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「俺のために東京にいてよ」男友達からの告白のような言葉に、戸惑いを隠しきれない心

5/1(月) 5:20配信

東京カレンダー

―東京にいる意味って、何だろう―。

仕事のため、夢のため、欲望のため……?

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上京10年となる節目の年に、人はあらためて問う。

自分が東京にいる意味と、その答えを。

28歳の朝子もその一人。朝子が抱える東京への固執と葛藤は、どこに着地するのだろうか。

18歳で上京した朝子だが、このまま東京にいていいのかという迷いが芽生え、東京と故郷の間で気持ちが揺れ始める。上京を機に別れた地元の元カレ・聡が結婚したことを知り朝子はさらに寂しさを募らせた。

聡の結婚式での笑顔は、しばらく私の脳裏に焼きついてしまい、なかなか離れることはなかった。

このモヤモヤした気持ちを打ち消すのに、手とっとり早いのは仕事だった。

新しい恋なんてそう簡単にできないし、食事会に期待をかけるほどの気力もない。

万全の態勢で臨んだ食事会を終えて、がっくり肩を落として帰ったことは数え切れないほどあるから。

そんな曖昧なことに労力を使うよりも、頑張ればその分結果を出せる仕事の方が、何倍も良い。

そんな風に考えてしまうと、どんどん恋愛から離れていくのかもしれないけど、実際淡々と仕事をこなすことが、一番の精神安定剤になった。

でも、入社して6年経った今。

その仕事でさえ最近は、前ほどの情熱を持てなくなっているのが、認めたくないけど事実だった。

憧れて入ったPR会社。出社するとまずは、録画している番組をざっとチェックして、クライアント企業が紹介されているようなコーナーがないかを確認する。

そんな地味な作業も多いけど、社内にタレントを招いてPRイベントを開いたりと、華やかなことももちろんある。

少し前までは、有名なタレントと対面して打ち合わせする私は、なんて素敵な東京の女なんだろうって、そんな自己陶酔に近い気持ちに浸ってた。

イベントが終われば数時間後にはそれがネットニュースで日本中に配信される。私の名前なんてどこにも出ないけど、それでも本当に誇らしかった。

でも最近では、タレントと仕事する時は、とにかく気を遣わないといけないことにウンザリしてるし、ネットニュースでイベントの記事を見ても、なんだか他人事のように思えてしまう。

ネイルサロンに行ってお手入れしてもらう時、切られた爪のかけらを見て思うことに近い。

さっきまで私の身体の一部だったのに、切り離された途端私の一部ではなくなってしまって、まったく別のものに変わってしまうような。

終わってしまった仕事は、切り離された爪のかけらと同じように、私から離れてしまうともう何の感情も持てなくなってしまった。

だから、前だったら感じていたような大きな達成感もなかった。

しんと静まり返ったオフィスでたまに思う。いつから、私はこうなってしまったんだろう……。



「福岡に帰った方がいいのかなって、最近本気で思うんだよね」

良太くんと中目黒の『イカロ』でワインを飲みながら、最近のウジウジした気持ちを正直に話してみることにした。

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