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韓国大統領選 「歌って踊って」の空前のお祭り騒ぎ

4/26(水) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 5月9日に投開票される韓国大統領選は4月17日の公式選挙運動開始直後から、事実上の一騎打ちとなっている。「共に民主党」の文在寅氏(64)と「国民の党」の安哲秀氏(55)が火花を散らしているのだ。

 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏によれば、「すでに両陣営はテレビや公の場で激しいネガティブキャンペーンを行なっている」という。

 文氏と安氏には因縁がある。2012年の前回大統領選時、野党候補を一本化するため、安氏は不出馬を宣言して候補の座を文氏に譲った。この“調整”を巡っては安氏の支持者が「美しい一本化といえるのか」と激しく抗議して、自殺をほのめかす騒動まで起きた。

 両者の支持率は拮抗するが、元朝日新聞ソウル特派員のジャーナリスト・前川惠司氏は、「世論調査はあてにならない」と指摘する。

「回答率が20%台と低いうえ、韓国では世論調査に回答する人が嘘の答えをして、メディアを“操作”することもある。序盤から支持率が高いと、陣営に緩みが生まれますからね。そもそも韓国では“公正な選挙”など誰も信じていません」

 根深い「不信」には理由がある。カネで票を買う選挙が繰り返されてきた歴史だ。前川氏が現地で取材した1992年の大統領選も金権選挙そのものだった。

「当選した金泳三は遊説の際、貸し切り列車の車両にメディアを招いた。海外メディアは別の車両だったので理由を尋ねると、『韓国の記者には金一封が配られる』とのことでした。

 対立候補の金大中も大規模集会で聴衆に金を配っており、陣営に質すと『仕事を休んで来る人もいるので交通費を渡して何が悪い』と返された。そうした選挙戦が繰り返されてきたので、国民も世論調査や選挙活動に不正があって当たり前と思っているところがあります」

 前回の大統領選でも、情報機関のトップである国家情報院長が朴槿恵氏を当選させるため、ネットに対立候補だった文氏を中傷する書き込みをするよう指示したとして裁判で争われた。高裁では公職選挙法違反などで実刑判決が下されたが、大法院(最高裁)が差し戻しを決定。裁判は長期化している。

「なんでもアリ」の大統領選では、空前のお祭り騒ぎが繰り広げられる。

「2トントラックを改造したステージ付きの選挙カーが走り回り、行く先々で大音量で音楽を流して候補者を応援する替え歌を歌う。聴衆も一緒になって歌と踊りの輪に加わる。日本のような選挙演説よりも、“歌って踊って”のどんちゃん騒ぎが夜遅くまで続きます。

 ちなみに拡声器の使用は深夜11時まで認められる。敵対候補の支援者からは抗議の電話が入るようです」(在韓ジャーナリストの藤原修平氏)

 通常、替え歌の「選挙ソング」は各陣営5曲程度だが、文氏は今回、12曲も用意する気合いの入れ様なのだという。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号