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ユーベ、モナコを鮮やか封殺。試合巧者の緻密な戦術プラン、容赦なくついた弱点

5/4(木) 10:55配信

フットボールチャンネル

 ユベントスは現地時間3日、チャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグでモナコと対戦し、アウェイで2-0の勝利を収めた。若いタレントを擁してここまで勝ち進んできたモナコに対し、ベテラン揃いのユベントスは緻密な戦術プランを練って挑み、老獪な試合運びで決勝進出を手繰り寄せた。(取材・文:神尾光臣【モナコ】)

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●守備組織が徹底していたユーベ。モナコを完封し決勝進出に近づく

 ホームで無類の強さを誇るモナコに勝利。しかも、決勝トーナメントに入って14得点を奪っていた攻撃陣にゴールを許さなかった。若い勢いに飲まれるどころか、ユベントスは老獪な試合運びで勝利をもぎ取った。当然2ndレグも残っているから、これで決勝進出濃厚ということはできない。しかし、有利な状況を作ったことは確かだ。

 さすがに勢いのある相手ではあった。前半にはFWキリアン・ムバッペに2度ゴールを脅かされ、GKジャンルイジ・ブッフォンのセーブで辛くもしのいでいる。

 しかしそれ以外は、ほとんどの時間で相手の攻撃をコントロールできていた。なぜユーベは、モナコの勢いを断ち切ることができたのか。それはやはり、相手を攻略するために緻密に戦術上のプランを練って挑んだからだということができる。

 まずは守備面だ。縦に速いモナコの攻撃は、不用意に裏のスペースを開けてしまっては致命的になる。これをさせないための守備組織が徹底していた。最終ラインは、裏への飛び出しに優れたムバッペの動きを見て緻密に上下動。また縦のスピードがあるトマ・レマルがいるモナコの左サイドは、大方の予想を裏切って先発起用されたアンドレア・バルザーリが蓋をする。

 もちろん中盤も連動して動き、相手のパスコースを潰して展開を遅らせる。いくら選手に身体能力上のスピードがあるといっても、ボールの展開を遅らせればスピードは幾分殺せるわけだ。

●ユーベが狙ったサイドバックの裏のスペース

「とにかく僕たちは、相手に奥行きを取らせないように気をつけた」とDFジョルジョ・キエッリーニは試合後に語った。それでもモナコの攻撃陣は強引にクロスを上げてくるのだが、それも十分想定内だったようだ。シュートを打たせても精度の低い外からか、GK正面に留めており、クロスもフリーで反応させることは許さなかった。むろんモナコはそれでも強引に攻めて、前述のようにムバッペがビッグチャンスを作ってくるのだが、立ちはだかるのはあのブッフォンだ。

「準決勝まできた相手だから、さすがに全ての時間で抑え切るというわけにはいかなかったよ。けれど、おおむね試合はコントロールできていたと思う」とキエッリーニはミックスゾーンで笑みを浮かべていた。

 一方攻撃では、モナコの戦術上の弱点を容赦なく突いた。プレビューでも書かせていただいたが、サイドバックの裏をはじめとした後方のスペースだ。

 攻撃型のサイドバックを置くチームの宿命ではあるのだが、彼らの後ろは疎かになる。しかしながら、他の選手がスライドしてカバーをするような決め事もない。従ってサイドにボールが出れば、右ではダニ・アウベスがあっさりと裏を取り、左ではアレックス・サンドロがノーマークでオーバーラップするような状況ができあがっていた。

 それを誘発するためのゲームメイクもまたいやらしかった。後方でボールを回し、相手がボールを取りに向かってきたところで素早くサイドの裏へ放り込む。しかもそれで終わらず、右から左、左から右にサイドチェンジを入れて、相手陣形を両翼から揺さぶったのだ。

●アウベスが2ゴールを演出。モナコは弱点を突かれ対処できず

 そしてユーベの2得点は、いずれも右サイドから生まれた。バルザーリに後方を固めてもらい、守備のタスクが軽減されたダニ・アウベスはサイドハーフとして攻撃センスを活かし、相手を抜き、裏へと走る。そしてそこに絡んでくるのは、パウロ・ディバラとゴンサロ・イグアインだ。

 ディバラはサイドに開いて、個人技で相手のチェックを剥がしたのちにアウベスとパス交換。またイグアインは、サイドに出てきたアウベスをうまく使いつつ、自らは巧みにシュートポジションに走ってラストパスを呼び込んだ。

 モナコにしてみれば、ただでさえルーズなゾーンでそんな攻撃をされたら対処のしようがない。前半29分の先制ゴールは、イメージを共有したこの3人に綺麗に崩されたものだ。ディバラに抜かれてサイドバックの裏が開き、そこへアウベスに走り込まれ、つり出されたセンターバックの背後にはイグアインに走りこまれ、プレッシャーのないスペースで折り返しを受けて点を決められる。この一連のプレーで、弱点を全て突かれて崩されていた。

 後半14分の2点目もしかりで、ディバラとアウベスがプレスで挟み込んだところからあっという間に崩され、最後はイグアインを見失った挙句ファーでクロスを押し込まれた。

 この直後、レオナルド・ジャルディム監督は攻撃にも守備にも機能しなかったレマルを下げる決断を下している。戦術上のキーマンを封じられ変えざるを得なくなったところにも、試合の趨勢が色濃く現れていた。

●不安要素と思われたマンジュキッチも見事な献身性と運動量を披露

 それにしても、ユーベは全選手が勤勉に走る。プレビューでは不安要素として挙げたマリオ・マンジュキッチも、蓋を開けてみれば献身的な運動量を披露。守備に戻って相手を止め、アウェーサポーター席にいるユベンティーノ達の声援を浴びた彼は、得意げに腕を振って観客を煽っていた。

 また、これまでCLであまりゴールが決められていなかったイグアインが点を決めたことも、ファンには嬉しいところだろう。「ユーベを長年応援し続けているファンのためにも嬉しい」とミックスゾーンで語っていた彼は、「それでもまだ勝ったわけじゃない。サッカーにはおかしなことが起こるものだから、集中を切らしちゃダメだ」と気を引き締めていた。

 マージンがあるとはいえリーグ戦の優勝も決まってはおらず(しかもカードも厳しい)、コッパ・イタリア決勝も控えている。そういう状況でも間違いを犯さずに2ndレグをまとめ、カーディフ行きのチケットを手にできるか。チームとしての集中力が試される。

(取材・文:神尾光臣【モナコ】)

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