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第2回「CGWORLD AWARDS」大賞記念|「CG・VFXに興味をもたない人たちにも観てもらうために。」デジタル・フロンティア/豊嶋勇作プロデューサー

5/1(月) 17:26配信

CGWORLD.jp

CGWORLD編集部が、日本のデジタル・コンテンツの活性化を目的にスタートした「CGWORLD AWARDS」。その年に素晴らしい仕事を残した作品やスタッフを顕彰している。第2回を迎えた2016年は、優れたCG・VFXに定評ある映像プロダクションのデジタル・フロンティアが大賞に輝いた。

同社が手がけた作品では、映画『GANTZ:O』が作品賞(CGアニメーション部門)を受賞、そして映画『アイアムアヒーロー』、映画『DEATH NOTE Light up the NEW world』の2作が作品賞(実写VFX部門)でノミネートされた。実写VFXとリアル系3DCGアニメーションでのアクティブな作品づくりとハイクオリティな映像は、まさに日本の3DCG・VFXの先端を走っていると言っていいだろう。

今回は「CGWORLD AWARDS」大賞の受賞を記念して、デジタル・フロンティア専務取締役であり、プロデューサー/CGプロデューサーとして活躍する豊嶋勇作氏に、デジタル・フロンティアの作品づくりと、今後の展望について話を聞いた。このインタビューから、何が近年の大きな成果につながっているのかを知ることできるにちがいない。

<1>『GANTZ:O』のリアルでありながら原作漫画に近づけるキャラクター表現

ーー今回、「CGWORLD AWARDS」でデジタル・フロンティア(以下、DF)として大賞を、そして『GANTZ:O』で作品賞(CGアニメーション部門)のダブル受賞となりました。まずは受賞された感想からいただけますか?

豊嶋勇作氏(以下、豊嶋):正直なところ、意外でした。『君の名は。』や『シン・ゴジラ』といったメジャーな作品がたくさん候補に並んでいたので、そちらの方が有力かなと思っていたので(笑)。逆に言えば、3DCGを評価していただけたんだなとありがたく思いましたね。

ーーDFがこれだけ高く評価された決め手は、どういった点だと思われますか?

豊嶋:『GANTZ:O』で言えば、表情ならびに身体の芝居に込めた感情移入させるような3DCGの表現を実現できたことでしょうか。本作は、2011年の夏から企画をはじめ、すぐにパイロット版の制作にも着手しました。その頃は、3DCG制作に携わっていない製作委員会メンバーから「3DCGアニメーションは感情移入がしづらい」といった声がよく聞かれていたんです。この課題を解決しようと、フェイシャルアニメーションなど、CGキャラクターの感情表現に関するR&Dにも力を注いでいた時期でもあったので、『GANTZ:O』の実制作にも上手く取り入れることができたのかなと思っています。

ーー実際に『GANTZ:O』を拝見して、リアル系のCGキャラクターのアニメーションとしては一歩ぬきんでた表現に仕上がっていると思いました。制作過程では様々な困難にも直面したと思うのですが、どのように克服されたのでしょうか?

豊嶋:やはりキャラクターの表情については、クリアすべき課題が多かったですね。3DCGはリアルにするほど、どんどん生身の人間に近づきます。ですが、そのアプローチではどんなに作り込んでも人間になるわけではなく、リアリティのある3DCGにしか見えません。そこで本作のキャラクターづくりでは、観客が映画を観たときに“主人公の加藤がちゃんと原作漫画の加藤に見える“ということを目指しました。3Dとなって情報量が増えた加藤 勝を、単なるリアリティの追求ではなく、そのキャラクター性をいかにして高めていくかというアプローチですね。もちろん、加藤だけでなく全ての登場キャラクターに共通しています。

ーー観客に「原作とちがう」的な違和感を抱かせないように配慮されたわけですね。その具体例を教えていただけますか?

豊嶋:例えば顔については、造形としては一定のディテールを施しているのですが、肌のうぶ毛や皮膚のくすみなどはあえて省略しています。スムーズに感情移入できることを目指したわけですが、ある意味では少しだけ理想型によせた感じでしょうか。

ーー長年培われてきたモーションキャプチャについても進化を遂げられたと思います。

豊嶋:そうですね。本作では、ボディモーションとフェイシャルを同時に収録するパフォーマンスキャプチャを導入しました。特にフェイシャルキャプチャについては、従来はアクターの顔にマーカーを付けて収録する方式を用いていたのですが、今回から新しくDynamixyzによるイメージベーストのマーカレス方式に切り替えました。これらの技法面の改良によって、アクターさんのリアルな芝居を、より自然なかたちで効果的に反映することができたと思います。この手法は、同時並行で進めていた『DEATH NOTE Light up the NEW world』(後述)のリュークの制作にも使っていますし、今後はゲームも含めて、マーカーではなくイメージベーストのキャプチャ方式が標準になっていくでしょうね。

ーー3DCGの技術だけでなく、映画としてのストーリー・脚本も完成度が高いですね。自社内にプリプロダクションの機能を持っていることが活かされているのでしょうか?

豊嶋:そうですね。本作で監督を務めた川村(泰氏)のようなディレクションできる人材が社内にいるのは大きいと思います。多くの場合、3DCGプロダクションは受け身になりがちです。そうすると、監督からアレもやりたいコレもやりたいと要望があったときに、全てを盛り込んでしまったがために、全体としてはクオリティが下がってしまうこともあるでしょう。監督が組織内にいることで、作品のレベルを落とさないためにも「この表現は削る」といった判断もできますし、なにより工数を見ながら進められるのが圧倒的なちがいです。白組の山崎 貴さんは、そうした監督の先駆けではないでしょうか。

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最終更新:5/1(月) 17:26
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