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さまざまな「愛」のカタチ。「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017」見どころ解説。

4/24(月) 19:32配信

VOGUE JAPAN

今年で第5回を迎える春の京都の風物詩、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が開幕した。市内に点在する歴史的建造物などを回遊しながら国内外の貴重な写真作品に触れる本展。テーマの“愛”と表裏一体の“死”を強く感じたというアートライター住吉智恵氏が、京都中に溢れる愛の本質を紐解く。

京都国際写真祭の見どころをもっと知る。

今年のテーマは「LOVE」。宗教や歴史、地域や環境、世代や階層によって「愛」の形はそれぞれだ。また多様であればこそ、微妙な差異が軋轢や衝突を生んできた。普遍の「愛」はどこかにきっとあるはずだが、ノイズに満ちた生活の中では聴こえてはこない。それどころか「愛」の過剰が憎しみを増長し、「愛」の欠如が暴力を誘発したニュースばかりが聴こえてくる。

すべての展示会場を廻り終わって印象に残るのは、「愛」をテーマにしながらも、むしろ「死」を強く感じさせる作品が多いことだった。

イザベル・ムニョスは帯問屋の老舗、誉田屋源兵衛の黒蔵で3つのシリーズを展示している。昨年スペインの国民写真賞を受賞し、タンゴや闘牛士、エチオピアの戦士の連作で知られる女性写真家だ。

トルコのイスラム教神秘主義スーフィズムの、神と一体化して高次の精神性に到達する儀式的な旋回舞踊を撮影した「Love and Ecstasy」。コンゴの森林地帯で、ゴリラやボノボなど、純粋で率直な愛情表現を示す霊長類の肖像を撮影した「Family Album」。

もう1つは、メキシコの若者のコミュニティで行われているという、顔に刃物を突き通し、身体を鉤で宙づりにすることで神に近づこうとする儀式の様子をとらえたシリーズだ。生理的に刺激が強い作品なので注意が必要だが、ほかの2つと併置された、紛うことなき同時代の現実として観ることをおすすめしたい。

数多くの著名人を撮影したアメリカの写真家アーノルド・ニューマンの回顧展は二条城で開催されている。スタジオ撮影が主流であった1940年代、被写体の人物が慣れ親しんだアトリエや自宅などでロケを行い、愛着のある象徴的な事物を取り入れたポートレートは、彼らの類い稀な個性や偉業を示唆している。

ジョン・F・ケネディが側近たちとテラスで談笑する群像的肖像、あの丘の家を背景にたたずむアンドリュー・ワイエス、ひび割れた鏡を彷彿させる設えで撮られたマルセル・デュシャンなど、その人となりや活動を知ればニヤリとするような、粋な写真が揃っていた。

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最終更新:4/24(月) 19:32
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