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オワリカラ・タカハシヒョウリ×モノブライト・出口博之『ウルトラマン』まみれの特撮対談!<後編>

4/27(木) 20:02配信

おたぽる

 特撮作品への愛を、モノブライト・出口博之が暑苦しく語る【モノブライト出口博之の特撮自由帳】。今回は前回に引き続き(記事参照)、ゲストの、ロックバンド「オワリカラ」ボーカル・ギター担当のタカハシヒョウリさんとの対談後編をお届け!

 好きな怪獣から、特撮に対するスタンスについて、そしてカバーアルバム『ウルトラマン・ザ・ロックス』を6月7日にリリース予定の「科楽特奏隊」について、思う存分語ってもらいました。


■「特撮好きはフィギュアを引っくるめて特撮が好きな人と、内容が好きな人と二分される」

タカハシヒョウリ(以下、「タカハシ」) 意外とこれまで出口さんの好きな怪獣について、お話ししたことがなかったと思うんですけど。

出口博之(以下、「出口」) ああ、俺はどうしてもヒーロー側から見て話をすることが多いからね。でも怪獣も好きなやついっぱいいるよ、ギエロン星獣(『ウルトラセブン』)とか。

タカハシ おお、渋いとこいきますね! 切ない系の怪獣ですよね。

出口 そう、やっぱ何かしらストーリー的な意味や過去を背負っているような怪獣が好きかな。あと造型だけでいえばバキシム(『ウルトラマンA』ほか)とか。

タカハシ ああ、俺も超獣好きなのでバキシムは好きですね。

出口 角があって変身能力もあってお話も悲しくて……足し算の美学を感じる怪獣だなと。

タカハシ たしかに。最近はちょっと超獣がブームじゃないですか。最近になってソフビとかフィギュアがリリースされていて、うれしいんですよね。

出口 ようやく時代が追いついてきたのかもしれないね――ただ俺は超獣が結構トラウマにもなっていて……『ウルトラマンA』のサボテンダー回なんて、“サボテンダーが人を喰う”という設定も怖かったし、ラストは十字カッター(サーキュラーギロチン)で切断されちゃうし、しかもその時にはパッと謎の紫の粉が舞っていたりして、怖かったな。ウルトラマンなのに切れちゃって残酷! とも思ったりして。

タカハシ ああ、俺もアリブンタ(『ウルトラマンA』)の回を子どもの頃に見て、すっごく怖かったという思い出がありますよ。あいつ、O型の女性だけを狙うじゃないですか。あのピンポイントさがリアルに感じられて、本当にいるんじゃないかと思ったりして。

―― そういった怪獣(超獣)たちのフィギュアやソフビを、結構お持ちだったりするものですか?

タカハシ オモチャはあまり興味ないんですよ、というか全然コレクターではなくて。興味があればたまに買ったりはするんですけど、ちゃんとコレクションしたりはしていないです。おもちゃよりもDVDを買う方です。これは特撮好きの中でも二分されると思うんですよ、フィギュアなど引っくるめて特撮が好きな人と、内容が好きな人とで。

 自分は完全に後者で、フィギュアやおもちゃは本当にほしいものだけを、少数だけ買うという感じです……まあ、これでオモチャもバンバン買っていたら、終わっちゃうなというのもありますけど(笑)。

出口 いやいや、新しい何かが始まるかもしれないよ(笑)。でも俺も同じタイプで、オモチャやフィギュアを買い集めるのではなく、物語について語ったり、それがどういう背景で作られているのか、どんな音楽が使われているのかの? そういうのを考察したりする方が好き。

 最近は特撮のお話をさせてもらう機会が増えたんだけど、「この人、すげーフィギュアとかソフビの数を気にしているんだな」と途中で気がついて、俺、あまりオモチャは買わないんだけどな、と思うときがあって。

タカハシ それ、わかる気がします。(特撮に)興が味ない人からすると、すごい数のフィギュアが自宅に並んでいたりする絵があるとインパクトあるんでしょうね。

出口出口 そうそう。自分としてはやっぱりお話があって、キャラクターがいて、でその次に特撮の技法についての話題という順番なんですよね。もちろんその2つは結びついているものではあるんだけど……。でもこの話題は、特撮のどこが好きかによって結構分かれるから、この辺にしておこう(笑)


■「少し年齢を重ねて、(阿久悠さんの)詞がやっぱりすごい格好いいなと気づいて」

タカハシ 面倒くさいなと思いますけど、そもそも特撮好きはこだわる人が多いですよね。

出口 同じ特撮好きでも、好きな対象が違う人と飲むと、話がすげえ盛り上がるときと、すげえかみ合わないときと、両極端になりがち(笑)。だから特撮好きでよかったなと思うんですよ、色んな人がいて、いろんな話が楽しめるものと出会えてよかったなと。あと自分の場合は音楽がやっぱりかなりのウェイトを締めていて。影響を受けているというか、今の自分とは切っても切れないものがあるというか。

タカハシ それは俺もそうですね、やっぱりTVでやっていた特撮ソングが最初に触れた音楽だったりしますから。

出口 「コロちゃんパック」(絵本とソノシートなど音楽ソフトがセットになった幼児向け書籍)とか?

