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英国EU離脱、トランプ大統領就任……予測できない世界情勢。「世界がバカになっている」時代を、どう生きる? 橋本治が次世代の若者へ送るメッセージ

4/25(火) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

「昭和の終わりと同時に日本経済は飽和した」「貿易なんて西洋人の陰謀に過ぎない」「国民はクビにできないので、企業経営感覚の政治家は容易に差別主義者になる」……などなど、過激な発言と説得力のある発言が目を引いた『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』(橋本治/集英社)。

 本書は小説、評論、エッセイなど幅広く文筆活動を行う当世の知識人、橋本治氏がイギリスのEU離脱を受けて、「じゃあ、ちょっと語ってみますか」と腰を上げた「対談本」である。

 内容はイギリスEU離脱に始まり、ヨーロッパの成り立ち、日本経済の「飽和」について、トランプ大統領への疑問といった政治・経済に切り込みながら、≪若者は頭の中に「社会」がある≫≪正義とは「損得で物事を判断しない」ということ≫といった、観念的な内容にまで及んでいる。

 これだけ書くと、難しそうな内容に思われたかもしれないが、本書は「対談本」なので、想像していたよりもはるかに読みやすく、政治・経済に予備知識がなくてもスッと頭に入ってくる。対談の相手が50代のフリーライターと30代前半の編集者なのも大きな要因だろう。

 60代後半の知識人である橋本氏の説明に「え、ちょっと待ってください」と疑問を投げかけてくれる若者代表編集者と、「つまり、こういうことですよね?」とまとめてくれる中堅フリーライターの存在が大きい。もちろん、橋本氏も相手を見ながら話しているので、分かりづらそうな部分はかみ砕いて説明してくれている。

 たとえばイギリスのEU離脱について。

「やっぱり大きいものは無理なんだな」という橋本氏の感想から始まる。

「経済圏は大きければ大きいほど有利で、大きければ勝者になれる」という考え方が世界の共通認識として根強くあるそうだ。だが、実際はアメリカで起こった史上最大規模の株価大暴落「ブラックマンデー」やソ連の社会主義経済の崩壊や、世界一の経済大国となった日本のバブル崩壊など、「大きいもの」や「大きくなろうとしたもの」の≪限界≫が明らかになっていると橋本氏は話す。

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