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人生ベスト3に入る煮込みに遭遇した武蔵新田の酒場『M』

4/25(火) 19:10配信

@DIME

人生ベスト3に入る煮込み発見!武蔵新田『M』の評価

オヤジス度    ★★
エルドラ度    ★★★
オヤジナリティー ★★★

 ここんとこ、東急多摩川線の店の話が多いでしょ? しょうがないよ、今オレが徹底的に攻めてる路線なんだから。

 だって世間で、ちょっと通の呑み屋街っていうと、なにかというと赤羽とかさ、立石とかさ、もうテレビとかでも出すぎの街を決まってやってるじゃん。もう飽きたろ あんな街。

 そりゃあイイ店もあるだろうけど、そんな徳光和夫が仕込みのバスの旅でこの前行ってたおでん屋とかで呑んで面白いか? まぁおもしろいだろうけど、もっと自分の地元だったり、仕事場近所でイイ店を開拓して飲んだ方が、それより数倍面白いのにな~。

 そんなワケで今回も、多摩川線の武蔵新田っつう駅周辺を、友人のT氏とイイ店を探して歩いて見た。

 ちなみに“武蔵新田”と書いて“むさししんでん”と読みがちだけど、正解は“むさしにった”なんだが、覚えておいても近所に来なきゃ得はない。

 で、まぁ外観の佇まいからして良さそうな店は何軒もあったんだけど、そんな中でも特に気になったのが、駅前の商店街を南の方に歩いてしばらくいったトコロにある『M(仮名)』という酒場。

 駅前の繁華街をしばらく歩いて、ちょっとお店が少なくなってきたあたりにあるというロケーションはもちろん、入口の上に掲げられた、中に蛍光灯が仕込んであってうっすら光る看板が印象的だったんだよな~。白地にクッキリと黒で『M(仮名)』という店名の正式名称が、書道の楷書のように、なんのケレンミもなく書かれていて、その上に“もつ焼”と“煮込み”という二つの単語が、これまた黒でググッと書かれている。

“もつ焼”と“煮込み”っていう単語だけでもグッとくるのに、この看板の、白と黒、それもヘタにデザインされてない文字のなんともいえない潔い雰囲気。これはナイス酒場に違いないと確信し、入店しようとしたその時、一組のカップルが店内から出てきた。

「安くてうまかったね~」

 そのカップルの話し声がこっちまで聞こえる。すると思わずT氏が、そのカップルに、

「この店、良かったすか?」

 と話しかけた。

『もつ焼の価格に見える謎!!』

 さすれば、カップルの女性がすぐさま条件反射のように、

「ダチョウの刺身が最高ですよ!!」

 おっとおおお! もつ焼と煮込みがうまいだろうと予想してたら、思わぬ伏兵登場! それもダチョウだ!! なんだかワクワクしてくる気持ちを押さえつつ、そのカップルに情報提供のお礼をいい、店内に入る。

 店内は引き戸の入口を入って左側にはカウンター越しに厨房が見えていて、入り口の右手がホール。ホールの奥半分くらいは入れ込みっぽい座敷があり,満席ならば20人くらいは入れる大きさ。とはいえ、オレたちが入店した時は、常連さんらしき初老男性が一人呑んでいるだけで、奥の座敷は、さっきまで例のカップル以外にも団体がいたのか、大量の食べ終わった皿をお店の人が片づけている最中だった。

 卓上には飲み物メニューだけが置かれ、料理メニューは壁に貼られていたり、日替わりがホワイトボードに書かれていたり。まずはレモンサワー(350円)をお願いしてから、気になっていた煮込み(400円)を頼む。

 じっくりメニューを見てみると、もつ焼っぽいメニューはタンとかテッポー、カシラなんて書いてあるんだけど、どれも500円という値段。いわゆる串のもつ焼としてはバカみたいに高い!