タカハシ それは買っていなかったですけど、特撮主題歌が収録されたカセットテープは買っていました。特撮ソングを聞いて育ってきたというのは間違いないです、いまだに自分の中に脈々とありますね。

―― 「かえせ!太陽を」(映画『ゴジラVSへドラ』)以外に、印象に残っている楽曲はありますか?

タカハシ ウルトラマンシリーズだと『ウルトラマンレオ』が一番好きでした。子どもの頃から格好いいなと思っていたんですけど、少し年齢を重ねて阿久悠さんのことを知ってから、詞がやっぱりすごい格好いいなと気づいて、より好きになりました。子どもだましではない、ちゃんと普遍性があって、メッセージ性の高い歌詞を、ウルトラマンシリーズでは書き続けられてきたんだなと思って。

―― アニメ『宇宙戦艦ヤマト』(「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」など)も、阿久悠さん作詞ですものね。

タカハシ あ、そうなんですか! 特別、難しい言葉はどこにも使っていないんだけど、すごく印象的ですよね。『ファイヤーマン』(73年、日本テレビ系)の主題歌も阿久悠さんなんで、めっちゃ好きな曲ですね。

出口 ああ、『ファイヤーマン』もいいよね。

タカハシ 自分がやっている「科楽特奏隊」というバンドも、もともとは『ウルトラマンレオ』をカバーしよう! というところから始まっているんですよ、あの格好いい曲をロックでカバーしたら格好いいんじゃないかと。

出口 あ、そうなんだ!

タカハシ レオの前期のOP(曲名は作品名と同じ「ウルトラマンレオ」。同じく作詞担当は阿久悠)は俺の中では金字塔ですね。あとは『怪奇大作戦』(68年、TBS系)の「恐怖の町」もめっちゃスキですね。あの辺を、ロックでやったら格好いいんじゃない? と。

出口 「恐怖の町」は俺がDJやるときによくかけるね。あの曲は「かえせ!太陽を」と曲同士がすごい仲良しだから。

タカハシ ああ、ベースラインがめっちゃ似ていますものね。最高ですよね。


■「科楽特奏隊」はいい曲だからではなく、面白い足し算ができる曲を優先で

出口 「科楽特奏隊」はもうどれぐらいやっているの?

タカハシ もう結構やっていますよ、5年ぐらいですかね。あまりガッツリずっとやっているわけじゃないので、「あ、もうそんなに経っているのか」という感じですね、特撮が好きな友達同士と言う感じですから。普通に特撮が好きで楽しんでいたら、もう5年経っちゃったみたいな。

出口 同じライブハウスで出会った対バンの人たちの中から特撮好きだけが集まったという(笑)。

タカハシ そうですそうです。出会わなかったら、殊更やっていなかったと思うんですよ。奇跡的に出会っちゃったから、だったらバンドやろうぜ! という具合で。

出口 (演奏する)曲を決めるときは、やっぱり皆で曲を持ち寄って決めていくの?

タカハシ そうですね、基本的には「俺、これ超好きなんだよね」「泣ける」という曲を集めて……あと、ツアー車の中は基本ずっと特撮ソングを流しているので、「これやベーよな」とか言い合っていて。

出口 ああ、いいねぇそれ。

タカハシ まだまだやってみたい曲がたくさんあって。でも、「俺はこれは好きだけど、それはそうでもない」という奴もかなりあるんですよ。「他のメンバーは好きだっていうけど、俺はそうでもない」とか。

出口 それは作品じゃなくて……

タカハシ それは曲ですね、基本は曲と歌詞オンリーで、作品はひとまず抜きにして。あとは「これはここをこうしたら面白くなるんじゃないか」というアイデアが思い浮かばない曲は後回しにしているんで。

出口 いい曲であっても、原曲そのままではなく。

タカハシ そうですね、足し算で考えるようにしてます。たとえば『ウルトラマン』の曲にはクーラ・シェイカー(イギリス出身のロックバンド)とか面白いよねとか、なかなか考え付かないような足し算が思いついたら楽しいよね、みたいな感じでやっていますね。

出口 そこの足し算がちゃんとできないと……

タカハシ そう! たとえ原曲がいい曲でも、わざわざ自分たちが何かをやる意義を見出せないとダメなんですよ。

出口 ただ、原曲をコピーするのはダメだと。

タカハシ そうですね。だからもう、結構難しいんですよね。単純にカバーするだけでも、昭和の『仮面ライダー』シリーズなんかは難しいんですよ。間奏とかもその都度違う拍子だったりして、「何でこんなことしたんだろう」と思うときもあって。

出口 ハハハ(笑)。

タカハシ 本当は昭和ライダーは色々やりたいんですよ、『仮面ライダーアマゾン』とか。でも間奏がすごく難しいんですよ、ポリリズムなんですよ。

出口 ああ、変だよね。

タカハシ 一応バンドでトライしてみたんですけど、これどうやって再現するんだってなりまして。中途半端なことをやってもしょうがないからと棚上げしました。やりたいんですけどね。

出口 やっぱり現状では円谷作品が中心?

