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【月刊・白鵬】横綱が語る、稀勢の里の激闘と「浅田真央の引退」

4/30(日) 17:30配信

webスポルティーバ

第70回:浅田真央

先の春場所(3月場所)では負傷により、休場を余儀なくされた横綱。
そんな中、見事に賜杯を手にしたのは、新横綱の稀勢の里だった。
そのドラマチックな優勝劇と、先日引退を発表したフィギュアスケート界の
“スーパーヒロイン“浅田真央選手について、横綱が語る――。

■稀勢の里と貴乃花。2人の奇跡に通じる「ファンへの想いと土俵の鬼」

 新横綱・稀勢の里が誕生し、4横綱時代に突入した大相撲界。その分、先の春場所(3月場所)には、私も意欲満々で臨みました。しかし初日、小結・正代に突き落としで敗れると、4日目にも前頭筆頭の勢に敗戦。右足の指のケガが悪化したこともあって、5日目から休場することになってしまいました。

 4日目の朝も、稽古場では普段どおりの稽古ができていましたし、久しぶりに4横綱がそろったこの場所で、ファンのみなさんにはできれば最終盤まで横綱を中心とした優勝争いをお見せしたいと思っていました。それだけに、私としても苦渋の決断でした。本当に申し訳ありませんでした。

 さて、その春場所。大きな期待を背負っていた稀勢の里は、その期待どおり、12日目まで全勝と突っ走っていました。ところが、13日目の横綱・日馬富士との対戦で黒星を喫し、その際に肩を痛めてしまいました。

 そして、出場も危ぶまれた14日目。稀勢の里は痛々しいテーピング姿で強行出場するも、横綱・鶴竜相手に為すすべなく、2敗目を喫してしました。もはやこのときは、手負いの稀勢の里と千秋楽で対戦する、1敗の大関・照ノ富士の優勝は決まったも同然と思われました。が、千秋楽で稀勢の里は圧巻の相撲を見せました。

 この日も左肩にテーピングを巻いた状態でしたが、本割では突き落としで照ノ富士に勝利。見事2敗をキープして優勝決定戦に持ち込むと、今度は小手投げで照ノ富士を破って、なんと2度目の優勝を決めたのです。

 あまりにも劇的な優勝に、私も驚くしかありませんでしたね。厳しい状況を打ち破って土俵上に立つ稀勢の里の堂々たる姿に、ただただ感服させられました。

「横綱の器を持つ男」と言われ続けていた大関時代の稀勢の里。彼がもうひとつ上を極められない理由を問われると、私は彼の“精神面“を挙げていました。実力が申し分ないのは誰もが認めるところでしたが、横綱を狙う気持ちがほんの少しだけ欠けているように思えたからです。

 けれども、初場所(1月場所)で初優勝を飾って、その後の横綱昇進を機にして、彼は間違いなく変わったように思います。

 横綱は責任のある立場です。かつて、長い間ひとり横綱を務めていた私は、常に「(横綱の自分が)休んではいけない。自分ががんばらなければいけない」という気持ちでいっぱいでした。もちろん、今も変わらぬ気持ちでいますが、その重圧は相当なものでした。

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