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電通や博報堂が性的マイノリティの調査研究に真剣に取り組むワケ

5/4(木) 22:00配信

週刊女性PRIME

 いきなりですが、質問。いろいろなスポーツで企業がスポンサーになっているが、そのメリットは何だと思いますか? 

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 多くの人は「企業イメージを上げるために決まっているじゃないか」と答えることだろう。確かにそれは正解なのだが、ではスポンサーになることと企業イメージとの間にはどのような関係があるのだろうか。実はそれが今回の主題である。

 人は接触を繰り返すことによって相手に「良いイメージ」を自然と持つようになる、という有名な心理学のルールがある。しかも目標を共有する仲間意識を伴うとき、特に強まることが知られている。

 スポーツは勝利へ向かい一丸となれるので、ファンとスポンサー企業との強い仲間意識が生まれる。だから、スポンサー企業のイメージを高めるための強力な企業ブランディング装置として機能するのだ。

 例えば日本のプロ野球チームの大半は単独では赤字だが、親会社の施設利用率や商品購入率を調べると一般人よりもファンの方が顕著に高い。そのため、グループ全体ではチームの赤字を補って余りある収益をもたらす。実際に私はこの調査分析で二球団の身売り話を止めましたよ、はい(笑)。

 当たり前だが、スポンサーの価値はファンや関心者の数に比例する。だから企業は、大規模なスポーツイベントや人気チームのスポンサーに競ってなりたがる。その最たるものがオリンピックやW杯というわけだ。

電通・博報堂がLGBT層への調査研究に必死な理由

 そして、ここからが今回のメインデュッシュだが、同じ目標を共有するという意味では社会問題も全く同じである。しかも、関心者の数ではスポーツを遥かに上回る。そりゃそうだろう、私を含めて野球やサッカーに無関心な人も多いが、地球温暖化などの大きな社会問題に対して無関心でいられる現代人はほとんどいないのだから。

 しかし、ここには大きな落とし穴もある。人は解決できない問題を見て見ぬふりをすることも心理学のルールとして知られている。解決したいのに実現できないことで生じる葛藤や不快感から逃げるためだ。従って、解決の糸口がようやく見え始めた社会問題に対して企業が積極的に支援するCSR活動こそが、最強の企業ブランディング装置なのである。問題の深刻さや関係者の多さから言っても、その威力はスポーツスポンサーの比ではない。

「あの企業は私と志が同じだ、一緒に社会を変えていきたい」

「同じようなものを買うなら、あの企業の商品を絶対に買いたい」

 そのような経営姿勢に共感する消費者をロイヤルカスタマーとして取り込んでLTV(顧客生涯価値)の極大化を実現する力が、CSRにはある。

 つまり、CSRは単なる慈善事業では決してなく、非常に優れたマーケティング施策であり、どの社会問題を支援するかの決定には解決可能性や関心規模、先取性などを勘案したドライな戦略性が求められる。

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最終更新:5/4(木) 22:00
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