タカハシ そうですね、元々が『レオ』をやりたいというのがあったんで。それが円谷から公式で出していただけることになって、ウルトラマン楽曲を集めているところです。


■「いつか自分の周りの特撮好きミュージシャンが全員集合して、
最高の特撮ソングを作り上げることができれば最高だなと」

出口 我々の夢でもあるよね、好きだ好きだといっていたことがきちんと公式で認められるというのは。

タカハシ これで大体夢が叶ったんですが。あとはもう一つ、いつか本当の主題歌を演奏することができれば……。これだけがまだ叶っていない。特撮ソング――往年の名曲に負けないという自信が持てるものを作って担当させてもらうというのが、本当だと思いますから、その夢に向かって頑張りたいなと思います。

出口 そこに対するジレンマない? 俺は作曲家ではないから蚊帳の外からの発言かもしれないけど、いつか自分たちの曲が主題歌になったとき、果たしてその作品を冷静に見ることができるのか? という。

タカハシ ああ~~どうですかねぇ……。考えたこともなかったですけど、やっぱめっちゃその作品を好きになるんでしょうね。

出口 そうだよね、やっぱ盲目的に好きになると思うんだよね、皮算用なんだけど(笑)。だからそこは、主題歌をやったことがある人に、話を聞いてみたいなと思っているんだけどね、どういう心持ちなんですか? と。

タカハシ また、最近の『ウルトラマン』シリーズはどれも曲がいいですからね。

出口 今の『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』(16年12月よりAmazonプライム・ビデオにて配信中)の「ULTRAMAN ORB」も、すごく格好よくて。

タカハシ ああ、浅倉大介(作・編曲を担当)さんの。

出口 そう。また、後期になって曲が変わったんだよ、EDMっぽいやつからまたEDMっぽいのに(「True Fighter」/作・編曲:Jeff Miyahara)。

タカハシ ああ、格好いいですよね! 自分も、今円谷プロの中でEDMっぽいのが流行っているという情報をキャッチしました(笑)。

出口 そういえば、『仮面ライダーエグゼイド』(「EXCITE」/テレビ朝日系)もEDMっぽくて格好いいよね。

タカハシ いいですよね。そうやって特撮ソングって少し古臭いものという先入観から、違うふうになっているのもいいなと思いますね。

出口 それは『宇宙戦隊キュウレンジャー』(「LUCKYSTAR」/テレビ朝日系)でもそうだよね、EDMっぽいシンセサイザーの音を取り入れていて。

タカハシ 流行から少しだけ遅れているのがいいですよね、音楽業界的には少し下火になりつつあるじゃないですか。

出口 そう、何年か前のブームが回ってくる感じ――これって、たとえばEDMがお茶の間に届くタイミングが今なのかなと思ったりもするんだけど。

タカハシ ああ、そうかもしれないですね(笑)。まあ、でも主題歌はいつかやりたいですよね。いつか出口さんも含めて、自分の周りの特撮好きミュージシャンが全員集合して、ケンケンガクガクの議論をぶつけながら、最高の特撮ソングを作り上げることができれば最高だなと思うんです。個人でではなくチームでそういうことをやってみたい。俺ら80年代生まれの特撮好きが集まったらどんなものができるんだろうなって。

出口 恩返し――何に対する恩返しなのかわからないけど(笑)、それが広く特撮という概念に対しての恩返しになるかもしれない。そのためには、まずはこれから出すCDをたくさん売っていかないと(笑)

タカハシ この『ウルトラマン』50周年という、なかなかないタイミングで出させてもらいますからね。円谷さんもよく企画を通してくれたなって思いますし、俺らは究極の趣味としてやってきたことが、本当に好きだってことが回りに理解してもらえて、本当にうれしいことだなとしみじみ思いますね

出口 これは、リリース直前にはまた1万字ぐらいのブログを書いてアピールしないと。

タカハシ ブログか……そうっすねぇ、『レオ』についてなら全然1万字書けると思うんですけど(笑)。


■オワリカラ公式サイト
http://www.owarikara.com

■モノブライト公式サイト
http://www.monobright.jp/

■科楽特奏隊 公式オンライン支部
http://www.katokutai-band.com/

・「ウルトラマン・ザ・ロックス」は6月7日発売!
徳間ジャパン TKCA-74498 2,000円(税抜)

最終更新:4/27(木) 20:02
おたぽる