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翁長知事、市長選4連敗で辺野古埋め立て阻止に打つ手なし?

5/1(月) 16:00配信

週刊SPA!

 沖縄が一足早く暑い季節を迎えている。4月下旬には翁長雄志県政の今後を占う2つの大きな“事件”が立て続けに起こった。

 1つは4月23日に投開票が行われた沖縄本島中部のうるま市長選挙。もう1つは北部の名護市辺野古での埋め立て工事の着工だ。うるま市は、人口12万人あまりで沖縄では3番目に多い。市長選挙では、現職の島袋敏夫氏と前の県議の山内末子氏が争った。島袋氏を自民・公明が推薦したのに対し、山内氏を社民、共産、社大、自由、民進が推薦。翁長知事も投票日前の3日間、連日うるま市内に入り、街頭で山内氏の応援演説をした。

 一時は大接戦との観測が広がっていた。それを物語る世論調査の数字が飛び交い、投票日の2日前に話を聞いた自民党県連幹部は「負けたら大変なことになる」とぼやいていた。危機感を持った菅義偉官房長官が、現職の島袋氏を支持する市議会議員一人ひとりに電話をして「よろしく頼む」とハッパをかけたほど。無党派層の取り込みのため、終盤には小泉進次郎衆議院議員も応援に投入した。

 だが、ふたを開けてみると、5753票の大差で島袋氏が勝利。翁長知事を支える革新各党の「オール沖縄」はこれで、今年に入り1月の宮古島市長選、2月の浦添市長選と、県内の市長選挙で3連敗ということになる。さらにいえば、昨年の宜野湾市長選でも敗北しており、2014年12月に翁長氏が知事に就任して以来、県内の市長選挙ではすべて惨敗しているのだ。

 そもそも翁長氏のカリスマ性の源泉は、選挙に強いとされてきたこと。その翁長氏が応援しても勝てないとなると、影響力に翳りが出てくることは避けられない。

 投票日翌日に、県庁に登庁してきた翁長知事に、マスコミ各社の記者らはコメントをもらおうと試みたが、返ってきたのは「一市長選の結果にコメントはしません」とのものだったという。3日間も応援に入っておきながら、「一市長選」はないだろう。翁長知事の苛立ちぶりがかえってうかがえる。

 かたや菅官房長官は、同じく投票日翌日の会見で「(県内の)11市のうち9つが翁長県政に否定的で、『オール沖縄』という言い方が現実とまったく違っている」と述べた。

 地元紙『沖縄タイムス』は、4月24日付の社説で、<敗北続きの翁長氏は剣が峰に立たされている。(中略)「オール沖縄」勢力は辺野古と直接関係のない選挙で、その壁を打ち破れない。民意を確認する県民投票の是非でも意見が割れており、辺野古ノーの取り組みは再構築を迫られている>と危機感を露にした。

 うるま市長選投票日の2日後にあたる4月25日には、辺野古の埋め立て工事が着工された。この日行われたのは、埋め立て部分を取り囲む護岸工事の第一歩となる砕石の投下。大浦湾に面した砂浜から砕石を入れた袋をクレーンで釣り上げ、海中に投下する。この日はそれを5回繰り返しただけだった。

 現地には移設反対派が集まり、作業が行われている米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議活動を行ったり、カヌーで作業現場に接近を試みたりしたが、現地で取材した地元紙の記者によると、集まったのは100人程度だったという。県警幹部も、「最近はこちらが拍子抜けするほど抗議活動への参加者が目に見えて減ってきている。日によっては、警備にあたる機動隊員のほうが多いくらい」という。

 この日の午後、翁長知事は記者会見を開いた。まず冒頭にコメントを読み上げ、

「政府はなりふり構わず、埋め立て工事着手という既成事実をつくろうと躍起になっているが、護岸工事は始まったばかりで、二度と後戻りができない事態にまで至ったものではない。(中略)差し止め訴訟提起を含むあらゆる手法を適切な時期に行使し、辺野古に新基地を造らせないという県民との約束を実現するため、全力で戦う」

とした。

 政府を非難しつつ、まだまだ基地建設の阻止に向けて戦うと宣言したわけだが、記者からは、具体的にいつどのような対抗策を取るつもりなのか?と質問が相次いだ。

 対抗策は期限を区切ってやるのか、との質問には

「年内にどうだとかいうことは考えていない」

 民意を確認するために県民投票や出直し選挙をする考えはないのかとの質問には

「私なりの考えは持っているが、弁護団や県庁内で相談しながらやっていきたい」

 会見で翁長知事は最後まで具体的な対抗策を示すことがなかった。

 記者からは「阻止に確信を持っているということでいいのか」との質問も出たり、「市民の間で早く撤回すべきとか、本当に工事を止められるのかという不安の声もある」との指摘も出たりした。

「県民も大変不安になるだろうが、私はこの工事を止めるために知事になった」

 翁長知事はそう言い切ってみせたが、地元紙は苛立ちを隠せないようだ。

 4月26日付『沖縄タイムス』社説は、ずばり<法的な対抗措置急げ>との見出し。<政府が話し合いを拒否し、強硬姿勢を示し続けるのであれば、県は重大な覚悟をもって、工事差し止めの仮処分や埋め立て承認の撤回など、法的な対抗措置を早急に打ち出すべきである>

と翁長知事を急かした。

 このところ、翁長知事の雄弁ぶりがすっかりなりを潜めてしまった。着工翌日の会見での記者とのやりとりを見たかぎりでは、瞬発力が感じられず、鈍いとの印象すら覚える。

「埋め立て承認の取り消しをめぐる昨年末の最高裁判決を受け、県の弁護団がこれ以上、法的な対抗策を取ることに慎重になっているようです。県民投票の実施にも市町村の強力が欠かせませんが、市長選で連敗が続いているのも痛い。翁長知事が打つことができる手は限られているのです。もはや追い込まれてしまったと言ってもいいくらい」

 県の幹部すら私の取材にそう認める。

 翁長知事がこの状況を打破するためにどんな手を打ってくるのか。要注目である。

取材・文/竹中明洋(フリージャーナリスト)

日刊SPA!

最終更新:5/1(月) 16:00
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