ここから本文です

B.LEAGUE、日本初のスポーツの社会的責任イニシアチブ

4/25(火) 15:29配信

オルタナ

昨秋に開幕した男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」。 開幕戦では世界初の公式戦での全面LEDコートが話題になったが、「BREAK THE BORDER」というスローガンの通り、新しいスポーツ観戦の形を提示した一方、今年初めに日本初のSSR(スポーツの社会的責任)イニシアチブとして、「B.LEAGUE Hope」を発表した。そのグランドデザインの設計に関して、サポートさせていただいたので、設立の背景と狙いについて紹介したい。

■スポーツの社会的責任とは

海外ではスポーツ選手やチームが様々な社会貢献活動を実施していることは日本でも知られているが、特にリーグやチームレベルではCSRと同様にSSR(スポーツの社会的責任)という。社会への責任を果たすという点においてCSRと違いはないが、スポーツだからこそできること、負うべき責任がある、という発想である。

スポーツだからこそできること、それはスポーツの「知名度」と「チャネル力」を活用し、社会を変える活動に貢献することである。普段は聞き流してしまう社会課題も、スポーツが発信することによってファンに届き、アクションを喚起できる。

日本では企業がCSRの一環としてスポーツ活動を支援するケースはよくあるが、SSRは、プロスポーツチームやリーグが主体となってマーケットであるコミュニティーに対して実施する活動である、という点に留意いただきたい。

■B LEAGUE Hope の背景と狙い

1)リーグで統一した社会的責任活動

B.LEAGUE Hope の最大の特徴は、リーグで統一されたブランドである、ということだ。日本では初だが、私がインターンをしていたNBA(米プロバスケットボールリーグ)では、NBA Caresという名称で大規模に展開しており、海外ではリーグで統一した活動を実施しているところが多い。

リーグ統一イニシアチブのメリットは、各チームの活動をムーブメント化できること。社会貢献活動の分野や手法は様々だが、共通の目標をコンセプト化することにより、訴求しやすく個々の活動の意義も大きくなる。ただ、すべてのチームの共通の目標となるコンセプトづくりはそれほど容易ではなく、現状分析と各チームとの相談・交渉に半年以上を費やした。

現状分析においてまず着目したのは、各チームの社会貢献活動の実態、スポンサーのCSR理念、そして拠点自治体の政策課題である。リーグが掲げるコンセプトは、実質的にリーグの事業に関わるステークホルダーすべてにとって共通の目標(Shared Value)でなければならない。その共通の目標を浮き彫りにするため、BリーグSRチームと各データを丁寧に分析し、ブレストを重ねた。

2)SDGsを掲げる

現状分析と並行してのコンセプトづくりで重視したことがふたつある。ひとつは、バスケの強みを生かした独自性のあるコンセプトにすること。この観点から、大枠としてどうしても外せなかったのが、SDGsを掲げることだった。

バスケットボールは、実は世界で加盟国・プレイヤーともに最多のグローバルスポーツで、その点からもグローバルの視野で活動を実施していくことは必須であり強みにもなると考えた。SDGsの日本での認識度アップに貢献できたら、という思いもあったが、SDGsとB.LEAGUEが、設立、始動の年がともに同じという運命的な偶然が決定打となった。

しかし、地方のチームは「グローバルのことは関係ない」と思っているところも少なくない。そこは時間をかけ、「皆さんが事業を展開しているこの地域は地球の一部ですよね」と問いかけ続けた。

3)小学生のファンにも分かりやすく

もうひとつ重視したことは、ファンに伝わりやすいコンセプトにすること。活動の目的は、「ファンを動かす」ことだからだ。現状分析のなかで見えてきたいくつかの項目をキーワード化する際には、ただこの一点を重視した。そうしているなかで天から降りてきたのが、「オフコートの3P」だった。

3Pシュートは試合の勝敗を分けることもあるほど威力があり、小学生でも知っている。その3Pをキーワードに、社会課題を3つのP(Planet, People, Peace)に分類し、SDGsと連携させたのが「B.LEAGUE Hope」である。各チームは、これまで通りの活動を大幅変更する必要は全くなく、3Pという視点で実施していくことを推奨することで参画しやすいしくみにしている。

リーグでは今年1月のオールスターで日本財団と連携し難病の子どもたちを招待した。小さくても本質的な活動を、という意図で派手なことはまだ実施していないが、今後各チームの活動も本格化していくのが楽しみだ。

スポーツ支援でなくスポーツをツールとしたCSR活動も最近増えている。5月から初代王者を決定するB.LEAGUE FINALも始まるので、ソーシャルなB.LEAGUEのゲーム観戦も是非。

◆梶川三枝(かじかわ・みえ)
スポーツを通した社会変革を推進する日本初のプラットフォームSport For Smile創立者・ 代表。株式会社Cheer Blossom代表取締役。一般社団法人Next Big Pivot代表理事。国連や世界銀行との連携イベント等を展開する一方、NBA(米プロバスケリーグ)や東京オリンピック招致活動での経験を活かしプロスポーツチーム等に「スポーツの社会的責任(SSR)」に関するアドバイスを提供。TEDx、英 Economist誌セミナー、モナコ・アルベール殿下主宰会議等にも登壇、Rio+20では世界で100名のPanel of Personalitiesに選出された。

最終更新:4/25(火) 15:52
オルタナ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

第一特集「難民・人権問題でビジネスは無力か」
ゴールドマン・サックス証券、プロボノで支援
難民支援 独、米国、韓国の最前線を追う
企業の人権問題、成長・リスクの分水嶺