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つなぎの女王と金満社長の「行くカネ来るカネ」

4/29(土) 17:00配信

文春オンライン

 ゴールデンウイーク特大号の今週の文春、ワイド特集には32本の記事が並ぶ。そのなかに、カネがらみの滋味深い記事があるので紹介していく。

《「お金を出してください、って言っても誰も出さない。興味ある人に“信じてもらえないかもしれないし、言わないでおこうかな……”とか、最初の切り口が大切」》

「『とらぬ狸が一番楽しい』つなぎ融資の女王 肉声テープ」で紹介される言葉である。大企業に「つなぎ融資」することで20%以上の配当が出せると謳い、ネズミ講まがいのカネ集めをしたとして、タイで逮捕された自称38歳、実際は62歳の“つなぎ融資の女王”(以下、女王)は、そう語っていた。

業(なりわい)と業(ごう)、その両方の肯定

 記事には、タレントのYOUのような声など「七色の声」の持ち主だとある。YOUみたいなウイスパーボイスで「信じてもらえないかもしれないし、言わないでおこうかな」などと62歳にささやかれると、ドン引きしてしまいそうだが、それで口車に乗せてしまうのだから、手だれの女王である。

 報道によれば、女王は取り調べで職業を聞かれると、「愛人業です」と答えたという。「落語とは業の肯定である」とは立川談志の言葉であるが、職業を聞かれて「愛人業」と答えるのは、業(なりわい)と業(ごう)、その両方の肯定である。さすが女王。

 そもそもなぜ、“つなぎ融資”を始めたのか。記事によると、「普通の主婦に飽き足らなかったのか、ほどなく離婚。スナック経営や焼却炉の製造販売業などを始め」たそうな。離婚してスナック経営を始めるのは、まあよく聞く話。しかし女王はそれにとどまらず、焼却炉の製造販売業まで始めてしまう。これにも、さすがとおもってしまう。

 そんな女王は2005年に破産。そこからつなぎ融資名目でカネ集めを始める。集めたカネで焼却炉の製造販売事業をふたたび始めたかというとそうでもなく、運用するつもりもなく、豪奢な暮らしに費やされる。

「俺にもまだ輝ける世界がある」。水谷竹秀『日本を捨てた男たち』に出てくる言葉である。誰にも相手にされることなく居場所もない男が、ひとたびフィリピンクラブの敷居をまたぐと、女性たちの歓待で男としての自尊心を回復し、こう錯覚してしまうのだ。で、調子に乗ってフィリピンに渡り、無一文になってしまう。

 女王も、違法なカネ集めで日本に居づらくなったからか、まだ輝ける世界を求めて、フィリピン、タイへと渡り、現地でもカネを集めては、地元のホストに家を買い与えるなど放蕩する。女王がくだんの男たちと違うのは、食い物にされるのではなく、するほうだということだ。はやくも大竹しのぶや寺島しのぶが演じる姿が目に浮かんでくる、そんな女王である。

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最終更新:4/29(土) 17:00
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