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「ストラテジストの台頭で、ものを作る仕事が減った」:あるクリエイティブディレクターの告白

4/29(土) 7:10配信

DIGIDAY[日本版]

エージェンシーにとって、賞をとることは、新しいビジネスや人材、そして名声を獲得するうえで、昔から有効な手段だった。だが、デジタル広告の隆盛にともない、その法則が少しずつ変化している。

今日、クライアントが重視するのは、効率化の名のもとで行われるコストカットだ。そのため、「賞を獲得する」ような仕事の優先順位は低下している。業界の裏側を匿名で語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、賞にまつわる悩みとエージェンシーにのしかかる大きなプレッシャーについて、あるベテランのクリエイティブディレクターに話を聞いた。

下記は抜粋であり、わかりやすくするため若干編集されている。

――賞を獲得する仕事と、クライアントが求める仕事にはどんな違いが?

広告業界には、正反対のふたつの仕事が存在している。我々がクライアントに説明する仕事と、我々が互いに語り合う仕事だ。前者は中古車のセールスマンの仕事。後者は、ヨーロッパ製のスカーフを身にまとい、「商用のロゴの仕事は最悪だったよ」というようなクリエイティブディレクターがする仕事だ。それくらいの差がある。

――なるほど。では、エージェンシーが非常に多くの時間とお金を賞につぎ込んでいる理由は?

賞を目指す理由はいくつかある。賞を獲得すれば、企業は儲かる。また、賞を獲得したエージェンシーには優れた人材が集まると思われている。だが最後には、いつものことだが、受賞作に関わったスタッフがキャリアアップして、新たな職を手に入れる。

この点に関して、私はクライアントに同情的だ。クライアントがなぜ賞を獲得するような仕事をしたがらないか、私にはわかる。なぜなら、賞を取ってしまうと、その仕事をしたスタッフが退職して、ほかのエージェンシーに移ってしまうからだ。彼らからすれば、いい仕事をしたスタッフを失ってしまうことになる。

――いつもこのような状況だった?

このような緊張感は以前からある。エージェンシーは、自らの利益のために仕事をしている。だが最近は、賞のための仕事とクライアントのための仕事との区別が曖昧になっている。

エージェンシーが自らのために広告をする理由があることをクライアントが理解し、許可するという考え方はがなくなりつつある。かつてのクライアントは、エージェンシーがもっとアーティスティックな広告を作ることを認め、それがエージェンシーのためになることを理解してくれていた。

その後、我々は価格やプロモーションを重視した別の仕事に取りかかるようになった。かつては、もっと多くの仕事があり、多くの制作活動があった。作ることができる作品ももっと多かったのだ。

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