ここから本文です

世界一結婚が望まれるアフリカの“男性”を救うべく、前代未聞900万ドルの婚活キャンペーンがスタート

4/28(金) 16:20配信

HARBOR BUSINESS Online

 アフリカ、ケニアにある「オルペジェタ自然保護区」に、世界一結婚が望まれる独身”男性”がいることを知っているだろうか。

 その男性の名前は「スーダン」。一緒に住んでいるのは「ナジン」と「ファトゥ」という女性たちで、住まいはケニアにあるオルペジェタという自然保護区だ。

 そして、その身はライフルで武装した警備官によって厳重に見守られている――。

◆スーダンの正体とは?

 どういうことか。実はスーダンはキタシロサイの名前なのだ。オルペジェタ自然保護区は絶滅の危機に瀕している動物の種を保護する施設で、東アフリカ最大のクロサイの保護区でもある。また、ケニアで唯一、チンパンジーに出会える場所として、観光地としての人気も高い。

 そんなオルペジェタ自然保護区で、独身生活を送っているスーダンは、地球上で最後の1頭となったキタシロサイのオスである。

◆「これまであらゆる手段を尽くしてきた」

 先ほどスーダンのそばに、ナジンとファトゥという2頭のメスのキタシロサイがいることを述べたが、実は彼、彼女らは高齢で自然繁殖ができる状態ではない。繁殖の期待ができるシロサイのメスは現在およそ1万7000頭いるが、オスは1頭しかおらず、キタシロサイは絶滅の危機に瀕しているのだ。

「現在、キタシロサイが直面している危機は、人間が長い間地球上の何千種類もの生き物たちに及ぼしているネガティブなインパクトに対する警鐘です。繁殖のため、これまであらゆる手段を尽くしてきましたが、すべて失敗に終わりました」

◆前代未聞のキャンペーン

 オルペジェタ自然保護区のリチャード・ビーンCEOはこのように語る。しかし、今回、キタシロサイの絶滅の危機を防ぐため、前代未聞のキャンペーンが始まった。

 なんと4月26日よりマッチングアプリ「Tinder」に、スーダンが登録されたのだ。彼を右にスワイプすると、スーダンが住んでいるオルペジェタ自然保護区のホームページへ接続され、研究のための寄付をする手続きができるのだ。

 オルペジェタ自然保護区は、スーダンの子孫を残すために、各機関が現在共同で行っている介助生殖技術(ART)の研究を完成させる資金を必要としている。キャンペーンの目標となる資金は900万ドル。研究が成功すれば、この技術(特に体外受精)により妊娠を後押しすることができ、科学者による初めてのサイの人工繁殖が可能となる。

◆「いつの日か中央アフリカにサイを戻す」

「Tinder」のコミュニケーション・マーケティング部門のヘッドであるマット・デイビッド氏は次のように語る。

「Tinderはオルペジェタ自然保護区とともに、この世界一結婚を望まれる男性にマッチングのチャンスを提供することにしました。スーダンのプロフィールとティンダーが190か国もの(40言語)で使用されている人気のアプリであることを考えると、このキャンペーンは成功する可能性は高いと思っています」

 前出のCEOビーン氏は、今回のキャンペーンに対する決意を最後にこう語った。

「私たちがいつの日か中央アフリカにサイたちを戻すためには、ここでキタシロサイを救わねばなりません。キタシロサイには、アフリカのこの地域で生きていける、彼らだけが持つ遺伝形質があります。私たちの最終目標は、自然繁殖に十分な数のキタシロサイを野生に戻すことです。彼らの本当の価値は野生にこそあるのですから」

 前代未聞のキャンペーンだが、キタシロサイの絶滅が少しでも避けられることを望みたい。

<取材・文/HBO取材班>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:4/28(金) 18:22
HARBOR BUSINESS Online