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TBS「リバース」、藤原竜也の圧倒的な存在感

4/27(木) 8:11配信

Wedge

 湊かなえ原作の「リバース」のドラマがTBS系列で始まった(第1話・4月14日、金曜夜10時)。主人公の深瀬和久役・藤原竜也の圧倒的な存在感が、画面を覆っている。

 読了後に嫌な感じが残るミステリーであることから、「イヤミス」と呼ばれる湊かなえ文学は、今回の原作でも定石を外さない。思いもかけないラストに向かって、脚本家の奥寺佐渡子はどのようなプロットを用意しているのだろうか。

親友の死の秘密

 ドラマは、2017年と10年前の出来事を行き来しながら進行していく。事務機器・用品会社に勤める深瀬(藤原)は、名門の名教大学を卒業しながらも就職活動がうまくいかずに、ようやく現在の会社の内定をもらった。小学校から中高校時代にかけて、友人がひとりもできなかった。いまも一人暮らしで、コーヒー豆を挽いて入れるのが楽しみで、職場でも重宝されている。

 大学のゼミで知り合った、広沢由樹(小池徹平)が初めてできた友人だった。深瀬の部屋で、ふたりはコーヒーを飲みながら、テレビを見たり落語のDVDを鑑賞したりしていた。

 深瀬が行きつけのコーヒーショップで、パン屋に勤めて近所に住んでいる越智美穂子(戸田恵梨香)と知り合って恋に落ちる。

 土砂降りの雨の夜、美穂子からメールで深瀬の部屋の前で待っていることが告げられる。部屋に入った深瀬に美穂子が渡したのは、美穂子宛に届いた手紙だった。封筒には「深瀬和久は人殺しだ」と印字した紙が入っていた。

 深瀬の告白が始まる。それは、大学4年生の冬に起きた事件だった。

 同じゼミの村井隆明(三浦貴大)が、別荘に行こうと持ちかけてきた。高校教諭の採用が内定していた、浅見康介(玉森裕太)と大手商社に内定していた谷原康生(市原隼人)、村井の妹の明日香(門脇麦)、そして友人の広沢(小池)と深瀬が参加することになった。

 交通事故の処理のために遅れることになった、村井を除く4人がひとつの乗用車に同乗して雪道をたどって別荘にたどり着く。運転免許を持っていたのは、浅見(玉森)と広沢(小池)のふたりで、交代して運転した。

 別荘では、村井を待たずに焼き肉パーティとなった。「酒を飲むと眠くなる」と、ビールを断った広沢を浅見(玉森)と谷原(市原)が執拗に迫って、飲ませる。

 外は吹雪になった。村井(三浦)から最寄りの駅に明日香(門脇)と一緒に着いたという連絡が入る。「タクシーが捕まらないので、車で迎えにこい」と怒鳴るのだった。

 運転ができる浅見と広沢は、ビールを飲んでいた。浅見は、「万が一警察が取り締まりをやっていて捕まった場合に、高校教諭の内定が取り消しになる」と断る。広沢が行くことになる。深瀬は、急いでコーヒーを小さな魔法瓶に入れて広沢に渡す。それが広沢を見た最後だった。

 最寄りの駅になかなか迎えがこない村井から、いらだった電話があって、不安になった浅見と谷原が歩いて広沢の車を追うことになった。そこで見つけたのは、ガードレールを突っ切ってがけ下に落ちた車で、あっというまに炎を上げた。

 広沢の死体が川の下流で見つかったのは、半年後のことである。この事件によって、若者たちは、秘密を共有した。警察の調べに対して、口裏を合わせたわけではなかったが、広沢が飲酒運転をしたことに、それぞれに責任があったことは闇に葬られた。

 深瀬の告白を聞いた、美穂子はいう。

 「ごめんね。わかった、っていえなくて。隠していたってことは、殺人と同じだよね」

 美穂子はだまって、深瀬の部屋をでていくのだった。

 広沢の死が事故でなかったことを、深瀬のみならず村井や谷原、浅見に対しても貼り紙や勤めている会社に投書の形で暴かれていく。彼らを追い詰めているのは、いったい誰なのか。

 ドラマの語りは、藤原竜也に委ねられている。深瀬の視点に別の方向から光を当てているのが、元警察官でフリージャーナリストの小笠原俊雄(武田鉄矢)。深瀬たちの聴取にあたった警官だった。深瀬たち4人に、真相を語ることを迫る、武田の快演はミステリーの奥行きを深くしている。

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最終更新:4/27(木) 8:11
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