ここから本文です

社員の「モチベーション」を高める組織とは~人は何を考え、どう動くのか~ヤフー本間氏×サイバーエージェント曽山氏×同志社大学太田氏<日本の人事部「HRC2016-秋-」>

4/26(水) 7:30配信

日本の人事部

企業において古くて新しい悩みといえる、社員のモチベーション問題。組織が抱える多くの課題も、元をたどればすべてがモチベーションにつながっている。この厄介な代物を組織はどう扱うべきなのか。そして、そこには本当に手立てがあるのか。ヤフー・本間氏、サイバーエージェント・曽山氏、モチベーション論の第一人者である同志社大学・太田氏が、組織におけるモチベーション管理の手法について語り合った。

太田氏によるプレゼンテーション:社員のモチベーションを高める組織とは

最初に太田氏が、日本におけるモチベーション問題の現状を解説した。「社員が定着しない、若者が受身で挑戦意欲に乏しい、女性社員の昇進意欲が低い、中高年の意欲低下が顕著……。これらは企業が抱える課題ですが、すべてはモチベーションの問題と言えます。しかし、日本人はもともと勤勉で、モチベーションは高かったはず。なぜ、このような状況になってしまったのでしょうか」

ここで太田氏は、いくつかのデータを示した。日本の非正社員を除いた正社員の年間総実労働時間は、この20年間短縮が進まず、主要国の中で突出して長い。有給休暇の取得率も低いままで推移。日本人は相変わらず勤勉であるように見える。では、モチベーションはどうか。示されたのは従業員のエンゲージメントの国際比較だ。

「エンゲージメントとは組織や仕事に対する関わり方であり、日本語では『熱意』と訳されることが多い言葉です。国際比較を見ると、日本は28位と下位になっています。一方、労働生産性や国際競争力は90年代半ばまではトップクラスでしたが、それ以降は急落し、15位以下まで下がっています」

なぜそうなったのか。太田氏は95年ショックの影響を上げる。「このころからパターン化された仕事はITに取って代わられ、求められる能力が大きく変わりました。仕事はただ長い時間頑張ればいいのではなく、そこで人に求められるのは創造性や革新性、ひらめき、感性といった人間特有の能力になりました。要するに、ここでモチベーションの<量>を追究してきたマネジメントが破たんしたのです」

これまでは何かあれば、頑張り、一丸、 全力など、モチベーションの量で考える傾向があった。しかし、これらは質を表していない。

「量と質は、分けて考えるべきだと思います。量でいくら頑張っても、生産性で何倍も差がつくことはない。しかし質が変わり、素晴らしいアイデアが出れば、会社に大きな貢献ができます。いま政府が推進する働き方改革の成否も、モチベーションの<量>から<質>への転換にかかっていると言えます」

では、改革を実現するポイントとは何か。創造性、想像力、洞察力、感性など、ICTに代替されにくい能力は、それが発揮されるプロセスが見えにくい。人の頭の中で行われているものばかりだ。

「従って、評価や管理が困難であり、従来のマネジメント手法が通用しません。そしてこれらの能力は、強制や命令では発揮されません。結局は自発的なモチベーションに依存します。結論を言えば、質の高いモチベーションを引き出すような枠組みをつくって支援し、あとはパフォーマンスで見るしかありません」

それでは、質の高い自発的なモチベーションの源泉は何なのか。ここで良く言われるのは内発的モチベーションだ。

「これは楽しい、面白い、刺激的といったもので大変重要ですが、刹那的であり、長続きしない面もあります。それとは異なり、潜在意識の中には別の要因が潜むことが多くあります。成功者を見ると、そこには『野心』や『ナルシシズム』といったものがある。これは根拠のない自信のようなものです。日本企業がこれを与えられるどうかは重要なポイントです」

それでは今、日本企業においてモチベーションに関する課題とは何か。太田氏は、二つの課題を挙げた。一つは自分の能力に対する自信を植え付けることだ。

「健全なナルシシズムを持たせるには、心理学で言う自己効力感、有能感が必要です。そして、そのためには成功体験が必須であり、そう思えるには権限が与えられていなければなりません。現場への権限委譲、挑戦の機会、承認される機会が必要です」

もう一つは、野心やナルシシズムをかきたてることだ。「野心をかき立てるには、日本型組織のインセンティブ・システムだけでは不十分です。そこには思い切った抜てき、社外からも注目される機会、スピンアウトのチャンスなどが必要。これらは社外にある資源です。これまではポストや給与など社内の資源で動機付けを行ってきました。これからは社外にある資源に目を向けて、モチベーションの<質>を高める発想を実践することが求められています」

1/4ページ

最終更新:4/26(水) 7:30
日本の人事部

記事提供社からのご案内(外部サイト)

日本の人事部

株式会社アイ・キュー

毎週更新

無料

日本最大のHRネットワーク。企業研修、採用
、評価、労務などのナレッジコミュニティと
して、イベントや雑誌などと連動しながら
「人・組織」に関する課題解決をサポート。