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最新作『カフェ・ソサエティ』誕生までのウディ・アレン作品史【後編】 傑作の条件だらけの中期~近年編

5/5(金) 9:43配信

otoCoto

ウディ・アレン監督の最新作『カフェ・ソサエティ』は、ウディ作品ファンを幸せな気分にさせるだろう。なぜなら、ここ20年くらいのアレン作品における、“傑作の条件”をことごとく受け継いでいるからだ。アレンの初期~中期の作品をたどった前編に続き、後編では『ギター弾きの恋』(99)以降の作品を振り返り、『カフェ・ソサエティ』の魅力を紐解いていく。

まず感動してしまうのは、現在81歳のウディ・アレンが、ほぼ年1本のペースを崩さずに、映画を撮り続けている事実だ。

創作意欲はもちろん、その体力もアッパレだが、アレン自身は「年1回のペースなんてラクチン」と語っている。
リハーサルもほとんどやらないし、テイク数も極端に少ないので、撮影自体はハードではないようだ。黒地に白い文字でクレジットが出るシンプルなスタイルを徹底し、余計なことに力を使わないのもアレン流。それゆえにタイトルだけで“アレンの映画”と認識させる。作品にジャズを多用するのもアレンのこだわりだが、そのジャズが最も効果的に使われたキャリア中期の作品といえば、『ギター弾きの恋』(99)だろう。

主人公がジプシー・スウィングのジャズギタリストという点がアレン作品らしいうえに、純粋な愛を育みそうになった相手から、目移りして他の女性と結婚するという物語は、最新作『カフェ・ソサエティ』とシンクロする。
このパターンは、ある意味でアレンの王道となっているのだ。複数の女性たちが主人公を惑わせたり、女性たちが男性の優位に立つ構図は、アレン映画に頻出する。『ギター弾きの恋』(99)の2年前の作品『地球は女で回ってる』(97)などはその典型例だろう。キャリア後期の代表作となった『マッチポイント』(05)も、主人公の女性への目移りがキーポイントとなり、波乱の運命に導かれていった。この流れは、後期のもうひとつの傑作『ミッドナイト・イン・パリ』(11)へとたどり着く。

脚本家という主人公は、まさしくアレン本人の分身で、婚約者がいながら、1920年代のパリにトリップすることで、新たな美女に一目惚れしてしまう。現実と夢。その2つの世界で、それぞれの恋を体験するプロットに、アレンの本領が発揮されるのだ。1920年代という舞台設定も、傑作になる条件のひとつである“ノスタルジー”を喚起する。

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最終更新:5/5(金) 9:43
otoCoto

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