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中国企業急成長の背後に蔓延する縁故主義の横行。しかしこれはどこかで見た風景!?

4/30(日) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

 先日来、中国で大変な話題となっているのが、米国在住の中国人企業家・郭文貴による暴露だ。同氏は1967年、山東省生まれ。家具工場の経営者から身を起こし、不動産開発企業や投資家として成功を収め、大富豪となった。「2014年版フーゲワーフ長者番付」によると、個人資産は155億元(2460億円)を記録している。

 中国の著名経済誌『財新』はかつて「権力ハンター郭文貴」なるタイトルで同氏を取り上げたが、汚職官僚と太いパイプを築いてこの巨万の富を築き上げたという。中国には無数にいる政商の一人だ。官との結託によって財をなした黒い商人は中国に無数に存在するが、郭がユニークなのは米国ならば身の安全は保障されていると考えているためか、中国共産党の闇を次々と告発している点にある。「習近平の不正蓄財は8000億ドル(約87兆円)に達している」「ある中国の著名企業家は投獄中の法輪功信者から摘発された肝臓を移植されて生きながらえている」などなど。

 2017年4月19日、郭は米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版に出演した。番組中、次々と暴露を続けたが、習近平は側近である王岐山の不正を疑い、ひそかに調査させていた、との重量級暴露を行った時に事件は起きた。

 なんと番組は謎の停電によって中断されてしまったのだ。そして3時間が予定されていた番組は、1時間あまりで打ち切られてしまった。明らかに中国政府の圧力だろう。

 VOAは米政府の資金で運営されているメディアであり、中国に批判的な報道を続けている。そのメディアにまで中国は影響力を行使できるというのだからこれは大事件だ。そして、どこまでが本当でどこまで嘘か疑わしかった郭の発言がにわかに信憑性を帯びてきた。

◆共産国家から続々と大富豪が誕生する「裏の理由」

 中国は今やGDPで世界2位の経済大国だ。中国の成長に学ぼうと、日本での注目も高まっているようだ。中国では無数のビジネス本が出版されており、日本語に翻訳されたものも少なくない。だがそれらを読んでも、成長の“秘密”は決してわからないだろう。国と企業家が一体となり、さまざまな汚職や不正を働くことが「奇跡の高成長」を支えてきたからだ。

 そうした中で異彩を放つのが先ごろ出版された高口康太著『現代中国経営者列伝』(星海社新書)だ。

 同書は、企業家8人の伝記を通じて改革開放以来の中国経済史を描くという意欲的な内容だが、表向きの建て前だけではなく、グレーゾーンにまで踏み込んで中国経済成長の“秘密”に迫っている。

 その「秘密」とは何か?彼らの成長の背後には、常に巧みなブランド乗っ取り、愛国心を煽っての訴訟での勝利、政府との太いパイプを生かした不動産開発といった「裏の成長要因」がつきまとうということだ。

 しかし、これについては、どこかで見たような感覚を得るかもしれない。

 そう、我が国もまた、権力者に近い人間が優遇されうネポティズム(縁故主義)と、「忖度」がまかり通る社会になりつつあるのだ。そしてそれは、爆発的な経済成長を伴わず、庶民にはほとんど何の恩恵も得られないものになる可能性が高いのである。

<文/HBO取材班>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:4/30(日) 13:12
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