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使い方いろいろ キリスト教辞・事典 徹底比較!! 山本芳久×阿部善彦 対談

5/2(火) 11:30配信

Book Bang

 このほど、教文館から2冊のキリスト教辞(事)典が相次いで発刊された。『旧約新約聖書神学事典』と『オックスフォード キリスト教辞典』。いずれも聖書に留まらず、歴史、哲学、思想、文学、美術など、あらゆる分野の知的好奇心に応えられる内容になっている。一見どれも同じように見える辞典だが、それぞれに個性があり、用途にも違いがあるのが魅力の一つ。今回はそれぞれの研究分野で、日常的に辞典を駆使してきた山本芳久、阿部善彦の両氏に、最新の情報を盛り込んだ代表的な辞(事)典4冊を観点別で評価してもらった。その深遠な世界に触れると、誰もがキリスト教の新たな一面を発見できるに違いない。

正確な情報を過不足なく

山本 『オックスフォード キリスト教辞典』(以下、『オックスフォード』)は、項目一つひとつの説明が簡潔です。詳しくありませんが、手堅く多くの項目を網羅しています。専門家が調べるというよりは、手堅いことを引けるという印象です。一般の人が、分からない言葉を引く時に過不足なく情報が得られるのが特徴だと思います。

阿部 わたしの専門である中世ドイツの神学者マイスター・エックハルトの記述も読んでみました。彼はさまざまな先入観が入りやすい人物なんですが、『オックスフォード』の記述にはそういう偏った見方がありません。彼のことを「神秘主義者」と規定していない点も、細かな部分ですがとても大事なことです。これは近年のエックハルト研究の成果をしっかりつかんでいないとできないことで、多くの辞典ではいまだに「神秘主義者」などと書かれたままになっています。

山本 歴代カンタベリー大主教の一覧が載っているのも特徴的ですよね。

阿部 確かにそうですね。英語圏の辞典ですので、アングリカン(英国国教会)や英国に関する項目については重視されています。教会史的な解説も充実していて、良い辞典だと思います。典礼の言葉や、日常的に使われるラテン語の意味などの項目があるのも重要ですね。

山本 英語辞典をはじめ多数の事典を刊行しているオックスフォード大学出版会の事典シリーズの一つなので、専門的な記述が為されているというよりは言葉の意味を正確に説明する辞典としての色彩が強いと思います。
 もう一つの特徴は、イスラム過激派に関する記述など、現代の情勢を知る上で必要な情報も網羅されています。「日本のキリスト教」の隣のページには「ニュージーランドのキリスト教」がありますし、かなり教派や地域を横断して正確に知ることができます。深く掘り下げてはいませんが、正確に必要不可欠な情報を知ることができるという面では、汎用性が高いと思います。

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最終更新:5/2(火) 11:38
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