 これはひょっとすると3串か4串で500円という設定なのか? と思うが、もう脳味噌が“もつを食べたい脳”になっていたので、タン(たしか500円)を注文。

 噂のダチュウの刺身もメニューに書いてあって、650円となっているが、お店は熟年夫婦と思われる二人で回していて、料理を奥様、ホールをご主人という感じなんで、一度にあんまり料理を注文するのも大変だろうと、とりあえずはこのくらいにしておく。

 マカロニサラダというオヤジ殺しなお通しとレモンサワーで「くぅ~っ!」なんていってるトコロにまず登場したのがもつ煮。コレが見た目がキレイ!

 オレね、ブタのもつ煮は東京というより、本場の群馬や隣の栃木でかなり食いまくってる自信があるんだけど、うまいトコロってやっぱりモツがキレイなんだよね。で、ここのもつ煮は、いや~今まで見たもつ煮でも1、2を争うくらいにキレイなんですよ。モツの腸壁っていうかね、そのシワシワがなんとも優雅に光ながら波々という曲線を描いてまして、お鉢の中に入っているのは、まず煮汁は当然として、それ以外にはこのモツと豆腐のみ! あ、あと薬味に白ネギの小口切りね。

 上州あたりのもつ煮は、モツとコンニャクだけ、もしくはモツのみってヤツで、オレはそれが大好きだったんだけど、モツと豆腐のみっていうのもまた素敵じゃないですか!

 まずは一切れ、熱々のヤツをフーフーと息吹いて冷ましながら食べる。

『そしてダチョウの刺身、満を持して登場!』

 食べた瞬間、もうまいった!

 いやいやいやいやいやいやいや~まいった!! このもつ煮、東京周辺でオレが喰ったもつ煮では一番うまい!! 少なくてもオレが一番好きな味! 全国っていうか北関東も含めてもベスト3に入りますよ!!

 煮汁が脂ぎってないんで、かなり丁寧に、ムダな脂を取りながら煮てるんだろうな~とは思っていた。ただ脂が少ないっていうのは諸刃の剣で、味の力強さが物足りなかったりすることがあるんだけど、もうしっかりと力強い! この脂に頼らず力強いっていうのが、もう白眉!

 そしてモツ自体にもシッカリ味が染み込んでいる!! うわ~惚れちゃう味ってこういうヤツのこというんだろうな~。

 もう一口食べるごとに「たまんねェぞこれ~」なんていいつつ感動してると、今度は、タンがやってきた! いきや~これがまた予想を裏切るルックスで、焼かれた豚タンが皿にどっちゃりと盛られてた!! 串じゃない、もう焼き盛り状態! これ、串だったら軽く6本分くらいあるわ!!

 これがまたしっかりとした塩味が付いててね、豚タンの味をグッと引きして、そして昇華させている。

 ちょっとちょっと大変な発見ですよ、この店! もうこの時点でT氏が我慢できず、「ダチョウの刺身もいきましょう!」とオーダー。聞けば、この店の料理担当の女将さんが山形出身で、このダチョウは山形のダチョウ牧場から直送しているという。

 そして登場しましたダチョウの刺身! 一瞬見た目はハツの刺身みたい。鶏の刺身に比べると、ずいぶん赤っぽく、脂分がまったくない。そしてこれまた光ってる。

 味は三連続で誉めまくるけど最高! どうにかこの味を説明すると、馬刺しから鉄分っぽい味わいを抜いて、鳥類独特の甘みを加味した味かな~。淡白というよりも、しっかりとした強力な旨味があって、それが脂のない分、ストレートに舌で感じられる。

 一口で「あ~これって肉の味!」っていうのが、他のどんな肉よりわかるような味、といってもいいかもしれない。

 いや~ちょっと感動した、っつうかすごい感動した、この『M(仮名)』! おかげで何ひとつくだらないことが書けなかったじゃねェか!!

 こういう人知れずの名店が実はいろんなところに隠れてんだよな~。もうさ、これ読んだら、ほんと皆さんも自分の家の近所でこういう隠れた名店を探しに行った方が絶対にいいと思う。

 オレはこの連載で、店の情報ではなく、そういう精神を伝えたいんだよな~。とりあえず今回、いいたいことはいいました。

文/カーツさとう

@DIME編集部

最終更新:4/25(火) 19:10
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