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電子書籍は「所有」できるか─デジタル時代の新たな試み

4/26(水) 18:55配信

WIRED.jp

「電子書籍は所有できるのか?」。そんな疑問から始まったのが、人数限定で読める奇妙な電子書籍『A Universe Explodes』のプロジェクト。デジタル時代における「所有」の意味を探る試みは、ブロックチェーンという新しい技術が可能にした。その哲学的な問いかけから、いったい何が見えてくるのか。

【動画で見る】電子書籍『A Universe Explodes』のプロジェクト

実際の本を所有することと、電子書籍を所有することは異なる。実際の本では、マーカーで文章に線を引いたり、ページを折り曲げたり、(決して返してくれないであろう)友人にあげたりすることができる。電子書籍ではそうしたことはできない。そしてデジタルのページは、何度も読んだあとでも最初に読んだときと同じ状態を保っている。

しかし、『A Universe Explodes』を読んでいるなら話は別だ。グーグルで働くテア・アグロウが書き、デザインスタジオのImpossible Labsが開発を担当し、Editions At Playによって出版されたこの“本”は、実際のところウェブアプリに近い。ほかのウェブサイトと同じように、ブラウザからアクセスできる。タップしてページをめくるのはKindleで読む小説と変わらない。

ところが、『A Universe Explodes』は典型的な電子書籍ではない。実際、それはかなり奇妙な本である。何がほかと異なるかというと、手に入れる方法だ。「限定版の電子書籍をつくれるかどうかを、試したいと思っていました」と、Editions at Playの共同設立者アナ・ガーバーは言う。限定版という考え方は、インターネットの性質とは対照的だ。 ウェブ上のほとんどのコンテンツは、アクセスしたい誰もに公開されている。そうでない場合はロックされ、パスワードを使ってアクセスできる。『A Universe Explodes』はこれら2つの中間的な存在だ。誰でもその本を読めるが、その本を所有できるのは決められた人数だけである。

所有権という概念には、いくつかの厄介な質問が付きまとう。物理的に持っているということが、所有権を生むのだろうか? それとも、もっと法的な意味があるのだろうか? 所有するにあたって、金を払う必要はあるのだろうか? 誰かにモノをあげると所有権はどうなるのだろうか? コンピューターとインターネットが登場し、情報の迅速かつ広範な共有が可能になったことで、混乱はさらにひどくなった。「デジタル作品では、所有するという感覚を得ることはほとんど不可能です」と、著者のアグロウは言う。

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最終更新:4/26(水) 20:13
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