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15歳久保建英、U20代表でどう使われる? 香川真司ら逸材と重なる姿、急成長の期待も

5/3(水) 11:40配信

フットボールチャンネル

 U-20W杯に挑む日本代表のメンバーが発表され、アジア予選を経験していない15歳の久保建英も飛び級で選出された。注目度の高い選手ではあるが、本大会でどのように起用されるのか。過去にはアジア予選未経験選手がチームに活力を与えた例は多々あり、また飛び級選手がその後飛躍していったことも多くある。(取材・文:元川悦子)

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●飛び級で招集された久保。監督は何を評価しているのか?

 2007年カナダ大会以来、5大会ぶりのU-20W杯(韓国)に挑む日本。そのメンバー21人が2日に発表され、昨年10月のAFC・U-19選手権(バーレーン)MVPの堂安律(G大阪)を筆頭に、小川航基(磐田)、富安健洋(福岡)、中山雄太(柏)ら同大会の主力が順当に選出された。

 アジア最終予選未経験組は波多野豪(FC東京)、山口瑠伊(ロリアン)、杉岡大輝(湘南)、森島司(広島)、田川享介(鳥栖)、久保建英(FC東京U-18)の6人。とりわけ注目されるのが、2段階飛び級で選出された15歳の久保だ。

「昨年の最終予選後、(12月の)アルゼンチン遠征から招集し、J3やU-16アジア予選も含めて見た中で、彼はサッカーで一番難しい『自分に何ができるか』ということが分かっています。味方のことも分かっていて、適応能力が高い。特に攻撃に関しては、非常に柔軟に変化を持たせられる。

 グループの中で過ごす時間はそんなにありませんでしたが、短い時間でも判断能力がとても高いというのはプレーを見て感じました。フィットするのもそんなに難しくないだろうという予測のもとに選出しました。彼のような選手にはよりよい環境、レベルの高い環境でプレーさせた方がより効果が出る。それが久保に関する評価です」

 内山篤監督は選出理由を説明したが、彼が15歳は思えない高度な技術と戦術眼、冷静沈着さを併せ持っているのは確か。4月30日のJ3・長野パルセイロ対FC東京U-23のゲームで対峙した元日本代表・明神智和も「ホントにうまい。年齢に関係なく一番危険な選手」と脱帽していただけに、U-20W杯という世界舞台に立っても動じずにプレーできるはずだ。

 今大会の日本は21日の南アフリカ戦(水原)を皮切りに、24日にウルグアイ(水原)、27日にイタリア(天安)とグループステージを戦い、まずは16強入りを目指すことになる。やはり勝負を分けるのは初戦だろう。

「南アは個々の身体能力、意外性といった部分では迫力がある。我々は一昨年にマリとバーレーンでゲームを行いましたが、マリのテクニカルな感じより、南アはやはりフィジカル中心」と内山監督も評した通り、屈強な体躯を誇る相手とどう組していくかが、非常に大きなポイントになる。

 では、この初戦で久保はどのような役割が課されるのだろうか。

●鍵となる初戦、久保どう使う? トップでもサイドでも活きる幅広い特性

 久保もこの1年間で7センチ身長が伸び、体格的にも大人のフットボーラーに近づいているが、20歳時点で体型が完成しているアフリカ系の選手に真っ向勝負を挑んだら潰される可能性が高い。

 それは2日前のJ3で「まだスピードやフィジカルのところではこっちに分があるから、力で行ってしまえるところはある」と明神が語っていた通りだ。そのマイナス面を踏まえると、初戦は切り札的に位置づけられるのではないか。

 小川と岩崎悠人(京都)というチーム発足時から軸を担ってきた2トップに対する内山監督の信頼が高いことを考えても、彼らが先発し、相手が疲れて間延びしてきた段階で、変化をつけられる久保を投入するのが「ベストな勝ちパターン」になるはずだ。

 久保が岩崎と代わって2トップに陣取るのか、三好康児(川崎)らと代わって2列目に入るのかは今後の動向次第だが、前でもサイドでもプレーできる15歳のアタッカーが攻撃にバリエーションをもたらせるのは間違いない。

 久保本人も「サイズが小さい分、敏捷性は自分の方があるかなと考えている」とコメントしており、相手の動きが鈍ってきた状況ではより特性を発揮しやすい。バルセロナの下部組織でプレーしていた時から「小柄な自分が何をすべきか」をつねに考え、解決策を模索してきた。高度な国際経験値は大舞台を戦う上で非常に大きなプラス要素になるだろう。

 その状況下でゴールを決めれば、本人も勢いに乗るに違いない。実際、昨年9月のAFC・U-16選手権(インド)の初戦・ベトナム戦でも直接FKからいきなり先制点を奪っているが、彼のここ一番の決定力は凄まじいものがある。その再現を世界舞台でも見せてほしい。

 初戦さえモノにできれば、内山監督もウルグアイ、イタリア戦での起用法を柔軟に変化させられる。昨年のアジア最終予選でも準決勝・ベトナム戦でスタメンを10人入れ替えるという大胆さを持ち合わせている指揮官ならば、2戦目以降に久保を先発に抜擢することも十分に考えられるのだ。

 相手の特徴、味方の組み合わせとの兼ね合いにはなるものの、小川と久保と2トップに並べるのも有効であり、小川と堂安を最前線に置いて久保を右サイドで使うプランもあり得る。3トップや1トップ2シャドー的な配置でも久保は必ずや自らの生きる道を見出せるはず。そうやって彼の可能性を最大限活かすことが、日本の躍進につながると言っていい。

 実は過去の日本代表ではこのようなケース、成功例は多々ある。

●久保と同様ケースでは逸材ズラリ。急成長の期待も

 過去のU-20W杯を見ても、アジア予選後に台頭してきた新戦力がチームに大きな活力を与えてきた。例えば、準優勝した99年ナイジェリア大会では、当時ドイツのカールスルーエでプレーしていた永井雄一郎(群馬)がいいアクセントになり、高原直泰(沖縄SV代表)や小野伸二(札幌)率いる攻撃陣に厚みをもたらした。

 グループステージで苦しみながら16強入りした2005年オランダ大会にしても、高校を卒業したばかりの本田圭佑(ミラン)、家長昭博、あるいは15歳でJリーグデビューを飾った森本貴幸(ともに川崎)らが急成長。本大会で重要な戦力として躍動した経緯がある。

 今回の久保や森島、田川らもチーム活性化の起爆剤になれるだけのポテンシャルがある。昨年のアジア最終予選で王者の座に上り詰めた内山ジャパンだが、世界はさらに先を行っている。その成長スピードに追いつき追い越すためにも、新たな選手のブレイクが求められるのだ。中でも久保はまだ15歳ということで、無限の可能性を秘めている。

 これまで飛び級でU-20W杯に参戦した選手には、2003年UAE大会の平山相太(仙台)、2005年オランダ大会の森本、2007年カナダ大会の香川真司(ドルトムント)らがいるが、久保は彼らをさらに上回る2段階飛び級。それだけ傑出した才能を備えているということに他ならない。

 その武器をどう使うかで日本サッカーの行く末が変わってくると言っても過言ではない。久保建英には香川らを超える存在感と成長度を初のW杯の場で示してもらいたいものだ。

(取材・文:元川悦子)

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