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日本人がよく使うロキソニンや湿布 海外であまり処方されず

4/26(水) 11:00配信

NEWS ポストセブン

 こと医療において海外の事情など知る機会はないし、その必要性も感じることはない。だが、いつも服用している薬が、海外では「処方されていない」、あるいは「マイナー」な薬だと聞けばどうだろう。その背景を紐解けば、日本のガラパゴス的な薬事情が見えてくる。

 頭痛や歯痛、リウマチなど様々な症状に処方される鎮痛剤ロキソニン(非ステロイド性抗炎症薬)。年間約500億円を売り上げる人気の痛み止めで、日本での知名度は抜群だが、実は海外旅行中に痛みを覚えて病院や薬局に駆け込んでも手に入らない。

 ロキソニンが承認・販売されているのは日本以外では中国やタイなどアジアの一部の国のみで、欧米では処方されていないのだ。医療ジャーナリストの田辺功氏がその理由をこう話す。

「鎮痛効果に疑いの余地はありませんし、実際に多くの患者を痛みから救っている薬であることは事実です。その一方で、ロキソニンには“胃を荒らす”という副作用があり、重症化すると腸閉塞に至るケースも報告されています。腹痛の患者にロキソニンを出して症状が逆に悪化したという笑えない事例も存在します。欧米では、ロキソニンより即効性は低いものの、消化器へのダメージなどが報告されていないセレコックスという鎮痛剤の処方が一般的です」

 欧米では、普段から鎮痛剤を服用する人が多く、より副作用に敏感になっているためだという。ロキソニンの製造・販売元の第一三共によれば、現在は添付資料に、前述のような「副作用」を明記し、注意喚起を行なっているという。

 海外で使われていない鎮痛剤という点では、湿布薬も同じだ。日本の医療機関などで処方される湿布薬モーラステープの国内売上高は526億円。一方、海外での売上高はわずか1億2600万円に過ぎない(ともに2016年度)。

「欧米では湿布を貼って患部を治すという考え方が浸透しておらず、鎮痛・消炎目的でも経口薬を服用して治すのが一般的です」(前出・田辺氏)

 飲み薬と違って副作用が少ないイメージがあるが、モーラステープにはケトプロフェンという鎮痛成分が含まれ、光線過敏症(皮膚炎)の副作用がある。湿布薬を貼った箇所が紫外線を浴びると発疹や腫れ、水ぶくれが生じるケースがあり、パッケージの裏面にもそう明記されている。

■取材協力/室井一辰(医療経済ジャーナリスト)

※週刊ポスト2017年5月5・12日号