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変わりゆく団地とURの未来ーーひばりが丘団地「夢の跡」#3

4/24(月) 17:00配信

文春オンライン

(#2より続く)

活気ある団地を訪ねて

 鶴川団地に足を運んだ。小田急線で新宿から30分強で鶴川駅に着く。駅からはバスで約10分だが、やはり住人は高齢者が多いらしく、団地のバス停で降りる客は老人パスを使う人ばかりだった。

 まずは団地をひと巡りする。ここは平坦なひばりが丘団地とは正反対で坂が多く、道路のほとんどが曲線を描いている。高齢者はかなり行動を制限されそうだ。

 だが大きな樹木が生え、それに建物が5階建てのせいか空がスコンと抜けて開放感がある。どことなく見飽きない景色だ。世帯数でいえばひばりが丘団地と遜色がなかったのに、地形や建物の配置のせいか、こぢんまりとまとまった印象になる。

 住居棟が並ぶ一画から道路を横断する陸橋を渡って、広場がある商店街へと向かった。

 鶴川の広場は長径約90メートルの菱形をしており、ひと目で全体が見渡せる絶妙なサイズと形状だ。広場の周囲にスーパーをはじめ、酒屋、蕎麦屋、ケーキ店など個人商店が軒を連ね、郵便局や市立図書館もある。広場にはちょっとした遊具もあり、幼い子供を連れた母親や、小さな子供たちが遊んでいた。まさしく団地の顔と言え、ひばりが丘には見られなかった空間だ。

団地外の人も集まる広場

 この広場に面したケーキ店「ル・ソレイユ」の日下幸三さん(47)に話を聞いてみた。

「以前は洋菓子メーカーに勤務して海外店のプロデュースを担当していました。自分のお店を持ちたいと思ったとき、他にも候補地はありましたが、鶴川は環境がよく何よりこの広場に惹かれた。多くの子供たちが遊ぶ雰囲気も含めて、ちょっとヨーロッパ的な空間ですよね。広場に面している分、閉鎖的でもあるので最初は団地のお客さんが中心でしたが、今は口コミで外のお客さんも増えています。この広場だと子連れのお客さんが買い物をしている間、安心して子供を遊ばせておけます。必ず誰か大人が見ていますからね」

 広場を中心に魅力的な店があるから団地内外の人々が自然に集まって来る。そして賑わいが生まれることで魅力が増し、さらに多くの人が集まってくる。街に中心があるということは、こういうことなのだろう。

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最終更新:5/11(木) 17:18
文春オンライン

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