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もう過去の人? ご立派だが面白くなかったオバマの退任後初演説

4/25(火) 21:00配信

ニューズウィーク日本版

<オバマ前米大統領が退任後初の演説を行い、昔懐かしい気さくな語り口で若者らに市民参画を奨励したが、立派な「元大統領」になるにはまだまだ修行が必要だ>

バラク・オバマ前米大統領が月曜、久しぶりに表舞台に戻ってきた。(トランプには)見られない鋭い知性や満面の笑顔、自然体が醸し出すカリスマ性など、オバマがアメリカにもたらした良い面を改めて思い起こさせた。

米シカゴ大学で学生や高校生を前にした演説で、次世代の若者がもっと活躍できる社会に変えたいと語る姿はさすがだった。ステージに上りながら「私の留守中に何があったんだ?」とジョークも飛ばした。

ボランティアや大統領の職務について学生たちと面白おかしく会話を広げ、コミュニティー・オーガナイザーとして活動した自身の体験談を披露した。多様性に満ちた若者のリーダーたちが集まったイベント会場は、まるでまだドナルド・トランプが新大統領に就任した1月20日以前にタイムスリップしたかのようだった。

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だが、感動的なイベントでオバマは粋だったとしても、立派な「元大統領」としてはオバマはまだまだ修行中、というのも明らかだった。

退任後の名を上げる活動とは

もちろんオバマにはさまざまな活動が待っている。金儲けもその一つだ。月曜の演説は無償だったが、報道によると、今後は一講演で25万ドル以上の収入が入る。本を執筆し、その印税でシカゴ大学に大統領在任中の記録を収める図書館や大統領記念館を建設するほか、母校コロンビア大学にも研究機関を設立する考えだ。

現代の大統領が皆、引退後にやってきたことだ。ジェラルド・フォード元大統領は、大企業の取締役会に名を連ねることで荒稼ぎした。ジミー・カーター元大統領は慈善活動で精力的に取り組んだ。ジョージ・W・ブッシュ元大統領も、退役軍人の支援やアフリカでのHIV(エイズウィルス)撲滅運動に携わってきた。今のオバマは、その途上にいるのだ。

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次世代を担う若者が政治やボランティア活動に参画しやすくするというオバマの発想は、前任者たちと重点が異なっているので好奇心をそそる。ただ、オバマが開けようという扉は、既に開いている。いま全米の大学で、学生の行動主義を阻むものは何もない。

確かに若年層の投票率は低いが、時に政治が面白くなると跳ね上がる。オバマが大統領選に出馬した2008年が良い例だ。彼が民主党予備選でヒラリー・クリントンを破り、最後には共和党候補のジョン・マケインに勝てた原動力は、若い世代だった。

オバマは勘違いしている。若者が行動するのは誰かにやれと言われたときではなく、自分たちにとって政治が重要な意味を持つと感じたときだ。

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もちろん、ビル・クリントンが設立して後任のブッシュやオバマが継承したボランティア団体アメリコーであれ、ジョン・F・ケネディ元大統領が立ち上げた援助団体ピースコープであれ、市民が主体の支援活動に道を開くこと自体は素晴らしい。任期中に暗殺されたケネディは退任後のキャリアが閉ざされたが、彼のレガシー(政治的遺産)を守ろうとした人々はハーバード大学ケネディ政治大学院の設立に寄与し、それが米政界の支柱となった。

だが、周囲との会話が足りないとか、若者が選挙に行かない、或いはPTAのような仲介組織が減りつつあるといったどこにでもある問題は、オバマがどんなに熱心に説教したところで簡単に改善はできそうにない。

あと30~40年の余生

オバマも、真の変化をもたらす1つの問題に触れた。演説の冒頭部分だ。選挙区の区割りで特定の政党に有利になるように線引きをする「政治的ゲリマンダー」問題だ。共和党はこの手法を利用して、州議会や連邦議会を牛耳っている。オバマは今後もこの問題の是正のために働き続けると言った。称賛に値する。だがオバマの超党派的な姿勢に比べると、あまりに党派的な問題だ。

厳しい食事制限と運動を日課にするオバマはまだ55歳だから、あと30~40年は「元大統領」としての人生が続きそうだ。そう考えると退任から3カ月後の初めての顔見世だけで、彼のパフォーマンスを判断するのは酷だろう。月曜の演説は魅力的で受けもよかった。人々の心を揺さぶるほどではなかったが。

マシュー・クーパー

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