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ボランティアは就活に有効なだけじゃない!? 50周年を迎えた「あしなが運動」をした学生に見るビジネス資質とは?

4/28(金) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 過去半世紀に渡り、事故や病気などで親を亡くした遺児を援助することで多くの人に知られた「あしなが運動」。街頭募金などでこれまでに集まった金額は約1,100億円、奨学金を受けた遺児は約10万人にも上り、「あしなが募金にだけは募金する」という人もいるほど信頼感のある団体だ。

 そんな「あしなが募金」の母体である「あしなが育英会」の街頭募金全国学生リーダーに向けて、本サイトで連載コラム「分解スキル・反復演習が人生を変える」を執筆している山口博氏がリーダーシップスキルの演習を行ったところ、山口氏はある点に気づいたという。

 ビジネススキル演習を行う山口氏が気づいた「あしなが街頭募金」を行う学生たちの持っている資質とは何なのか?

 あしなが育英会副会長であり、元内閣官房長官である藤村修氏に山口氏が聞いてみた。

◆学生リーダーたちの能動性に驚愕

山口:2月に、あしなが育英会の街頭募金全国学生リーダーの方々100名とリーダーシップスキルの演習を行ったんです。私が指導している「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」は、身に付けたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習する作業で、非常勤講師を務める横浜国立大学をはじめ6つの大学で同プログラムを実施しています。しかし、あしなが育英会の学生リーダーの方々のお互いにサポートし合う姿勢、柔軟性、積極性と能動性は抜きんでていたことに驚きました。

藤村:あしなが育英会の教育理念は、「暖かい心」「広い視野」「行動力」さらに「国際性」をはぐくむことです。それらが体現できていたのだと思います。私は学生時代から街頭募金に携わっていますが、街頭募金はすばらしい実践教育の場だと考えています。まさに「暖かい心」を共有し合う場であり、千差万別の市民の方々から募金を頂戴するために「広い視野」を持たなければなりません。そして、机上の学習ではなく、実践の場で「行動力」を発揮するんです。実は、街頭募金活動そのものも実践的な教育活動の一環なのです。

◆「実践の場」で人は成長する

――企業や団体で行われている研修が、「理論は学んだが、ビジネスに役立てることができない」「理屈はわかったが、行動で再現できない」ということをしばしば聞きます。

山口:リブ・コンサルティング組織開発コンサルティング事業部が実施した、組織開発・人材開発に関する全国意識調査結果によれば、企業にとっての人材開発の目的は業績伸展(51.1%)、社員にとっての目的はパフォーマンス向上(55.1%)です。にもかかわらず、企業で実施されている研修が業績伸展に役立っているという回答は39.4%、個人のパフォーマンス向上に役立っているという回答は39.9%に過ぎないことからもそれがわかります。

藤村:机上の学習が不要だとは言いません。しかし、実践の場が、いかに人を成長させるかということには、誰も異論はないと思います。その実践的な教育の場が、今日の企業や団体において、極めて限定的になっているように思えてなりません。あしなが運動の下で実施してきた日本ブラジル交流事業も、ウガンダ事務所を設置してアフリカ・サブサハラ49か国の遺児を欧米の大学へ留学させる取り組みも、わが国の未来を築く日本ならびに世界の若者に実践教育の場を提供するものです。「国際性」の実践ですね。

山口:私は藤村さんが当時事務局長を務めていた日本ブラジル交流協会の支援を得て、ブラジルに一年間留学する機会を得た。文字通り人格が変わるほどの体験をしました。ものの考え方がかわったし、人との接し方が変わったと思う。私が「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」により行動変革プログラムにこだわり続けている原点でもあるんです。

◆街頭募金が自律裁量と他者協調を高める

――昨今では、「就活に有利だ」としてボランティアに従事する学生も少なくありません。そんな中で、募金活動に従事してきたあしなが育英会の学生は一般的な学生に比べて、どこが異なるのでしょうか?

山口:私が全国学生リーダーと演習した結果を見る限り、「自律裁量」と「他者協調」の意欲が抜きんでていました(参照:HBO「やる気の源泉」を見極めてマネジメントすると集団はうまく回る!)。私は人それぞれがモチベーションを上げやすい領域を、「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」の6つに分類し、前三者を「牽引志向」と称し、後三者を「調和志向」と称しています。私の演習に参加した他の大学生が、牽引志向46.3%、調和志向53.7%であるのに対し、あしなが育英会の全国学生リーダーの方々は、牽引志向49.1%、調和志向50.9%と牽引志向が比較的高かったんです。これは、リーダーの典型なんですね。私は、彼我の差は該当募金経験の有無なので、私はこの結果の差は、街頭募金活動の経験の賜だと確信しています。

藤村:街頭募金活動は、道行く市民の方々に募金を呼びかける活動です。立ち居振る舞いをどうするか、視線をどこに投げかけるか、どの市民の方に、どのような第一声をかけるか、どのように会話するか、募金していただいた後にどのような言動をとるか、これほど実践的な場はないでしょう。そして、千差万別の市民の方に、賛同していただけるかどうかという明白な結果が詳らかになります。その結果をふまえて、また、試行錯誤していく。これほど教育効果の高い実践の場はないでしょう。

◆他者を巻き込む力が不足している

――選挙における街頭演説と同じ意味があるのではないでしょうか。立ち居振る舞い、コミュニケーションの仕方、それにより千差万別の市民の方々が、募金ならぬ票を投ずるかどうかを決めますからね。

藤村:そのとおりだと思います。人の支持を得られるかどうかを実践する場ですね。しかし、それは、ビジネスパーソンにこそ必要なことではないでしょうか。社内においてチームを巻き込んでいく、お客さまを巻き込んでいく、この実践なくして、ビジネスは成り立たないでしょう。そして、そのフィールドは、国内のみならず、グローバルに広がっている。グローバルスタンダードの実践力を身に付けなければなりません。

山口:私が展開している「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」は、例えば、アイコンタクトの秒数やアイコンタクトを外す方向を、あるいは、合意形成のための4つの質問やコーチングのための5つの質問を、理屈抜きで、ひたすら反復演習して体得していくものです。日本のビジネスパーソンが忘れかけていたビジネススキル訓練の場を提供しています。

――実践力を高めるために、最も重要なことは何でしょうか?。

山口:意識を変えろといっても変わりません。意識を変えて行動を変えようと思っても、時間を要するものです。まずは、パーツ行動を実践していくことが必要です。パーツ行動の実践が習慣化されれば、行動が変わります。私は、分解スキル・反復演習こそが実践力を高めることに他ならないと思っています。

藤村:「広い視野」や「行動力」が不可欠でしょう。しかし、最も大切なのは、「暖かい心」ではないでしょうか。「世のため人のために生きる」という「志」だともいえます。その志が実践力の度合を決めるのではないでしょうか。1人でも多くの大学生が、ビジネスパーソンが、それぞれの立場で、世界を変革する実践に参加していただきたいと願ってやみません。

<取材・文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある

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最終更新:4/28(金) 13:18
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