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毎日でも鎌倉に通いたくなる! 小さな駅の地元で愛されるパン屋さん

4/30(日) 12:01配信

CREA WEB

 鎌倉においしいパン屋が集うのは何でだろう――。鎌倉ならではの時間の流れと風土が、作り手が自由にパンを“創作”するのにぴったりだから? 地元の人や観光客など、客層が多様ゆえにパンにもオリジナリティが生まれるから? と同時にベーシックなパンも愛されているから? 

 そんな、個性あふれる“鎌倉パン”のラインナップのなかから大人の女性におすすめしたい3つのテーマ、「ワインに合うパン」「ヘルシーパン」「小さな駅の実力派」より、2軒ずつをエントリー。おいしいパンを携えて海を見ながらブランチを楽しんだり、お気に入りを買って家でティータイムのおともにしたり。とっておきのパンをハントしに、鎌倉へでかけませんか。

途中下車しても立ち寄りたい小さな駅の実力派

 閑静な住宅地で小さいながらも地元の人に愛されるパン屋、和田塚「ママネ」と、極楽寺「ブーランジュリー ベベ」を紹介。どちらも定番メニューの中にも作り手の個性が光り、地元のグルメな大人が食べても納得の味わい。気取らないほっとする空気感とあいまって、毎日でも通いたくなってしまいそう! 

■●和田塚「ママネ」
ひと口で顔がほころぶ
素材のよさがいきるパン

 和田塚駅から歩いて約10分。鎌倉の中心部の喧噪から離れ、静かな住宅街に佇むのがこちらのパン屋。古民家風の建物と、まんまるいパンが描かれたグリーンの看板が目印。昔ながらの引き戸を開けると、店内いっぱいに広がったパンの香りが出迎えてくれて、しあわせな気分に。カウンター横のショーケースには、素朴ながら親しみのあるパンが、手書きのポップとともに並ぶ。

「作り手の顔が見える規模のお店だからこそ、安心で安全なパンを届けたい」。そんな、店主宮浦真理(みやうら・まり)さんのパン作りは、素材と向き合うことからはじまる。パンはすべて国産小麦、自家製酵母で作られる。小麦は、「北国の小麦ならではの力強い味わいが気にいって」と、北海道産を使用し、溶岩窯でじっくり焼かれる。

「鎌倉に住む人は、食へのこだわりが強いのはもちろん、健康に気をつかっている人も多い。そんな方々が安心してパンを買えるよう、あんぱんのあんこや夏みかんのピールなど、具材も自家製がモットー。無添加のものをなるべく使うようにしています」

 さっそく、夏に向けて登場したとっておきの新作を教えてもらった。

 青森産のよもぎをたっぷり練り込んだあんぱんは、生地に豆乳を加えることで、ほんのりとした甘みが漂い、よもぎの青々とした香りとあいまって味に奥行きが生まれる。あんこは、十勝産の小豆ときび砂糖のみで作られた自家製。甘さ控えめで大人でも楽しめる。

「自分で調合してカレーを作るほど、スパイスが大好き」という宮浦さんならではのアイデアが光るクミンのカンパーニュは必食の新作。ビールと一緒に味わいたい! 

 自家製のレモンカード(レモンを使ったイギリスで定番のスプレッド)を生地で巻いたレモンロール。レモンは防カビ剤不使用の国産レモンを皮ごと使用。卵、バターと合わせてフレッシュでリッチなクリームが完成した。レモンピールも混ぜて食感のアクセントに。

 週末は観光客も訪れるが、日々のお客さんはほとんどが近隣の人。作り手にも買い手にも“贅沢な街のパン屋さん”となれるのが鎌倉の魅力だと宮浦さんは続ける。

「鎌倉には個人のお店が多く、作り手と買い手の距離が近いのがいいところ。こちらの姿勢が透けて見えるので意気込みますし、そのこだわりが許されるように感じます。そういった、小さいけれど信念を持ったお店が多いのも刺激になりますね」

mamane(ママネ)
所在地 神奈川県鎌倉市材木座5-9-31
電話番号 0467-23-6877
営業時間 11:30~18:00
定休日 日・月・火曜
http://mamane.exblog.jp/

■●極楽寺「ブーランジュリー ベベ」
深くて軽やかなパンに
“おいしい仕掛け”を施す

 江ノ電の極楽寺駅前の目抜き通り沿いにあるこちらのお店には、地元の小学生からお年寄りまで幅広い層の客がひっきりなしに訪れる。鎌倉のベルグフェルドなどで修業を積んだ安藤潤(あんどう・じゅん)さんの焼くパンは、ここ極楽寺でも地元の人を魅了し続けている。

 安藤さんのパンは、ハード系からサンドイッチなどの総菜パン、ヴィエノワズリーと多岐にわたる。「味わって欲しいのは、自分が作りたいパンじゃない。お店がある土地に住んでいる人に合わせたパンを作るのが自分のこだわり」。

 極楽寺は昔から住んでいる人が多いエリア。お年寄りと、学校が近くにあるので子供が多い。それゆえに、柔らかめのパン、口溶けのいいパン、総菜パンなどのメニューを加えていくうちに50を超えるラインナップになった。

 今回紹介する4品も、パン屋には昔からあるメニューだが、ひとつひとつに安藤さんならではの“おいしい仕掛け”がほどこされている。

 写真左は、トンカ豆で香り付けしたラム酒漬けのオーガニックミッドナイトビューティレーズンとサルタナレーズンを使ったレーズンパン。安藤さんの手にかかれば昔ながらの定番がこんなにもリッチに。

 写真中央のショコラは、雑誌を畳んだようなフォルムが特徴。サクサクのクロワッサン生地とベルギー産チョコレートのコンビネーションが楽しい、人気メニュー。

 写真右のスコーレブローは、日本語に訳すと“学校のパン”。ノルウェーで定番のクリームパンを上品にアレンジ。ブリオッシュの生地にカルダモンの香りが付いたカスタードクリームを絞って、ココナッツを散らした。こんなクリームパンを食べて育つ近隣の子供たちが心底うらやましい! 

 こちらのチェリーとピスタチオは、全粒粉とライ麦を配合したコンプレに、チェリーブランデーで香り付けしたドライチェリーとピスタチオを合わせて練り込んだ、素朴ながら華やかさを秘めた大人向けの一品。

 パンやお菓子作りをするのが日常という家庭で育った安藤さん。お店も、地域の人たちに日頃から愛されるパン屋を目指しているそう。取材時も、店の前を小学生が手を振って通り過ぎたり、なじみの客が立ち寄って挨拶がてらパンを買っていったりする。力強く印象的な味わいのなかにも、安藤さんの人柄や愛情が感じられ、食べ手の心を惹きつけているよう。

「夢だった“街のパン屋さん”を、鎌倉の極楽寺で実現できたのが本当にうれしい」と繰り返していた安藤さん。トレンドに左右されない、けれど古びているわけでもない。地元の人が太鼓判をおす、真摯で丁寧に作られたパンは、わざわざ訪れて味わう価値があるに違いない。

Boulangerie bébé
(ブーランジュリー ベベ)
所在地 神奈川県鎌倉市極楽寺1-4-3
電話番号 0467-24-8595
営業時間 10:00~18:00
定休日 日曜、月曜

吉村セイラ

最終更新:5/1(月) 14:06
CREA WEB

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