粉症ではない自分にとっては他人事に過ぎなかったが、ここまで多くの人が苦しむ現在、見過ごすわけにはいかないと思うようになった。

まずは、定義から確認しよう。

体に入った花粉を異物と認識し、その抗体を作って排除しようとする反応ということらしい。病気ではなく、症状であるということ。

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、嗅覚異常、目のかゆみや涙が出る、耳のかゆみ、皮フのかゆみ、頭痛、せきの発作、微熱、だるさなどがそれにあたる。

少し整理すると

“【軽い症状】目がかゆい、涙、目の充血
【重い症状】喉のかゆみ、咳、鼻づまりによる頭痛、鼻や喉 の炎症反応による微熱、だるさ”

といった症状になる。

花粉症として診断され、患者になるプロセスは以下の図を見ていただければありがたい。

多くの人が苦しむ一方、何が問題なのだろうか。
なぜ国や政府は対策がとれないのか?

“問題1.全国レベルの厳密な調査が存在しない・・・・ようだ”

これだけ国家レベルで、国民病といわれるくらいのものであるから、国が調査を実施しているはず。その事実は何かしらの調査や研究が「国家レベル」で行われ、裏付けられている・・・はずだと思っていた。

しかし、ない、ない、ない。本当にないのだ(私が調べた限り)。

環境省が作成している「花粉症環境保健マニュアル」には「日本において花粉症を有する人の数は、正確なところは分かっていません」と赤裸々に記されている。

専門家に言わせると、アレルギー性鼻炎、もともと鼻炎でそれにプラスして時期的に鼻炎なだけ・・・など明確に花粉症が定義できないことがその理由だそうだ。また、自覚しても病院にいかないこともあり、花粉症と自覚していても、単なる風邪だったようなこともありうる。

“問題2.花粉症被害者数は2000万人?”

環境省「花粉症に関する調査・検討業務」では、飛散量・日数を明記している。公的データと民間データから代表的なものを見てみたい。

(1)公的:全国疫学調査
全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査という全国レベルの調査があり、花粉症全体の有病率(ある一時点において、疾病を有している人の割合)は29.8%、スギ花粉症の有病率は26.5%という結果が示されている。

(2)公的(自治体):東京都の花粉症患者実態調査(http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/kafun_servey/juutenn/houkokusyo1.pdf)

・2006年(10月~11月)の東京都の調査で、スギ花粉症の有病率は、あきる野市28.0%、調布市27.1%、大田区28.5%

(3)民間:第2回『花粉症意識・対策実態調査』(アサヒ飲料実施)(https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2012/pick_0229.pdf)
・5500万人が花粉症自覚症状者

そうとにかく人が多いのだ。生産年齢人口(15~64歳)が7708万人なので、その25%で1925万人、だいたい2000万人というところだろうか。

まさに国民病。

なのに、国民病を退治することにどれだけの対策が取られているのか、優先順位が他の政策より高いのではないか、経済的な生産性をあげるためにも必要では?というのが私の問題意識を強くしてしまう。

“問題3.そもそも現状把握と「見える化」の必要がある”

あなたが仕事でトラブルを抱えたときどうするだろうか。まずはどういったトラブルなのかを正確に把握して、おかれた状況を考察するだろう。そして、深層原因を考え抜いて、対処する。浅い考えや思い付きの対処療法は聞かない。それが人生の経験則というもの。

現状が正しく把握されていなければ、対処方法もより的確になる。

環境省が2002年から2年間、約5000人の小学生を対象におこなった大規模調査で、スギ花粉症の有病率とスギ花粉の飛散数や両親のアレルギー歴との間に関連があることが認められている。親が花粉症の場合、雪ダルマ式に増えていくことが予想される。

今後、花粉症問題を「社会問題」としてとらえ、データ分析を通して処方箋を考えていこうと思う。

【注意】筆者は政策データ分析の専門家ではありますが、医療の専門家ではありません。また本記事の内容は所属機関とは関係なく西村個人の見識に基づくものです。お問い合わせなどはkenchanomnimedia@gmail.comまでお願いします。

西村 健

最終更新:4/23(日) 17:48
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