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「少ない時間で多くのことをする」はなぜうまくいかないのか

5/1(月) 11:10配信

ライフハッカー[日本版]

Crew:『New Yorker Magazine』に掲載されたジェームス・ボールドウィンの古いエッセイを読み直しているとき、私は心を奪われていました。

パラグラフを通り過ぎるたびに、魂が充電されていくような気がしました。大部分はボールドウィンの才能のおかげですが、それ以外にも理由があります。私はこのエッセイを時間の消費をするためではなく自分に吸収するために読んでいたということです。

個人の生産性にこだわり、できるだけ“生産的“なことをしようとする現代においては、こうした瞬間はまれです。私は“学び“を得るために速読したのではなく、心からの関心を持ってこのエッセイを読んだのです。

オンライン記事を次々と飲み込んだ後とは違って、私は誰かとボールドウィンの考えについて、熱い議論を交わすことができるでしょう。

生産性を抑えることで「生産性を高める」

誰に教えられなくとも、私たちが情報過多の時代に生きていることは明らかです。

とはいえ、デジタル時代に働くクリエイターにとっては、記事や本、ポッドキャスト、動画などを消費することが、個人的、職業的な成長には欠かせないものとなっています。競争の激しいスタートアップや、テクノロジー業界では、市場で勝ち抜くために、できることは何でもしなければなりません。

こうした、「できるだけ短い時間で、できるだけ多くのことをやる」という強迫観念が、私が「生産性カルチャー」と呼ぶものを作り出しました。

次のようなタイトルがいかに蔓延しているかを見れば、わかると思います。

・成功者になるために必読の本20冊
・起業家がやっている恐ろしいほど生産的な朝の習慣
・なぜ起業家は1年間に24冊の本を読むことが成功の鍵だと言うのか?

メディア企業がこうした“コンテンツ“を大量に吐き出し続けるのは、偉大な起業家の習慣やルーチンを見習うことが成功への道なのだと、多くの人が考えているからでしょう。

その完璧な事例がここにあります。

少し前に、文学ノンフィクションを1冊、小説を1冊、そして趣味に関する本を1冊、合計3冊を同時並行で読み始めたことがあります。その時は実に素晴らしい気分になったものです。

成功した企業家たちが集う秘密クラブの一員になれたかのようでした。同僚や友人たちに対する優越感を感じました。また、心から読書を楽しんでもいました。

そうでなくなるまでは...。

私はこの「生産性ハック」を実行する前も、知的レベルを高めるために、いつも何らかの本を読んでいました。ただし、内容をきちんと理解できるペースで読んでいました。

ところが、この生産性ハックを実行している間は、まるで時間に追われるようにしてページをめくっていました。

今年、私はどのようにX冊の本を読んだか、というブログ投稿を書くためには、1カ月でY冊の本を読まなければならない。そのためには、水曜日までにこの本を読み終えなければならない...。

そして時間が経つにつれ、1カ月に3冊読んでいたのが、2冊になり、1冊になり、最後にはゼロ冊になってしまいました。

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